このページのまとめ
- 資金調達とは企業運営に必要な資金を獲得する活動のこと
- 資金調達には「負債の増加」「資本の増加」「資産の現金化」などがある
- 資金調達の方法ごとにあるメリット・デメリットを理解することが大切
- 資金調達のリスクは「キャッシュフローの悪化」「返済が困難になる」など
「資金調達を検討しているが、どの方法で行うべきかわからない」と悩んでいる経営者の方もいるのではないでしょうか。資金調達の方法は大きく6つあり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、正しく理解して選択することが重要です。
本記事では、資金調達の方法や各手法のメリット・デメリット、リスクと対策を解説します。返済が不要な資金調達法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
資金調達とは
資金調達とは、企業が安定した経営と持続的な成長を行うために、外部から必要な資金を獲得する活動のことです。具体的に資金を集める方法としては、借入れや投資などが代表的です。多くの企業は、新事業の立ち上げや設備投資、企業買収などを行う際に資金調達を必要とします。また、日々の経営活動にも、一定額の現金を確保しておくことが求められます。
資金調達は、ビジネスの機会を逃さず、市場で勝ち続けるために欠かせないプロセスといえるでしょう。
資金調達の種類とメリット・デメリット
資金調達の方法は、以下の6つに大別されます。
資金調達方法 |
具体的な手法 |
特徴 |
デットファイナンス |
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エクイティファイナンス |
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アセットファイナンス |
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M&A(事業譲渡)の実施 |
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補助金・助成金の活用 |
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クラウドファンディングの活用 |
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各方法の具体的な手法やメリット・デメリットを解説します。
1.負債を増やす「デットファイナンス」
デットファイナンスとは、銀行をはじめとした金融機関から融資を受けたり、社債を発行するなどをしたりして「負債」を増やし、資金調達する方法です。デットファイナンスの「デット(Debt)」は「負債」を意味し、貸借対照表では負債の部に記入されます。
デットファイナンスは、借入れによる資金調達であるため、元本の返済義務と利息の支払い義務が生じる点が特徴です。デットファイナンスを利用する際は、無理のない返済計画を立てることが求められます。そのためには、返済期間や元本金額、利息金額を正確に把握しておくことはもちろん、将来的な収益やキャッシュフローの予測が必要です。
デットファイナンスの具体的な手法は、以下のとおりです。
- 金融機関から融資を受ける
- 公的機関からの融資を受ける
- 金融機関やノンバンクからビジネスローンを借入れる
- 社債を発行する
- 私募債を発行する
- 投資家からの融資を受ける
社債とは、企業が発行する債券のことです。投資家からお金を借りるための借用書のようなものであり、資金調達を目的に発行します。
また私募債は、不特定多数の投資家を対象とする公募債とは異なり、限られた投資家が直接引受する社債のことです。銀行からの借入れを間接的な資金調達とした場合、私募債は資本市場から直接的に資金調達する形態と位置づけられます。
デットファイナンスのメリット・デメリットは下表をご参照ください。
メリット |
デメリット |
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各メリット・デメリットについて、解説します。
メリット
デットファイナンスのメリットとして、借入先の選択肢が多く資金調達のハードルが低いことが挙げられます。融資条件は金融機関ごとに設定されているため、たとえどこかの金融機関で断られたとしても、ほかの金融機関では融資を受けられることは珍しくありません。
返済計画が明確なことも、デットファイナンスのメリットです。金融機関から融資を受けた場合、支払うのは元金と利息に限られます。利率が一定であれば返済金額が明確になり、資金計画が立てやすいといえるでしょう。
