このページのまとめ
- 会社を売るタイミングは、業績の状況によって異なる
- 業績や経営者の気力が落ち込んでいるタイミングは、売ることを検討する時
- 業績以外の会社を売るタイミングの目安は、好景気や業界再編のとき
- 会社をより高く売るためには、早めに動き出すことが大切
- 会社を売るときの相談先には仲介会社や士業、FAなどがある
会社を売ることを検討している人のなかには、「どのタイミングで売却すればよいの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。会社を売るタイミングは、業績によって異なります。
本コラムでは、会社を売るタイミングを業績の状況別に紹介します。また、業績以外に会社を売るタイミングの目安も解説します。また、会社を売るタイミングを相談できる専門家についても紹介しているため、参考にしてください。
目次
【業績の状況別】会社を売る適切なタイミング
業績によって、会社を売る適切なタイミングは異なります。
ここでは、以下の4つの場合に分けて会社を売るのに適しているタイミングを紹介します。
- 業績が良く、経営者の気力が充実している
- 業績は良いが、経営者の気力が減退している
- 業績は悪いが、経営者の気力は充実している
- 業績が悪く、経営者の気力も減退している
業績の状況別に、売るタイミングを確認しましょう。
業績が良く、経営者の気力が充実している
業績が良く、経営者の気力も充実していれば、基本的に会社を売る必要はないでしょう。このまま経営を続けて、事業を伸ばしていけます。
業績が良く、経営者の気力が充実しているときは、むしろ別の会社を買うタイミングです。シナジー効果を期待できる会社を買収することで、事業領域の拡大や企業価値の向上を期待できます。シナジー効果とは、複数の会社が連携することで、単独で活動する以上の効果を生み出す相乗効果のことです。
業績は良いが、経営者の気力が減退している
業績は良いが、経営者の気力が減退している場合、会社を売るタイミングのひとつです。業績が良いうちに、能力と意欲のある会社や経営者に経営をゆだねることで、事業のさらなる成長が見込めます。また、従業員が好条件で働けることも期待できるでしょう。
中小企業のM&Aでは、純資産や営業利益が企業価値に反映されることが一般的です。財務内容が良いタイミングで売却すれば、高い売却益を得られます。リタイア後の生活に充てる資金が潤沢になり、老後を謳歌できるでしょう。
業績は悪いが、経営者の気力は充実している
業績が悪くても、経営者の気力が充実している場面では、無理に会社を売る必要はありません。ただし、自力で事業を続けるにしても何も策を講じないと、事業の継続が困難になるでしょう。
事業の継続が困難な場合、大手企業と資本提携する、業績改善を期待できる会社に売却するなどの対策が必要です。会社を売る場合でも、交渉次第で現経営者が経営陣に残れるケースがあります。
また、会社を売ることで得た利益を元手に、新規事業を立ち上げることも一つの手です。事業の選択・集中を行い、業績アップが見込める事業に注力しましょう。
業績が悪く、経営者の気力も減退している
業績が悪く、経営者の気力も減退しているときは、早めに会社を売るタイミングです。とくに、業績回復の見込みが薄い場合や、業界の将来性がほとんどない場合は、早めに売らなければ企業価値が減少してしまいます。
万が一企業価値がほとんどなくなり、会社を売却できなくなると、廃業を選択せざるを得ません。廃業は費用がかかるうえに、従業員の雇用を維持できなくなる点がデメリットです。また、既存取引先にも迷惑をかけるでしょう。
業績以外で判断する会社を売る3つのタイミング
業績以外にも、会社を売るタイミングの目安はあります。主なタイミングは、以下のとおりです。
- 国や業界が好景気のタイミング
- 業界再編のタイミング
- 経営者が高齢や体調不良になったタイミング
それぞれ確認していきましょう。
1.国や業界が好景気のタイミング
日本全体や業界が好景気のときは、会社を売るタイミングです。一般的に、好景気のときは買い手がM&A(買収)に積極的になる傾向にあります。今まで買収に積極的でなかった会社でも資金余剰が発生して投資に前向きになり、買い手の候補が増えるでしょう。
それに対し、好景気にかげりが見えた場合や、不景気になった場合は会社が買収を控える傾向にあります。不景気のときは好景気のときと比べて売却価格が安くなりやすいため、会社を売るタイミングには十分な注意が必要です。
2.業界再編のタイミング
業界再編が進んでいるときも、会社を売るタイミングです。業界再編時には、買い手候補も売り手候補も増えるため、M&A市場が活発になります。
業界再編は一時的なもののため、タイミングを逃さないことが大切です。M&Aが活発におこなわれていても、業界再編が終了した途端に売却相手を探すのが困難になることがあります。
3.経営者が高齢や体調不良になったタイミング
経営者が高齢になったときや、身体の不調を感じたときも、会社を売るタイミングです。経営者自身はまだできると思っていても、突然のケガや病に倒れる可能性もあります。経営管理能力を損なってからでは、会社売却の準備はできません。
