早期退職に必要な貯金額は?算出方法とアーリーリタイアのメリットを解説

2023年5月16日

早期退職に必要な貯金額は?算出方法とアーリーリタイアのメリットを解説

このページのまとめ

  • 早期退職とは、定年前に退職して残りの人生を自由に過ごすこと
  • 早期離職に必要な貯金額は、年間の収支額と想定寿命までに要する費用をもとに計算する
  • 早期退職後は仕事から離れるため、5,000万円〜1億円以上とまとまった貯金が必要
  • 早期退職するメリットは「時間や居住地が自由」「人生の可能性が広がる」など
  • 早期退職を実現するためには、資産計画を立てて資産形成を進める

早期退職(アーリーリタイア)とは、定年前に退職し、その後は自由に生活することです。早期退職後は、基本的には年金以外の収入源がなくなるため、生活費を賄えるよう多額の貯金が必要です。早期退職のために必要な貯金額は、退職する年齢やライフスタイルなどによって異なります。

本コラムでは、早期退職を検討している方に向けて、早い段階でリタイアするために必要な貯金額の算出方法や、年代別の目安貯金額を解説します。早期退職のメリット・デメリットや、成功させるための4つのステップについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

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早期退職(リタイア)とは?

「早期退職」とは、定年を迎える前に早めに退職することです。早期退職は「アーリーリタイア」「早期リタイア」などと呼ばれることもあります。

一般的に、正規雇用の場合の定年は60歳または65歳です。40歳や55歳など、規定の定年より早いタイミングで会社を退職し、その後は悠々自適な生活を送ります。

日本では、高度経済成長期以降、終身雇用が当たり前でした。しかし、現在は働き方が多様化しており、さまざまな手段で収入を得られるようになりました。その結果、必要な生活資金を定年前に稼ぎきり、定年前に退職して、より長い間自由な生活を謳歌する、という考え方が注目されるようになったのです。

早期退職(アーリーリタイア)後の過ごし方は多種多様です。趣味に没頭したり、世界旅行に出かけたり、田舎に引っ越して農業を始めたりなど、仕事から離れ、自身のやりたいことを自由に叶えられます。

早期退職では、基本的に退職後は労働に従事しません。早期退職前に確保した貯金や年金などを切り崩し、生活費に充てるのが特徴です。早期のリタイアを実現するためには、退職前に多額の資金を貯金しておく必要があります。そのため、若いうちに早期退職を実現できる人材は限られています。

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早期退職と「セミリタイア」「FIRE」との違い

「早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)」と似たような言葉に、「セミリタイア」や「FIRE」があります。それぞれに明確な定義があるわけではなく、解釈が分かれることもありますが、基本的な違いをまとめると、以下のとおりです。

早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)セミリタイアFIRE
退職のタイミング定年退職前定年退職前定年退職前
退職後の収入源基本的にはなしあり(アルバイト、投資運用、ネットビジネスなど)あり(投資運用がメイン)

ここでは、それぞれの概念について解説します。

早期退職とセミリタイアの違い

セミリタイアとは、早期退職の1種で、定年退職を迎える前に会社を辞め、その後は何らかの方法で収入を得つつ、自由な生活を送る方法です。セミリタイアを実現する方法としては、以下のようにさまざまな選択肢が考えられます。

  • 正社員からアルバイトに切り替えて仕事の負担を減らす
  • 投資運用で収入を得る
  • 自宅で気軽に取り組めるネットビジネスで収入を得る

セミリタイアと早期退職の大きな違いは、退職後に労働をするか否かです。早期退職では、基本的に退職後は労働をしません。1日を自由気ままに使えます。

一方、セミリタイアでは、完全に仕事を辞めるわけではありません。アルバイトやネットビジネスなど、一定の収入源は残すのがポイントです。仕事は一部続けますが、仕事量が格段に減るため自由に使える時間が増えます。しかし、アーリーリタイアに比べると自由度は低いのが特徴です。

早期退職とFIREの違い

FIREは「Financial Independence, Retire Early」の略で、日本語では「経済的自立と早期退職」を意味します。早期退職をし、資産運用によって経済的自立を実現しながら生きていくライフスタイルのことです。