また、借入れした資金を計画通りに返済することで、融資元からの信用度が上がることもポイントです。返済実績を積み上げていけば、やがて好条件の融資を受けられる可能性が高まります。そのほか、デットファイナンスのうち、一部の公的融資では無担保・無保証で借りられる場合があることもメリットの1つです。
デメリット
デットファイナンスでは、決められた期日までに借入れした資金を返済しなければなりません。借入れによる資金調達であるため、金利負担が発生することにも注意が必要です。
また、負債という性質上、デットファイナンスを利用すると自己資本比率が下がることもデメリットです。自己資本比率が低いと、借入依存度が高い傾向にあるとみなされるため、補助金や助成金、追加融資を受ける際に不利になるリスクがあります。
2.資本を増やす「エクイティファイナンス」
株式を発行することで資本を増やし、資金調達を行う方法が、エクイティファイナンスです。デットファイナンスが「他人調達資本」と呼ばれるのに対し、エクイティファイナンスは「自己調達資本」と呼ばれます。株式は借金ではないため、調達した資金を返済する必要がない点が特徴です。
まだあまり馴染みのない言葉ですが、資金調達手段の多様化を目指し、経済産業省がエクイティファイナンスを推進しようとする動きもみられます。
エクイティファイナンスは、以下のような方法で実施します。
- 第三者割当増資を実施する
- エンジェル投資家から出資を受ける
- ベンチャーキャピタルから出資を受ける
第三者割当増資とは、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を付与して行う増資です。エンジェル投資家とは、創業期の企業に出資する投資家のことであり、ベンチャーキャピタルとは、上場していないベンチャー企業に出資する投資会社やファンドを指します。
以下に、エクイティファイナンスのメリットとデメリットをまとめました。
メリット |
デメリット |
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各メリット・デメリットを解説します。
メリット
エクイティファイナンスは、あくまでも出資を受けて資金を調達する方法であり、借入れではありません。そのため、返済が不要です。また、将来IPOを期待されるスタートアップ企業の場合、ベンチャーキャピタルなどから金銭面のサポートやアドバイスの提供を受けられることがあります。
さらに、財務体質の強化が期待できるのも、エクイティファイナンスのメリットといえるでしょう。エクイティファイナンスで集めた資金は自己資本として扱われます。自己資本が増えると、一般的に財務の安全性を示す自己資本比率が高まります。
デメリット
エクイティファイナンスによって資金調達すると、株主に経営権を握られるリスクが生じる点がデメリットです。株主が保有する持ち株比率の向上に伴い、事業主の持ち株比率が低下するためです。
加えて、株主から配当金を求められる場合があることにも注意しましょう。株主は、事業の将来性に期待して出資しています。ある程度の収益を得られるようになったら、配当金を要求される可能性があるでしょう。
3.資産を現金化する「アセットファイナンス」
アセットファイナンスの「アセット」は資産、「ファイナンス」は資金調達の意味であり、企業が保有する資産を現金化して資金調達する方法です。資産には不動産や有価証券、売掛債権、商標権や特許などが含まれます。使用していない不動産や営業車などを売却し現金を得られれば、デッドファイナンスやエクイティファイナンスよりもコストも時間もかけずに資金調達を行えます。
アセットファイナンスを実施するための手法として挙げられるのは、主に以下のとおりです。
- 不動産や設備などの売却
- 商標や特許の売却
- 売掛債権の売却
- リースバックの利用
リースバックとは、営業車や設備などを一度リース会社に売却し現金化した後、それらをリース会社から賃貸して事業を継続する方法です。
下表に、アセットファイナンスのメリット・デメリットをまとめました。
メリット |
デメリット |
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メリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
メリット
アセットファイナンスは、売却できる資産があれば、借入れのための審査を受けることなく、迅速に資金調達できる点がメリットです。また、企業の信用度にかかわらず資金調達しやすい点も魅力といえるでしょう。業績が悪化している場合でも、保有資産の信用度が高ければ資金調達が可能です。
