株式譲渡契約書の作成方法とは?記載事項や作成・締結時の注意点を解説
2023年10月12日
このページのまとめ
- 株式譲渡契約書は株式譲渡に法的拘束力を持たせるために作成するもの
- 株式譲渡契約書に記載すべき内容は多岐にわたる
- 株式譲渡契約書に盛り込むべき条項はケースによって異なる
- 株式譲渡契約の締結時には、会社法上の手続きを踏む必要がある
- 株式譲渡契約を締結する際は慎重に行動すべきです。
「株式譲渡を検討していて、株式譲渡契約書の記載内容や注意点を知りたい」とお困りの方は多いのではないでしょうか。会社法上の定めがない株式譲渡契約では、株式譲渡契約書の作成が重要です。
本コラムでは、「株式譲渡契約書とは何か」から始めて、作成方法、記載事項、注意点を記載例とともに解説します。株式譲渡契約書に添付する収入印紙代なども紹介していますので参考にしてください。
目次
株式譲渡契約書とは?
株式譲渡は、M&Aの手法のひとつです。会社の手続きにおいて、清算、合併、会社分割などは会社法に定めがあります。
しかし、株式譲渡は会社法による定めがなく、民法の売買契約に該当します。
そこで、株式譲渡契約に法的拘束力をもたせるために締結するのが株式譲渡契約書です。SPAとも呼ばれます。
特に、株式が非公開の非上場企業では、株式を自由に売買できないため、株式譲渡契約書が欠かせません。
株式譲渡契約書に記載すべき事項
株式譲渡契約書の記載すべき事項は、通常以下のとおりです。
- 株式譲渡の内容
- 株式譲渡の対価
- 株式譲渡の実行日およびクロージングの手続きについて
- 株式譲渡の実行前の条件
- 株式譲渡の表明及び保証
- 株式譲渡における遵守事項
- 損害賠償に関する事項
- 秘密保持に関する事項
- 契約解除に関する事項
- 反社会的勢力の排除に関する事項
それぞれ解説していきます。
株式譲渡の内容
まずは株式譲渡の根幹となる、譲渡対象株式の銘柄・種類・数を記載します。
株式の数量の記載方法には、主に2つの方法があります。
- 具体的な株式の数量を記載する方法
- 譲渡する株式の割合を記載する方法
具体的な株式の数を記載する方法の記載例
「売主は買主に対して、A株式会社の普通株式○○株を譲渡する。」
「売主は買主に対して、B株式会社のA種類株式○○株を譲渡する。」
譲渡する株式数の割合を記載する方法の記載例
「売主は買主に対して、譲渡実行日時点における発行済株式数の〇%に相当するA株式会社の普通株式を譲渡する。」
上記の例では、譲渡する株式の割合を具体的な株で明示することで、双方が明確に譲渡される株式の数量を理解できます。
株式譲渡の対価
株式譲渡の対価の記載も必要です。譲渡対価は売主・買主間の交渉によって決定します。
ただし、譲渡額は対象企業が株式公開会社であるか、株式非公開会社であるか、また算定方法によっても変わってきます。
手続きの中で減額要因が発覚すれば、ディスカウントされるケースもあることを把握しておきましょう。
例えば、デューデリジェンスの結果対象会社にリスクが発覚し、譲渡価額が下がることも少なくありません。
記載例
- 本日、乙は甲に対し前条記載の譲渡価格全額を支払い、甲はこれを受領した。
- 甲は令和○○年○○月○○日までに本件が甲から乙に譲渡されたことを発行会社に通知し、承認を得るものとする。
- 甲及び乙は共同で前項の発行会社の承認後に直ちに株式発行会社に対して株主名簿の書き換えを行うよう請求すること。
株式譲渡の実行日・ クロージングの手続きについて
株式譲渡契約書では、一般的に契約締結日と譲渡実行日を別日に設定します。
これは、事業承継を円滑に完了するための準備期間を確保するためです。
契約締結日から数週間〜1か月後を目安として譲渡実行日を株式譲渡契約書に明記しましょう。
株式譲渡の実行前条件
株式譲渡契約では、取引実行の前提条件を定めるのが通常です。株式譲渡契約における取引実行の前提条件とは、譲渡実行日において当事者が満たさなければならない条件です。
前提条件をすべて満たさなければ、相手方は契約内容を履行する義務を負いません。
取引実行の前提条件は、一般的には以下のようなものです。
- チェンジオブコントロール条項(COC)への対応
- 株式譲渡の承認決議
- 許認可の取得・移転
- 実行前の遵守事項に対する違反がないこと