セミリタイアと同様に、FIREも基本的には退職後に収入源が残るのがポイントです。仕事やお金に縛られない、自由度の高い生活を実現できます。

早期退職というと、40代や50代が定年より早めに退職するというイメージがあるでしょう。しかし、FIREは20〜30代の若い世代にも広がっています。欧米ではFIREムーブメントが起こり、日本でも若者の間で話題となっています。

経済的自立を叶えるためには、資産運用の元手や資産運用に関する知識などが必要になる点には注意が必要です。

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早期退職に必要な貯金額の計算方法

早期退職(リタイア)後は、基本的には労働をしなくなります。そのため、早期退職を実現するためには、ある程度の貯金が必要です。

早期退職に必要な貯金額は、以下のステップで計算しましょう。

  1. 年間支出額を計算する
  2. 年間見込み収入を計算する
  3. 想定寿命までに必要な資産を計算する

ここでは、早期退職に要する貯金額を計算する各ステップについて解説します。

1.年間支出額を計算する

まずは、早期退職後の理想的な生活をイメージし、そのために必要な生活費をリストアップしましょう。

たとえば、以下のような支出が考えられます。

  • 食費
  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 交通費
  • 洋服代
  • 交際費
  • 理美容費
  • 娯楽費
  • 保険医療費
  • 税金
  • 雑費

万が一の病気やけが、冠婚葬祭や家具家電の買い替えなどを見越して、支出は多めに見積もっておくことがポイントです。

税金についても考えましょう。会社に属していると、税金や年金、保険料などの公的制度にかかる費用は、基本的には給与から差し引かれるため、支払い手続きをする必要がありません。一方、退職すると、すべてを自分で支払う必要があります。

課税される金額は、前年度の年収によって異なります。退職した翌年は、収入が大幅に減少するにもかかわらずリタイア前の所得を基準に課税されるため、注意が必要です。

2.年間見込み収入を計算する

次に、早期退職後の年収を計算しましょう。収入源としては、年金と資産運用による利益の2つが考えられます。

年金は、原則65歳から受給でき、基本的には基礎年金と厚生年金の2階建てとなっています。基礎年金は、20歳から60歳までの国民全員が加入するもので、10年以上加入し、保険料を納付していれば受給可能です。厚生年金は、会社に勤めている方が対象の年金制度であり、会社に勤めている場合は、基礎年金と厚生年金の両方を受給できます。

年金受給額は、加入期間や厚生年金への加入の有無、納付状況などによって異なります。また、満額の年金額は毎年改定されるため、日本年金機構のホームページで確認してください。

資産運用をしている場合や、早期のリタイア後に運用を開始する場合は、資産運用による見込み収入も計算しましょう。扱う資産によって、利回りや想定される利益は大きく異なるため、入念なシミュレーションが必要です。

参照元:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

3.想定寿命までに必要な資産を計算する

最後に、年間支出額から見込み収入を差し引いて、想定寿命までに必要な資産を算出しましょう。厚生労働省が発表している「令和3年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性が81.47年、女性が87.57年でした。そのため、想定寿命は80〜90歳の間で設定するのが望ましいでしょう。

資産を計算する際は、年金が受給される65歳より前と65歳以後に分けて考えるとわかりやすくなります。

参照元:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」

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【年代別】早期退職(リタイア)に必要な貯金額

それでは、具体的にいくらあれば早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)を実現できるのでしょうか。

早期退職に必要な貯金額は、リタイアする年代によって異なります。ここでは、リタイア後の生活費と必要な貯金額の目安を年代別に紹介します。なお、生活費の計算に関する条件は以下のとおりです。

・総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」の結果をもとに、65歳までは1年あたり360万円、65~90歳までは1年あたり300万円と仮定
・生活費の計算は90歳まで

また、年金受給額は以下の条件で計算しています。

・35歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)
・45歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)
・55歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)

あくまでも目安ではありますが、ぜひ参考にしてください。

参照元:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」

35歳|必要貯金額1億3,800万円

35歳で早期退職を実現するためには、トータルで約1億3,800万円の貯金が必要です。

35歳で退職する場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×30年間=1億800万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円

<年金収入>
180万円×25年間=4,500万円

<必要資金>
1億800万円+7,500万円-4,500万円=1億3,800万円

このように、35歳で早期退職に踏み切るためには、約1億3,800万円の資金が必要になると仮定できます。

30代での早期退職はかなりハードルが高く、給与収入以外にも株式投資や不動産投資などで資産形成に成功している方や、経営者として多額の収入を稼いだ方などでない限り、実現は難しいといえます。