デメリット
売却できる資産がなければ、資金調達できない点がアセットファイナンスのデメリットとして挙げられます。また、資産の売却が周囲に知られると、企業イメージ低下につながるリスクにも考慮する必要があります。
4.M&A(事業譲渡)の実施
資金調達の手段として、M&Aを行うケースもあります。具体的には、事業譲渡を実施します。本業からやや外れる、あるいは今後の収益性を期待できない事業を売却することで、資金調達を行えることが特徴です。自社においては赤字もしくは収益性の低い事業であっても、他社からみて高いニーズがあれば譲渡可能なケースもあります。
M&A(事業譲渡)のメリットとデメリットは、主に以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
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各メリット・デメリットを解説します。
メリット
M&A(事業譲渡)も、借入れではないため返済の必要はありません。返済不要のまとまった資金を調達できるのは、メリットといえるでしょう。また、自社にとっての不採算事業を切り離すことで、企業をスリム化させ財務基盤を強化することが可能です。
デメリット
資金調達という視点で考えると、M&Aの成立までに時間がかかることが多いことに注意しなければなりません。少なくとも、半年から1年程度はかかる可能性があります。
さらに、M&A(事業譲渡)で従業員を引き渡す際は個別の承諾が必要です。譲渡する事業にかかわる取引先にも丁寧な説明を行い、理解を得ることが求められます。
5.補助金・助成金の活用
補助金や助成金を活用して、資金調達をする方法もあります。国や地方自治体などが利用に際して設ける一定の条件を満たし、審査に通過すれば資金調達が可能です。返済がないものも多いため、資金力に不安がある企業であっても利用できることがあります。
下表に補助金や助成金を活用して行う資金調達の、メリット・デメリットをまとめました。
メリット |
デメリット |
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メリット
補助金や助成金は、返済の必要のないものも多く存在します。返済不要の補助金や助成金であれば、コストをかけずにまとまった資金を得られる点が魅力です。
デメリット
支給対象となるためには、必要な要件を満たさなければなりません。また、申請にあたっては説明会への参加や書類作成に加え、面接が設けられている場合もあり、手間がかかる傾向にあります。補助金や助成金を受けた後に事後報告などを求められるケースもあるため、最後までしっかりと対応しなければなりません。
6.クラウドファンディングの活用
近年広がりをみせているのが、クラウドファンディングを活用した資金調達です。クラウドファンディングとは、インターネット上で支援者を募り、不特定多数の人から少額ずつ資金を集める仕組みで、返礼品を返すのが主流です。大きく「寄付型(購入型)」「融資型」「投資型」の3つのタイプが存在します。
クラウドファンディングを活用した資金調達における、メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
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各メリット・デメリットを解説します。
メリット
基本的に、クラウドファンディングサービスのサイトは無料で利用できます。通常、資金を集めた後に手数料がかかるものの、初期コストを抑えて資金調達ができる点がメリットです。
デメリット
クラウドファンディングのデメリットとして挙げられるのは、プロジェクトによっては目標金額に達成しないと資金調達ができないケースが存在することです。実施前に、プロジェクトが成立する確率や、成立に必要な支援者数などを調べておくことをおすすめします。
また、特に購入型のクラウドファンディングは、入金まで時間がかかることが一般的です。そのため、すぐに資金調達しなければいけない場合には不向きといえます。
【ケース別】おすすめの資金調達法
企業の規模や状況はさまざまです。ここでは、ケース別におすすめの資金調達法を解説します。
非上場企業・中小企業
非上場企業や中小企業の場合、金融機関からの融資が適しているといえるでしょう。日本政策金融公庫の融資や、ビジネスローンなどが該当します。