- 重要な書類の引渡し
- 表明保証が真実かつ正確であること
株式譲渡契約における取引実行の前提条件は、CP(Conditions precedent)や「プレクロ(Pre-closing conditions)」とも呼ばれます。
株式譲渡の表明及び保証
株式譲渡契約には表明保証が必要です。
表明保証とは売主や買主が相手方に対して、一定の事項が真実であり正確であることを表明し、表明したことを保証することを言います。
内容は多岐にわたり、別紙に記載し添付するのが一般的です。
表明保証の内容としては一般的には以下のようなものがあります。
- 対象企業の株式の内容・状態
- 対象企業の財務状態(倒産開始手続きの開始、債務超過、支払不能又は支払停止の予定がないかなど
- 反社会的勢力との関係がないか
- 対象企業が雇用する従業員や労務問題に関する事項
株式譲渡契約書には、買い戻し特約も盛り込んでおくとよいでしょう。買い戻し特約とは一定の条件を満たした場合に、買い手から買い戻しができる特約です。対象企業の事業が失敗したり、契約違反があったりした場合に株式を買い戻すことができます。
買い手としてはリスクをヘッジできるメリットがあり、売り手としても買い手がつきやすくなるという利点があります。
株式譲渡における遵守事項
クロージングまでの間に対象会社の状態に変更がなされないよう、実行前の遵守事項を株式譲渡契約書に規定しておくのが一般的です。
遵守事項には以下のようなものがあります。
- 重要財産の処分禁止
- 役員の変更禁止などの事項
遵守事項は、買主が対象会社を購入する際のリスクを最小限にするためのものです。対象会社の重要な資産が売却され、経営陣が大きく変わると、買主が予想していた価値や将来性と大きく異なるリスクがあるため、これらの事項を遵守することで安定した取引を期待することができます。
損害賠償に関する規定
当事者に損害が発生した場合に備えて、損害賠償に関する規定も盛り込みます。
相手が約束や規定の項目を守らなかった結果、被害が生じた際、損害の補填や賠償を求めることが可能です。
記載例
- 民法の原則に基づいた賠償規定とする場合・・・・・・「相当因果関係の範囲内で損害を賠償する」など
- 民法の原則よりも賠償責任範囲を広げた規定とする場合・・・・・・「一切の損害を賠償する」など
- 民法の原則よりも賠償責任範囲を狭くする場合・・・・・・「直接発生した損害に限り賠償する」「損害賠償の上限額を定める」など
秘密保持に関する規定
M&Aの大きなリスクの一つが情報流出です。
ノウハウや顧客情報などの流出を防止するために、事前に売主・買主間で秘密保持契約(NDA)を締結することが欠かせません。
秘密保持に関する次のような規定も株式譲渡契約に入れておきましょう。
- 当該契約における秘密情報の定義
- 秘密情報の開示・漏えいの禁止
- 例外的に秘密情報の開示を認めるケースについて
- 秘密情報の目的外の利用の禁止
- 秘密情報の破棄・返還
- 契約の有効期間
- 秘密情報の漏洩が発生した際の対応など
これらの規定をしっかりと設定することで、両者の信頼関係を確立し、情報流出のリスクを最小限に抑えることが可能となります。
契約解除に関する規定
株式譲渡契約も、契約である以上、契約の解除はあり得ます。
譲渡実行日までの間に、債務不履行や事情変更などが生じた場合に備え、解除条項の定めを規定しておきましょう。
解除事由には、例えば次のようなものがあります。
- 表明保証違反
- 実行の前提条件の不充足
- 自然災害などの不可抗力
契約解除の際には、事前に明確に解除事由を確認し、双方が納得の上で手続きを進めることが必要です。上述の解除事由は一例に過ぎませんので、実際の契約時には双方の事情やニーズに応じて、具体的な条項を検討しましょう。
反社会的勢力の排除に関する規定
反社会的勢力の排除に関する条項(反社条項)も、株式譲渡契約書に規定するケースが多いです。
義務ではありませんが、コンプライアンスや企業の社会的責任などの観点から盛り込むべきと言えるでしょう。
契約を締結する際、反社会的勢力ではないことや、暴力的な要求行為などをしないことを相互に示し保証するもので、「暴排条項(暴力団排除条項)」とも呼ばれます。