45歳|必要貯金額9,700万円

45歳で早期退職を実現するためには、トータルで約9,700万円の貯金が必要です。

45歳で退職する場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×20年間=7,200万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円

<年金収入>
200万円×25年間=5,000万円

<必要資金>
7,200万円+7,500万円-5,000万円=9,700万円

このように、45歳で早期リタイアして自由な生活を手に入れるためには、約9,700万円の資金が必要です。

35歳で退職する場合に比べるとハードルは低いものの、1億円近い資金を確保しなければならず、会社員として得られる給与収入以外にも着実に資産形成を進める必要があります。

55歳|必要貯金額5,600万円

55歳で早期退職を実現するためには、トータルで約5,600万円の貯金が必要です。

55歳で退職する場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×10年間=3,600万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円

<年金収入>
220万円×25年間=5,500万円

<必要資金>
3,600万円+7,500万円-5,500万円=5,600万円

このように、55歳で早期にリタイアして生活を維持するためには、約5,600万円の資金が必要になることがわかりました。

まとまった資金を確保して早期退職を実行するためには、早いうちから貯金を行ったり、積立投資や不動産投資などを利用して資産形成することが大切です。

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【年代別】セミリタイアに必要な貯金額

セミリタイアに必要な貯金額についても、年代別に見ていきましょう。セミリタイアの場合、退職後も年金以外に一定の収入を得続けるのがポイントです。そのため、早期退職(アーリーリタイア)よりも、必要な貯金額は少なくなります。

以下では、セミリタイア後の生活費と必要な貯金額の目安を年代別に紹介します。なお、生活費の計算に関する条件は、以下のとおりです。

・総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」の結果をもとに、65歳までは1年あたり360万円、65~90歳までは1年あたり300万円と仮定
・生活費の計算は90歳まで

また、年金受給額は以下の条件で計算しています。

・35歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)
・45歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)
・55歳で退職:基礎年金80万円×2+厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)

さらに、退職後は、年金受給まで毎月10万円、年間120万円の収入を得ることとします。

参照元:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」

35歳|セミリタイアに必要な貯金は1億200万円

35歳でセミリタイアを実現するためには、トータルで約1億200万円の貯金が必要です。

35歳でセミリタイアする場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×30年間=1億800万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円<収入>120万円×30年間=3,600万円

<年金収入>
180万円×25年間=4,500万円

<必要資金>
1億800万円+7,500万円-3,600万円-4,500万円=1億200万円

このように、35歳でセミリタイアするためには、約1億200万円の資金が必要になることがわかりました。

35歳でセミリタイアする場合、年金受給までの期間が非常に長いです。厚生年金が減る分将来受給できる年金がいくら減るのかを把握して、資金計画を立てましょう。貯蓄が難しい場合は、毎月の収入を増やす必要があります。

45歳|セミリタイアに必要な貯金は7,300万円

45歳でセミリタイアを実現するためには、トータルで約7,300万円の貯金が必要です。

45歳でセミリタイアする場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×20年間=7,200万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円

<収入>
120万円×20年間=2,400万円

<年金収入>
200万円×25年間=5,000万円

<必要資金>
7,200万円+7,500万円-2,400万円-5,000万円=7,300万円

このように、45歳でセミリタイアするためには、約7,300万円の資金が必要です。

家族を養う場合や、趣味や娯楽を我慢せずに楽しみたい場合は、将来を見据えてしっかりと資金形成を進めることが大切です。

55歳|セミリタイアに必要な貯金は4,400万円

55歳でセミリタイアを実現するためには、トータルで約1億200万円の貯金が必要です。

55歳でセミリタイアする場合、その後の生活に必要な費用は以下のように計算できます。

<生活費>
65歳になるまで:360万円×10年間=3,600万円
65歳以降:300万円×25年間=7,500万円

<収入>
120万円×10年間=1,200万円

<年金収入>
220万円×25年間=5,500万円

<必要資金>
3,600万円+7,500万円-1,200万円-5,500万円=4,400万円

このように、55歳でセミリタイアするためには、約4,400万円の資金が必要になります。

リタイアしてから年金受給の時期が比較的早く訪れるため、年金で収入を確保しやすくなるのがポイントです。ほかの年代でセミリタイアをする場合や、早期退職をする場合に比べると、ハードルが低く挑戦しやすいでしょう。