日本政策金融公庫の融資は、民間の金融機関よりも金利が低く、返済期間も長めの傾向があるため、リスクを抑えた資金調達をしたい中小企業におすすめです。ビジネスローンの金利は高めですが、比較的審査に通りやすいため、資金調達がしやすい点がメリットとして挙げられます。少額の資金調達であれば、金利負担もそれほど高くなくリスクを抑えて利用することが可能です。
業績が悪化している法人企業
業績が悪化している法人企業であれば、アセットファイナンスや補助金・助成金、政府系金融機関の融資などを検討するとよいでしょう。いずれも返済が不要であったり、金利が低めであったりするため、最低限のリスクで資金を確保できます。特に、アセットファイナンスは、業績や収益性にあまり影響を受けずに迅速に資金調達ができるためおすすめの手法です。
起業予定のベンチャー・スタートアップ企業
起業予定のベンチャー企業やスタートアップ企業に適しているのは、補助金・助成金や政府系金融機関の融資です。将来性が不透明な段階であるため、審査の厳しい融資やベンチャーキャピタルからの出資を受けるのは難しい可能性があります。
商品やサービスが形になっており、事業計画が提示できる場合は、クラウドファンディングの活用も視野に入れて検討しましょう。
M&A(企業買収)を予定している企業
M&A(企業買収)には、ある程度まとまった資金の調達が必要です。そのため、多額の資金を集めやすい公募増資や、金融機関からの融資を受けるのが適切です。上場企業の場合、公募増資を行うことで幅広い株主への募集が実現するため、多額の資金調達がしやすいでしょう。
自己資金が不足している個人事業主
個人事業主で自己資金が不足している場合、多額の資金は必要ないものの、資金調達が必要な状態であるといえます。中小企業と同様に、リスクを抑えて資金調達できる補助金・助成金の活用がおすすめです。
公的な金融機関や信用金庫などでは、個人事業主向けの融資制度が用意されていることが多く、それらを活用するのも手です。その場合、事業計画書や用意できる自己資金などが必要になるため、あらかじめ準備をしておきましょう。
資金調達のリスクと対策
資金調達は経営活動に不可欠なものですが、リスクを伴います。資金調達のリスクとして考えられるのは、以下の3点です。
- キャッシュフローが悪化する
- 返済が困難になる
- 株式が希薄化する
それぞれの内容を解説します。
キャッシュフローが悪化する
元金の返済や利息の支払いが必要な方法で資金調達をした場合、それらの負担によって資金繰りが厳しくなる場合があります。キャッシュフローの悪化を事前に防ぐには、返済不要の資金調達法の利用を検討することがおすすめです。返済が必要なケースでは、資金繰りの計画を適宜見直し、現金の流れを予測しておくことが求められます。
返済が困難になる
資金調達後に、返済が困難になる事態も避けなければなりません。対策としては、収益を確保できる事業を複数確保してリスクヘッジを行うことや、業績が低迷した際のシミュレーションをあらかじめ行っておくことなどが挙げられます。
株式が希薄化する
株式を発行して資金調達を行うエクイティファイナンスは、発行済みの株式の数が増えるため、1株当たりの価値が低下する要因となります。新株発行などによる増資は、資金調達における効果的な手段である一方で、株主にとっては1株あたりの配当が減少したり、経営権に及ぼす影響力が低下したりする面もあることに注意が必要です。結果的に保有株式の売却が進み、株価が低下することも想定されます。
しかし、増資が前向きな理由によるもので、企業の成長につながると判断されれば、株式を売却する株主の数もそこまで増加しないと考えられます。そのため、株主に対して経営戦略や長期的な計画をしっかりと説明しておくことが大切です。
資金調達を成功させるポイント
資金調達を成功させるために押さえておきたいポイントは、主に以下の3つです。
- ビジネスプランの精査
- タイミングの見極め
- ビジネスパートナーの確保と関係性の構築
各ポイントを解説します。
ビジネスプランの精査
資金調達を事前の計画通りに行うためには、ビジネスプランの精査は欠かせません。金融機関や投資家から支援を受ける際に、事業計画書で利益が確保できることや返済の可能性が高いことを示すことが重要です。「誰に向けて書くか」を意識し、具体的な戦略が伝わるように記載することがポイントです。そのため、売上や利益の数字を根拠を持って積み上げ、事業の実現可能性が高いことを強調する必要があります。
タイミングの見極め
資金調達を成功させるには、タイミングの見極めも大切です。金融機関から融資を受ける場合、融資の審査に通りやすいのは、財務状況が安定している企業といえます。つまり、事業が好調なタイミングで資金調達を行うのが、確実に資金を集めるためには有効です。一方で、経営状態が悪化し、手元の資金が少なくなったことを理由に行う資金調達は、選択肢が限られてしまう可能性が高いといえるでしょう。