反社会勢力とは一般的には暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜、その他これに準ずる者など、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人などと定義されます。
反社会的勢力の法律上の定義はありません。
反社条項(暴排条項)では以下のような内容を規定します。
- 役員等を含む従事者が暴力団員等に該当しないことの表明・保証すること
- 暴力的な言動や行動等をしないことの表明・保証
- 相手方が反社条項(暴排条項)に違反した場合、直ちに契約を無催告で解除できる旨
- 反社条項(暴排条項)の違反を理由に契約を解除された当事者は、相手方に対して損害賠償等を請求できない旨
- 反社条項(暴排条項)違反を理由に契約を解除した当事者は、相手方に対して損害全額の賠償を請求できる旨
契約書に条項を設けて記載するのが通常です。
高額な取引や長期間にわたる契約の際は、具体的な内容を明確にする必要があります。そのため、「反社会的勢力との取引を排除するための覚書」を別途作成・締結することも考えられます。
合意管轄と準拠法の定め
株式譲渡契約に限らず、M&Aではトラブルが少なくありません。トラブルが発生した場合に備えて、訴訟を提起する裁判所を定めておきましょう(合意管轄)。
また、買い手・売り手のどちらか一方がグローバル企業の場合、準拠法を定めておくべきです。
準拠法とは、トラブルが起こった際の判断基準となる法律を指します。自社が日本企業の場合、日本の法律を準拠法に規定することが望ましいでしょう。
ただ、実際には、交渉力の関係から、他の国や地域の法を準拠法とすることを受け入れざるを得ない場合もあります。
株式譲渡において必要な会社法上の手続き
株式譲渡契約書の締結に加えて、以下の会社法上の手続を実行する必要があります。
- 会社に対する株式譲渡の承認請求
- 会社の株式譲渡承認決議
- 株式譲渡契約書の締結と実行
- 株主名簿への株式譲渡に関する記録
それぞれ解説していきます。
会社に対する株式譲渡の承認請求
株式は、自由に譲渡できるのが原則です。
(株式の譲渡)
第百ニ十七条株主は、その有する株式を譲渡することができる。
引用元:e-Gov 「会社法 第百二十七条」
しかしながら、ふさわしくない人物が株主になると、会社に悪影響が生じるリスクがあります。
会社法の規定によれば、株式の譲渡を行う際には、その内容として会社の許可が必要とされています。
(株式の内容についての特別の定め)
引用元:e-Gov 「会社法 第百七条一項一号」
第百七条
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
(異なる種類の株式)
引用元:e-Gov 「会社法 第百八条一項四号」
第百八条
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
会社の株式譲渡承認決議
企業の株の移転は、取締役会の承認を経て、株式の譲渡が許可されるかどうかが決まります。
(譲渡等の承認の決定等)
引用元:e-Gov 「会社法 第百三十九条」
第百三十九条 株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
会社が譲渡承認の可否を決定したときは、譲渡承認請求をした株主に対し結果の通知をする必要があります。
会社が承認しない場合は、2週間以内にその旨を通知しなければなりません。
2 株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
引用元:e-Gov 「会社法 第百三十九条」
譲渡が承認されれば株主名簿を書き換え、手続き完了です。
譲渡不承認の場合、会社は譲渡承認請求にかかる対象株式を買い取るか、対象株式の全部もしくは一部を買い取る者(指定買取人)を指定しなければなりません(会社法第百四十条)。
(株式会社又は指定買取人による買取り)
第百四十条 株式会社は、第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。一 対象株式を買い取る旨
引用元:e-Gov 「会社法 第百四十条」
二 株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)
