リテイナーフィーの意味とは?メリットや相場、契約時の注意点を解説

2023年9月7日

リテイナーフィーの意味とは?メリットや相場、契約時の注意点を解説

このページのまとめ

  • リテイナーフィーとは、M&A仲介会社などに支払う月額の顧問料
  • リテイナーフィーの金額の相場は月額30万円~200万円程度
  • リテイナーフィーがなく、成功報酬のみのM&A仲介会社も増えてきている
  • 「成功報酬が安くなる傾向にある」「候補先選定に時間をかけられる」点がメリット
  • 期間が長引くと費用がかさむ、交渉期間が長くなる傾向があることに注意が必要

M&Aの費用のうちの1つである、リテイナーフィーについての詳細を知りたいとお考えの経営者の方もいるのではないでしょうか。リテイナーフィーとは、M&A仲介会社などに支払う月額の顧問料のことです。

本コラムでは、M&Aにかかるリテイナーフィーの概要や相場、メリットなどをまとめました。リテイナーフィーの支払いを検討する際の注意点もご紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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リテイナーフィーとは?

リテイナーフィー(Retainer fee)とは、M&A仲介会社やM&AアドバイザリーにM&Aの支援を委託する際に支払う、月額の顧問料のことです。譲渡(売却)と譲受(買収)のいずれのケースでも、必要になる場合があります。
リテイナーフィーの相場は、M&Aの難易度などに応じて決まることが一般的です。

なお、着手金のことをリテイナーフィーと呼ぶ業者もいます。

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リテイナーフィーの料金体系と相場

リテイナーフィーの料金体系は、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーによって異なります。1ヶ月単位などの固定の料金体系が主流であるものの、着手金として設定しているケース、「着手金+月額報酬」として設定しているケースなどさまざまです。

リテイナーフィーの金額は、月額30万円~200万円程度が相場とされています。金額の設定において基準のようなものはないものの、依頼内容の難易度やコンサルタントの力量によって変動するのが一般的です。
6ヶ月間や1年間といったように、最低期間が決められていることが多いため、月額の金額だけでなく、契約期間を考慮した総額で判断するとよいでしょう。

また、リテイナーフィーは成約に至らなかった場合でも返金されない性質のものです。「将来の選択肢としてM&Aを検討しておきたい」と考える経営者にとっては、無駄な費用となってしまう可能性があることを認識しておく必要があります。

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リテイナーフィーがない場合もある?

リテイナーフィーがなく、成功報酬のみの料金体系のM&A仲介会社なども増えてきています。とくに大手のM&A仲介会社では、設定されていないことがほとんどです。リテイナーフィーがかからない場合は、合意契約時にかかる「中間報酬」と最終契約時にかかる「成功報酬」を設定していることが多いです。

リテイナーフィーを設定していない理由は、主に次の2点だと考えられます。

  • 利益相反を避けるため
  • 価格競争力を重視するため

利益相反とは、ある行為によって一方が利益を上げることで、もう一方への不利益となる行為のことです。成約までの期間が延びると、リテイナーフィーの金額は増えていきますが、速やかに成約させたい顧客の意向に反してしまいます。

また、競合他社との競争に勝つために他社と差別化を図りたいと考えるM&A仲介会社は、リテイナーフィーを設定しない選択をとっています。

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リテイナーフィーを支払う2つのメリット

リテイナーフィーを支払うメリットは、主に以下の2点です。

  • 成功報酬が安くなる可能性が高い
  • M&A候補先の選定・交渉に時間をかけられる

それぞれのメリットについて解説します。

成功報酬が安くなる可能性が高い

リテイナーフィーを設定しているM&A仲介会社と契約をするメリットとして、成功報酬が安くなる可能性が高いことが挙げられます。

リテイナーフィーを支払う契約であっても、M&Aが成約に至った場合は、成功報酬も発生することがほとんどです。
通常、成功報酬は売買価格に1%〜5%程度の一定の料率を掛けた金額に設定していることが多いですが、リテイナーフィーを設けているM&A仲介会社では、それよりも成功報酬の料率を低く設定している傾向があります。そのため、成功報酬の金額がそれほど高額にならない場合があります。

M&A候補先の選定・交渉に時間をかけられる

M&A仲介会社に、M&A候補先の選定と交渉に納得のいくまで時間をかけてもらえることが多いことも、リテイナーフィーを支払うメリットの1つです。月額報酬を支払っているため、契約期間中は納得のいくまでM&A候補先の選定・交渉を依頼することが可能です。

リテイナーフィーがない場合、M&A仲介会社によっては、中間報酬や成果報酬の金額によって、取り組む優先順位が変動してしまうことがあります。また、M&Aの成約に結びつかないと成功報酬が発生しないため、M&Aの成立を急がれてしまい、自社にとって有益とはいえない候補先を紹介されてしまう可能性もあるといえます。

そのため、とくに期間を設けず、焦らずじっくりとM&Aの候補先を探したいというようなケースでは、リテイナーフィーを設定しているM&A仲介会社を選定するとよいでしょう。

ただし、リテイナーフィーを採用していないM&A仲介会社のすべてが、M&Aの成約を急ぐわけではありません。完全報酬型であっても、M&Aが成功するまでのプロセスも含めて、しっかりサポートしてくれるM&A仲介会社もあります。

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リテイナーフィーを支払う4つのデメリット

リテイナーフィーを支払うデメリットとしては、次の4点が挙げられます。

  1. 期間によっては費用がかさむ
  2. かかる費用の見通しが立てにくい
  3. 交渉期間が長くなる傾向がある
  4. M&A実施の強制力が高まることがある