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早期退職(リタイア)できる人の2つの特徴

早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)は、誰でも実現できるわけではありません。前述のとおり、今後の生活資金を賄えるだけのまとまった資金を確保する必要があります。

ここでは、早期退職できる人の2つの特徴について解説します。

  • 不動産収入などの不労所得がある人
  • 投資やM&Aなどで資産形成を実現した人

いずれかあるいは両方を満たして早期退職に踏み切れるよう、計画を立てましょう。

1.不動産収入などの不労所得がある人

不労所得は、労働の直接的な対価として得られる報酬以外の所得のことです。不労所得には、以下のような種類があります。

  • 不動産収入
  • 株式の配当
  • 預貯金の利子・利息
  • 投資信託の分配金
  • 債券の利息
  • アフィリエイトサイトの利益
  • SNSや動画の広告収入
  • 駐車場収入
  • 自販機・コインロッカーの設置による収入

不労所得があれば、早期退職後も継続して収入を得られます。貯金や年金のみを頼りに生きていくよりも、より安心して生活でき、早めにリタイアに踏み切れるでしょう。

2.投資やM&Aなどで資産形成を実現した人

早期退職を実現するためには、退職後に一切働かなくても問題なく生活できるよう、資産形成を行うことが必要です。資産形成の手段としては、投資やM&Aなどが挙げられます。

会社からの給料を貯金するだけでなく、投資を活用して効率的に資産を確保しましょう。

会社経営をしている場合は、自社や事業をM&Aによって売却するのも1つの選択肢です。リタイアして社長を退任するタイミングで、まとまった資金を確保できます。

資産形成では、事前の計画が重要です。何歳で早期退職するかを決定し、年齢から逆算して必要な資金を明らかにしましょう。そして、目標に間に合うように資産形成を進めることがポイントです。

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早期退職(リタイア)の4つのメリット

早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)を実現するためには、まとまった貯蓄と入念な準備が欠かせません。早期にリタイアするハードルは高いですが、その分さまざまなメリットがあります。

早期退職のメリットは、以下の4つです。

  • 時間を自由に使える
  • 居住地を自由に選択できる
  • 仕事のストレスを感じずに済む
  • 趣味へのチャレンジなど人生の可能性が広がる

ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

1.時間を自由に使える

早期退職を実行する大きなメリットは、時間を自由に使えるようになることです。会社員である以上、1日のうち7~10時間程度を仕事に取られます。平日は自宅と会社の往復だけで余暇の時間が削られてしまう、という方もいるでしょう。

早期のリタイアにより、1日の大半の時間を思うままに使えるようになります。好きな時間に寝て起きたり、気兼ねなく趣味に打ち込んだりなど、自由に時間を使えるのが魅力です。

2.居住地を自由に選択できる

仕事をしていると、住みたい場所があっても出社するオフィスの都合で引っ越せないケースが多いです。早期退職を実行すれば、仕事のことを一切考えることなく、居住地を自由に選択できます。

「生活費を抑えるために物価が安い地方に移住する」、「農業に挑戦するために田舎に引っ越す」、「憧れの海外で生活する」など、自身の希望を叶えられます。

3.仕事のストレスを感じずに済む

早期退職で仕事から解放されることで、仕事のストレスを感じずにすみます。特に会社に勤めていると、職場の人間関係に悩んだり、仕事量やノルマのプレッシャーに押しつぶされそうになったりと、さまざまなストレスを抱えがちです。

早期にリタイアすることでストレスから解放されます。

4.趣味へのチャレンジなど人生の可能性が広がる

早期退職によって、趣味に熱中したり、新たな趣味を見つけられたりと、人生の可能性が広がるのもメリットです。これまで忙しくてできなかったことに挑戦でき、第二の人生を謳歌できます。

早期のリタイアにより、自由に使える時間が増えるほか、ストレスが減ることで心の余裕も生まれます。新しい趣味を見つけたり、興味のある分野の資格を取得したりなど、新たなチャレンジをするモチベーションが湧くことでしょう。

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早期退職(リタイア)の4つのデメリット

早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)には、前述のとおり多くのメリットがあります。自由気ままに豊かな生活を送りたい方におすすめです。