株式譲渡契約書の締結と実行
譲渡が承認されれば「株式譲渡承認通知」が送付されます。
合意に基づく株式譲渡契約書を締結し、株式譲渡契約を実行します。
株主名簿への株式譲渡に関する記録
株式譲渡契約が実行されたら、株主名簿に株式譲渡に関する記録をしなければなりません。
株主名簿とは、株主の氏名や住所等を記載・記録した名簿で、会社法によって作成が義務づけられています。(第百二十一条)
株主名簿に記載する事項は以下のとおりです。
- 株主の氏名又は名称及び住所
- 株主の有する株式の数(種類の株式を発行している会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
- 株式の取得日
- 株券番号(株券発行会社に限る)
株主名簿は、会社の重要な公式文書の一つとして位置づけられ、取締役や関連する業務担当者が適切に管理・更新することが求められます。また、外部からの株主名簿の閲覧請求があった場合、一定の条件のもとで開示する義務も生じるため、常に最新の情報が記載されていることを確認し、適切な取り扱いを心がける必要があります。
引用元:e-Gov 「会社法 第百二十一条」
関連記事:株式譲渡とは?手続きの流れや注意点・メリット・デメリットなどを解説
株式譲渡契約書作成に関する注意点
M&Aにおける株式譲渡契約は、通常の株式譲渡と大きく異なります。
次に株式譲渡契約書作成に関する注意点を見ていきましょう。
株券発行会社かどうか
会社には、株券発行会社と株券不発行会社があります。
株券発行会社とは、定款で株券の発行を定めている会社です。
定款で株券を発行することを定めていない会社は、原則株券不発行会社となります。
ただし、2006(平成18)年5月1日の会社法施行前に設立された株式会社については、株券を発行しないとの記載が定款に存在しない場合、定款に株券を発行する旨の定めがあるものとみなされています。
まとめると、以下のとおりです。
定款の定め | 会社のタイプ |
定款に株券を発行する旨の定めがある | 株券発行会社 |
定款に株券を発行しない旨の定めがある | 株券不発行会社 |
定款にいずれの定めもなく、株式会社の設立日が2006(平成18)年5月1日以前 | 株券発行会社 |
定款にいずれの定めもなく、株式会社の設立日が2006(平成18)年5月1日以降 | 株券不発行会社 |
株式譲渡契約書作成する際には、相手方の企業が株券発行会社かどうかを確認することが大切です。
対象会社が株券発行会社と株券不発行会社のいずれに該当するかで、株式譲渡の手続きが異なるからです。
株券発行会社の株式を譲渡する場合、株券を交付しなければ効力が生じません(会社法128条1項)。
(株券発行会社の株式の譲渡)
引用元:e-Gov 「会社法 第百ニ十八条」
第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
他方、株式を発行していない会社の場合、原則として当事者間で株式を譲渡する旨の合意のみによって成立します。
ただし会社または第三者に対して株式譲渡を対抗するために、その株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載しなければなりません(会社法130条1項)
(株式の譲渡の対抗要件)
引用元:e-Gov「会社法 第百三十条」
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
株式譲渡の目的が適切か
M&Aの目的は、さまざまです。
- 売却益の獲得
- 事業拡大
- 経営基盤強化
- 事業継承
そしてM&Aの手法には株式譲渡以外にも事業継承などがあります。
M&Aをする目的に照らして、株式譲渡という手法をとるべきなのか、事前に吟味することが重要です。
例えば、会社の名前を残して事業継承をしたい場合、株式譲渡が適しているでしょう。
しかし、特定の事業拡大が目的であれば、一部の事業だけ獲得できればよいということです。
あえて簿外債務などの引き継ぎリスクのある株式譲渡ではなく、事業継承を選択すべきかもしれません。
M&Aをする目的に立ち返って、本当に株式譲渡をするべきなのか、事前に吟味することが重要です。
譲渡制限会社かどうか