売却のタイミングを逃し、最終的に廃業することにならないためにも、経営者にある程度気力・体力が残っている段階で売却の決断を下すことが大切です。会社を売ることを決めたら、具体的なスケジュールも考えておきましょう。
会社をより高く売るための4つのポイント
会社をより高く売るためのポイントは、以下のとおりです。
- 早期から準備を進める
- 売却する目的や自社の価値を確認する
- 業界動向や景気を逐一確認する
- 専門家と相談しながら進める
4つのポイントをそれぞれ確認していきましょう。
1.早期から準備を進める
会社をより高く売るためには、早くから準備を進めておくことが大切です。M&Aはすぐに実施できるものではなく、実際に動き出してから売却するまでに6〜12ヶ月はかかるといわれています。
準備不足のまま会社を売ることを決めた場合、相手が提示する条件に流されるまま契約してしまう可能性が高まります。しっかり準備したうえで売却に臨みましょう。
売却に向けた準備のひとつが、自社の状況を把握することです。財務状況や経営資源をあらためて確認することで、会社売却に何が必要か見えてきます。
2.売却する目的や自社の価値を確認する
売却する目的を確認しておくことも、会社を高く売るためのポイントです。売却目的をはっきりさせることで、交渉の中で妥協できる点と譲れない点が把握できます。
また、自社の魅力や価値を確認しておくことも重要です。一般的に、企業価値が、会社の売却価格を交渉する際の判断材料になります。企業価値を算出する際に用いるコストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチの手法により、自社の価値を知っておきましょう。
関連記事:会社売却の相場や税金はどれくらい?準備からクロージングまでの流れも解説
3.業界動向や景気を逐一確認する
M&Aや会社売却は同業種間で実施されるケースが多いため、自社が属する業界の動向を逐一確認するようにしましょう。また、他業種とのM&A可能性も考慮し、自社の属する業界が外からどのように見られているのかをチェックすることも必要です。
さらに、景気もM&Aや会社売却に関係します。より高値で売却するためには、政治・経済関連のニュースを把握しておくことも必要です。
4.専門家と相談しながら進める
高値での会社売却を目指すためには、専門家と相談しながら進めることもポイントです。
自分だけでは、いつが会社を売るタイミングなのか判断しにくいでしょう。適切なタイミングを逃さないためにも、早めに自社の規模や業種にふさわしい専門家へ相談してください。
専門家のサポートを受けることで、会社を高値で売ることができるタイミングを知れるほか、買い手探しや戦略の立案もスムーズに進められます。
会社を売るタイミングについて相談できる相手
会社を売るタイミングについて相談できる相手は、以下のとおりです。
- M&A仲介会社
- 弁護士や税理士などの士業
- ファイナンシャル・アドバイザー(FA)
それぞれの役割や依頼するメリットを解説します。
1.M&A仲介会社
M&A仲介会社とは、売り手(譲渡側)と買い手(譲受側)の間に立ち、中立的な立場で交渉の仲介や助言をする会社のことです。
会社を売る際にM&A仲介会社に依頼するメリットとして、買い手候補企業を迅速に見つけられる点や、M&Aに関するトータルサポートを受けられる点が挙げられます。
会社によって着手金・中間報酬・成功報酬などかかる費用が異なるので注意しましょう。相談を無料で受け付けているM&A仲介会社も多いので、複数社に問い合わせて比較することがおすすめです。
2.弁護士や税理士などの士業
弁護士や税理士など士業の専門家に、M&Aの相談をすることもあります。
M&Aにおける弁護士の主な役割は、法的リスクの洗い出しや問題点の確認など、法的な面でのサポートです。売り手は弁護士に依頼することで、売却前後に買い手とトラブルになって訴訟に発展するリスクを軽減できます。
M&Aにおける税理士の役割は、企業価値の査定や税務面の助言などです。売り手は税理士に依頼することで、自社の価値がいくらくらいなのかをあらかじめ把握し、交渉材料に使えます。
3.ファイナンシャル・アドバイザー(FA)
ファイナンシャル・アドバイザー(FA)とは、財務面を中心に総合的なコンサルティングを実施する会社のことです。M&A仲介会社が売り手と買い手の間に入ってサポートするのに対し、ファイナンシャルアドバイザーはどちらか一方の専属になる点が主な違いとして挙げられます。
売り手はM&Aでファイナンシャル・アドバイザーに依頼することで、自社の意向を尊重した助言を受けられる点がメリットです。
まとめ
会社を売るタイミングは、状況によってさまざまです。たとえば、業績は良いが、経営者の気力が減退している場合は、会社を売るタイミングのひとつと判断できるでしょう。
また、好景気のときや業界再編のときはM&Aが活発に行われるようになるため、会社を高い金額で売却しやすいです。タイミングを逃さず高値で会社を売るために、専門家へ相談して早めに準備をスタートさせましょう。
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