しかし、良い面ばかりではありません。早期退職にはデメリットもあるため、注意が必要です。デメリットを理解しないまま早期退職を実行してしまうと、期待どおりの生活を送れなかったり、予想外のトラブルに戸惑ったりする恐れがあります。

ここでは、早期退職の4つのデメリットについて解説します。

  • 孤独を感じ、時間を持て余す可能性がある
  • 年金額が減少し、資金不足に陥る可能性がある
  • 会社員のような福利厚生を享受できなくなる
  • 社会的信用度が下がり再就職が困難になる

デメリットについても十分に理解したうえで、早期のリタイアを実行するか否か決定しましょう。

1.孤独を感じ、時間を持て余す可能性がある

早期退職をしてすぐは、1日を自由に過ごせることに喜びや充実感を覚えるものです。しかし、人との関わりが少なくなり、徐々に社会から断絶されているかのような気分になる可能性があります。元同僚や同世代の友人が働いているのを見て強い孤独感を覚え、忙しい日々を羨ましく思うこともあるでしょう。

また、やることがなくなって暇になり、虚無感に陥ってしまうこともあります。働いていた頃に感じられていたやりがいや達成感を得るのが難しくなり、承認欲求が満たされず、かえって辛い思いをするケースも珍しくありません。

早期退職後の生活を満足のいくものにするためには、事前にどのような生活を送りたいかを明確にし、リタイア後に達成したい目標を掲げることが大切です。

2.年金額が減少し、資金不足に陥る可能性がある

定年より前に早期退職をすると、その分厚生年金の受給額が少なくなります。会社に勤めていると、受給できるのは国民年金と厚生年金の2つです。しかし、退職以後は国民年金分のみを支払うことになり、定年まで会社に勤めていた場合の満額よりも受給額が減ってしまいます。

早期退職をした場合は基本的に収入がなくなり、退職金を合わせた貯金と年金から生活費を捻出しなければなりません。突然の事故や病気、予想外のトラブルなどで突発的な出費が生じ、途中で資金が底をついてしまう可能性もあります。

資金不足に陥らないようにするためには、余裕のある資金計画を立て、早期退職後も収入を得られる手段を検討しましょう。

3.会社員のような福利厚生を享受できなくなる

会社を早期退職すると、これまで利用できていた福利厚生や保障を受けられなくなります。福利厚生は、社員の健康で充実した生活をサポートしてくれる存在です。

福利厚生や保障としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 健康保険・介護保険
  • 家賃補助・住宅手当
  • 健康診断費用の補助
  • 病気やけがの際の手当
  • 旅行やレジャー施設の優待

特に、健康保険や住宅、医療に対する手当を受けられなくなり、自分で支払わなければならない項目が増える点には注意が必要です。

福利厚生が受けられなくなることで負担額が増加することも踏まえて、資産計画を立てることが重要です。

4.社会的信用度が下がり再就職が困難になる

早期退職をするということは、無職になるということです。無職になると、安定した収入がないとみなされ、社会的信用度が下がります。その結果、クレジットカードやローンの審査、賃貸契約時の入居審査などに通るのが難しくなる可能性が高いです。

また、資金が足りなくなったり、元の生活が恋しくなったりして再就職を希望しても、再就職は難しいことを理解しておきましょう。早期退職によって発生した職歴・経歴のブランクは、就職活動ではマイナスに働きます。自分のやりたい仕事や、希望の年収を実現できる仕事に就くためには、高いスキルや専門性が必要になることが多いです。年齢が高ければ高いほど、再就職はさらに難しくなる傾向にあります。

再就職したくなるケースに備えたい場合は、早期退職ではなくセミリタイアを選択しましょう。退職後も何らかの仕事を続けて、職歴・経歴に穴を開けないことが大切です。

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早期退職(リタイア)成功に向けた4つのステップ

やみくもに早期退職(アーリーリタイア、早期リタイア)を実行しても、途中で生活費が足りなくなってしまったり、期待どおりの充実した生活を送れなかったりなど、失敗してしまう可能性が高いです。早期のリタイアに踏み切るためには、相応の準備が欠かせません。