株式譲渡制限会社(非公開会社)とは、すべての株式に譲渡制限に関する規定がある会社のことです。
会社法では、株式の譲渡に会社の承認が必要である旨が規定されています。
(株式の内容についての特別の定め)
引用元:e-Gov「会社法 第百七条一項一号」
第百七条
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
譲渡制限会社においては、株式の譲渡について対象会社の承認が必要になります。
承認手続きをしなかったり、手続きに不備があったりすれば株式譲渡契約が無効になってしまいます。
日本の非上場の中小企業は、ほとんどが株式譲渡制限会社です。
承認手続きを譲渡人に行わせることを株式譲渡契約書に規定し、確実に譲渡契約が履行されるようにしましょう。
定款だけでなく、会社の登記事項証明書を参照することで、株券発行会社が存在するかどうかを確認できます。
個人間取引でも株式譲渡契約書は必要
個人間の取引であっても、株式を譲渡する際には株式譲渡契約書が必要です。
株式の種別に応じた手続き、表明や保証、実施の前提となる条件等を、詳細に議論して決めていきましょう。
株式譲渡契約書締結時の注意点
株式譲渡契約書締結時の注意点を解説します。
会社法上の手続きは絶対に行う
会社法上の手続きは確実に行いましょう。手続きに不備があると、譲渡契約が無効になることがあります。また、ケースによっては損害賠償請求を受ける可能性があります。
2021年3月には改正会社法が施行され、会社が負担する責任に関する規定が定められました。
役員や関連者が職務を果たす過程での損害賠償の責任、およびそれを守るためのコストが会社によって支払われるという内容が含まれています。
前提状況や遵守事項は必ずチェックする
M&Aにおける株式譲渡契約書の作成は、基本的に買い手企業が行います。
売り手企業は、株式譲渡契約書の内容が著しく買い手に有利になっていないかを確認し、記載事項をチェックしなければなりません。特に前提条件や遵守事項の確認は必須です。
自社に不利益な条項は見落とさず修正を求める
著しく自社に不利な場合や、想定していないリスクを負う条項が記載されている場合は、見落とさず相手方に修正を求めましょう。売り手企業は、表明保証に関し、公開すべき範囲を正確に把握することが必須です。
専門家に作成から締結までチェックをしてもらう
株式譲渡契約書は非常に複雑で、ケースによっても注意点が異なります。契約に不備があり、トラブルになるケースは少なくありません。
例えば、経営者保証の取り扱いや株式譲渡の有効性が曖昧な場合のトラブルなどです。
後のトラブルを防ぐためにも専門家に作成から締結まで担当・チェックしてもらうのがベストでしょう。
株式譲渡契約書作成時に添付すべき収入印紙の金額
株式譲渡契約では、印紙税は基本的には不要です。
1989年3月までは株式譲渡契約書に収入印紙が必要だったのですが、現在は原則必要ありません。
ただし、売買の代金を金銭で受領している旨が株式譲渡契約書に記載されている場合は、第17号文書の1の書類(売上代金にかかる金銭)として印紙税がかかります。
詳しくは国税庁のページを参照してください。
参照元:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
まとめ
株式譲渡は会社法上の定めがありません。株式譲渡契約に法的拘束力を持たせるためにも、株式譲渡契約書を作成することが重要です。特に、株式が非公開の非上場企業は、株式を自由に売買できないため、株式譲渡契約書が欠かせません。
M&Aや事業承継にかかる株式譲渡は、単なる株式譲渡とは内容が異なります。
個人で行うことも不可能ではありませんが、非常に複雑で、対象会社の設立時期や契約内容によっても手続きが違ってきます。専門家に相談するのがベターでしょう。
M&AならレバレジーズM&Aアドバイザリーにご相談を
レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&Aに関する仲介業務をおこなう会社です。料金体系は、M&Aが成立した場合にのみ料金が発生する完全成功報酬型です。
M&Aの成立までは無料でサービスをご利用いただけます(ただし、譲受側には中間金が発生します)。
株式譲渡を検討されている際は、お気軽にご連絡ください。