1つずつみていきましょう。

1.期間によっては費用がかさむ

リテイナーフィーの設定があるM&A仲介業者などに依頼すると、M&Aの成立までに時間がかかればかかるほど、費用がかさむ点がデメリットです。

成約まで短期間であればリテイナーフィーの支払額は少なく抑えられますが、M&Aの候補先となる会社が見つかるまでに時間を要する場合もあります。交渉が長引くこともあるでしょう。あまりにも長期化してしまうと、かなりの費用となってしまう点を認識しておく必要があります。

2.かかる費用の見通しが立てにくい

M&Aの成立までの期間次第で支払う金額が大きく変動するため、最終的にどの程度の費用がかかるのか、見通しが立てにくい点もデメリットです。

3.交渉期間が長くなる傾向がある

リテイナーフィーを支払う料金体系のM&A仲介会社を利用すると、M&A候補先の選定・交渉期間が長くなるリスクがあることも、デメリットの1つです。納得のいく候補先が見つかるまでじっくりと探してもらえることは利点である一方で、交渉期間が長期化するリスクを伴うといえるでしょう。

なかには、費用を増額させるために交渉期間を延ばすM&A仲介会社も存在します。たとえば今月中に契約できそうな場合でも、翌月分の報酬を得るために取引を長引かせるようなケースも考えられます。
交渉期間が長くなりすぎないように、事前におおよその期間を決めておくとよいでしょう。

できるかぎり短期間のうちに効率的にM&Aを完了させたい場合は、料金体系にリテイナーフィーが組み込まれているM&A仲介会社を利用するのは、あまりおすすめできません。

4.M&A実施の強制力が高まることがある

リテイナーフィーを支払うデメリットとして、M&A実施の強制力が高まることも挙げられます。依頼主が一定の月額報酬を支払っているからこそ、M&Aを実施するのが望ましいか判断がつかない状態でも、M&Aに踏み切ってしまう恐れもあります。依頼主が「高いお金を支払っている以上、M&Aの検討だけで終わってしまったら損してしまう」と考えてしまうためです。

検討が十分でないまま実施すると、結果的にM&Aそのものが失敗に終わってしまうリスクがあるため、注意が必要です。

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リテイナーフィーの支払いを検討する際の4つの注意点

リテイナーフィーの支払いを検討する際の注意点は、以下の4点です。

  1. 概算費用を確認する
  2. M&A実施までの目標期間を設定する
  3. M&Aの基礎知識を身に付けておく
  4. 求める条件に合う仲介会社を選ぶ

順番に解説します。

1.概算費用を確認する

リテイナーフィーの支払いを検討する際は、トータルの概算費用を入念に確認しましょう。リテイナーフィーの確認だけではなく、着手金や中間報酬、成功報酬などを含めた概算費用を算出してください。

M&Aの成功報酬額の算出には、レーマン方式が採用されることが一般的です。レーマン方式とは、標準基準額と呼ばれるM&Aの取引金額などに、一定の報酬率を乗じる計算方式のことです。標準基準額には、「譲渡価格」「オーナーの受取額」「企業価値」「移動総資産」の4種類のうちのいずれかを用います。標準基準額にどれを用いるかで成功報酬の額が変わるため、リテイナーフィー以外に、成功報酬の仕組みも確認しておくことをおすすめします。

2.M&A実施までの目標期間を設定する

リテイナーフィーを設けているM&A仲介会社への依頼を検討する場合は、あらかじめM&A実施までの目標期間を設定することが大切です。そして、目標期間内で終了させるために計画を立てましょう。

3.M&Aの基礎知識を身に付けておく

リテイナーフィーが発生する場合はとくに、M&Aの基礎知識を身に付けておくことが大切です。依頼する側もある程度の情報収集や事前の準備をしておきましょう。

まったく知識の無い状態で依頼してしまうと、M&A仲介会社によってはリテイナーフィーを多く得ようと、意図的に取引を長引かせるリスクが懸念されます。不審な点に気づけるよう、基本的な情報を学んでおくと安心です。

4.求める条件に合う仲介会社を選ぶ

リテイナーフィーの支払いを検討する際に限られませんが、自社がM&A仲介会社に求める条件を整理しておき、その条件に合った仲介会社を選ぶことも重要です。想定するM&A成立までの期間や最低報酬額、トータルの費用の概算額、得意とする業界など、求める条件を項目ごとに考えておきましょう。
また、どうしても譲れない条件と譲歩してもよい条件を決めておくことも大切です。

数社の相見積もりを取り、自社が掲げる条件との一致度が高いM&A仲介会社を慎重に選んでください。

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まとめ

リテイナーフィーとは、M&A仲介会社やM&AアドバイザリーにM&Aの支援を依頼するときにかかる月額の顧問料のことです。リテイナーフィーの金額は、月額30万円~200万円程度が相場とされており、明確な基準はないものの、依頼内容の難易度やコンサルタントの力量によって変動するのが一般的です。
リテイナーフィーは必ずかかる手数料というわけではなく、設定していない業者もあります。

リテイナーフィーを設けるM&A仲介会社を利用する際のメリットは、「成功報酬が安くなる可能性が高い」「M&A候補先の選定・交渉がじっくりできる」の2点です。一方で、期間が長引くと費用がかさむほか、交渉期間が長期化する傾向があることや、M&A実施の強制力が高まることがある点などがデメリットとして挙げられます。
メリットとデメリットを踏まえて、自社に合った料金体系の支援機関を選びましょう。

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料金体系はM&Aご成約時に料金が発生する完全成功報酬型です。リテイナーフィーはかかりません。M&Aのご成約まで、無料で利用できます(譲受会社のみ中間金あり)。ご相談も無料です。M&Aをご検討の際には、ぜひお気軽にご連絡ください。