ここでは、早期退職を成功するために必要な4つのステップを解説します。

  1. 早期退職後の人生プランを設計する
  2. 資産計画を立てる
  3. リタイアに向けて資産形成する
  4. 新たな収入源を確保する

早期退職に向けた具体的な手順を確認しておきましょう。

1.早期退職後の人生プランを設計する

まずは、後の人生プランを設計しましょう。人生プランを具体的に立てることで、理想的な生活を実現するために必要な金額が明らかになります。

たとえば、早期退職後はどのくらいの頻度で外食や旅行に行きたいか、子供をどのような学校に入れたいか、どのような趣味を続けたいかなど、ライフスタイルによって必要な金額は大きく異なります。

2.資産計画を立てる

早期退職に成功するためには、資産計画を明確に立てることが大切です。セミリタイアやFIREと異なり、早期退職後は基本的には年金と退職金以外の収入がなくなります。途中で費用が足りなくなることがないよう、事前に支出を洗い出しましょう。

子どもの学費や旅行にかかる費用、車の購入費用など、人生プランと年齢ごとに想定されるイベントをもとに、必要な費用を整理してください。

さらに、年金についても把握しましょう。早期にリタイアするとその分厚生年金が減るため、もらえる年金額が減る点に注意が必要です。年金を計算するためには、日本年金機構の「『ねんきんネット』による年金見込額試算」による年金見込額試算を活用しましょう。退職年齢や年金を受け取る年齢、未納分を今後納付した場合など、詳細な試算条件を設定して、将来受け取る年金見込額を試算できます。

参照元:日本年金機構「『ねんきんネット』による年金見込額試算」

3.リタイアに向けて資産形成する

資産計画を立てたら、早期退職に向けて資産形成を始めましょう。資産形成には、主に以下のような選択肢があります。

  • 株式投資
  • 投資信託
  • 不動産投資

それぞれの選択肢について解説します。

株式投資

株式投資は、株を購入して売値と買値の差から利益を得る方法です。株式投資には、短期間で株を売買して利益を得る短期投資と、将来的な企業価値の向上を予測して株を購入する長期投資があります。

短期投資は、ハイリスク・ハイリターンであることが多く、成功すれば短期間でまとまった利益を得られるのがメリットです。そのため、アーリーリタイアに向けて必要な資産を効率的に確保したい場合に適しています。

投資信託

投資信託は、専門家にお金を預けて、株式投資や公社債投資を任せる方法です。預けた金額に応じて、運用成果が分配されます。投資信託では、投資先を専門家が選定し、運用もプロに任せられるのが特長です。株式投資を自分で行うことにハードルを感じている方に適しています。

不動産投資

不動産投資は、アパート1棟やマンションの1室など、不動産物件を購入して第三者に貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。不動産投資は、金融商品に比べると値動きが激しくないため、ニーズが高い物件を見極められれば、安定して収入を得やすいというメリットがあります。

不動産投資を気軽に始めたい方には、1口から投資できる不動産小口化商品がおすすめです。不動産小口化商品では、複数人で1つの不動産物件に投資します。投資金額に応じて利益が分配される仕組みです。

いずれの投資方法も、リスクがある点に注意しましょう。株式投資や投資信託は、元本が保証されている金融商品ではありません。元本割れのリスクがある点を理解したうえで、投資判断をする必要があります。

不動産投資では、空室や家賃滞納が発生して収入がなくなってしまうのがリスクです。さらに、自然災害の影響で建物が被害を受けたり、金利上昇の影響で収支が悪化したりする可能性も否定できません。

4.新たな収入源を確保する

早期退職では、基本的に年金以外の収入源がなくなります。しかし、早期にリタイアするリスクをなるべく減らしたい方は、新たな収入源を確保しておくのが無難です。

退職後も収入源を確保すれば、生活水準を落とすことなく退職後の生活を謳歌できます。万が一の事態にも安心して対応できるでしょう。

また、早期退職後の再就職は難しいものになることを踏まえて、資産運用やネットビジネスなど、時間に縛られることなく取り組める収入源を残しておくことがおすすめです。リタイア後に収入がある場合、厳密には「早期退職」といえないかもしれませんが、後悔しないためにも新たな収入源を確保しておきましょう。

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まとめ

早期退職に成功するためには、退職後の生活資金を見積もり、必要な資金を貯金しておくことが大切です。早期退職を実現するために必要な貯金額は、退職する年齢やライフスタイルなどによって異なります。30代なら1億円以上、40代なら1億円弱、50代なら5,000万円程度の貯金が必要です。

早期のリタイアによって理想的な生活を手に入れるためには、早めに資産計画を立て、資産形成を計画的に進めましょう。

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