ビジネスパートナーの確保と関係性の構築
自社の資金調達計画に合った条件やサービスを提供しており、かつ信頼できるビジネスパートナーを確保することも大切です。たとえば、ベンチャーキャピタルから資金調達をする場合、ベンチャーキャピタルは単なる資金提供者にとどまらず、経営に関する専門的なアドバイスやリソースを提供してくれる場合があります。適切なビジネスパートナーとの関係性の構築は、ビジネスの長期的な成功に寄与するといえるでしょう。
資金調達前に確認しておきたいポイント
資金調達前に確認しておきたいポイントは、主に以下の2つです。
- 街金融資などのノンバンクローンは必要に応じ利用する
- 融通手形の発行は慎重に行う
各ポイントを解説します。
街金融資などのノンバンクローンは必要に応じ利用する
企業が置かれた状況によるものの、街金融資や商工ローンなどのノンバンクローンを、はじめから資金調達の選択肢に挙げるのは、避けるのが賢明といえるでしょう。これらのローンは、来店不要であったり、審査基準もそこまで厳しくなかったりするため、利便性が高く支持されています。
しかし、一般的に金利が高い傾向にあることに注意が必要です。また、法律が整備される前は、無理な取り立てを行うローン会社が存在していたといったことが理由で、銀行のような金融機関で借りられなかった事業者が利用するというイメージを持たれることがあります。それにより、規制や罰則が強化された昨今においても、ノンバンクからの借入記録があると財務状況に問題がある企業とみなされるリスクがあります。
融通手形の発行は慎重に行う
融通手形の発行は、慎重に行うように意識しましょう。融通手形とは、資金を必要とする者が融通してくれる者から、振り出してもらう手形のことです。融通してくれる者との商取引の裏づけがなくても手形が振り出されることが特徴です。
融通手形は、金融機関からの借入れが困難になった場合に利用される傾向にあります。予定通り返済できなかった場合、手形を発行した側と流通後の手形を受け取った側の両方に迷惑をかけ、信頼を損ねる可能性があることに注意しなければなりません。
借入れ以外の資金調達方法
ビジネスは、必ずしも事業計画通りに進むとは限りません。企業を取り巻く環境や市場の変化によって、予定通りに収益を確保できなくなることもあります。そのような場合、調達した資金を返済するのが難しくなってしまうでしょう。資金の返済に悩む状況を避けたいなら、借入れ以外の資金調達方法を確認しておくのがおすすめです。
ここでは、以下の2つの資金調達方法をご紹介します。
- 在庫などの資産の売却
- 取引先への前払金の支払いの依頼
それぞれの内容を解説します。
在庫などの資産の売却
在庫などの資産の売却も、資金調達の手段として検討する余地があるでしょう。商品を販売している企業で、倉庫などに眠っている在庫がある場合は、それらを売却することですぐに資金調達できる可能性があります。仕入価格と比較すると損失が出る場合が多いものの、少しでも資金を確保するためには有効な方法です。
在庫を抱えていると、管理のためのコストもかかってしまいます。無駄なコストを削減するためにも、在庫を売却して資金調達をするのも選択肢の1つです。在庫量によっては、それなりの金額を回収できる場合があります。
取引先への前払金の支払いの依頼
取引先に前払金の支払いの依頼をすることも、資金を調達するための方法です。前払金とは、商品やサービスの提供を受ける前に支払うお金のことです。特に、他の企業と商品やサービスが比較的差別化されているような場合は、着手時に前払いとして入金してもらえる場合があります。
返済不要な資金調達法
返済不要な資金調達の方法としては、主に以下の4つが挙げられます。
- 出資
- ファクタリング
- 補助金・助成金
- クラウドファンディング
たとえ返済不要の資金調達法でも、手数料が発生するものも多いことがポイントです。下表に、それぞれの手数料や入金までの期間をまとめました。
手数料 | 入金までの期間 | |
出資 | 出資額の1~2%程度※出資先による | 最短即日~3か月程度 |
ファクタリング | 売掛債権の1%~20%程度 | 最短即日~2週間 |
補助金・助成金 | なし | 長期化するものが多い |
クラウドファンディング | 調達した金額の10%~20%程度 | 1~2か月程度 |
出資やクラウドファンディングは、資金調達自体のハードルは高いものの、ケースによっては多額の資金調達も可能であることが特徴です。そのため、新規事業の立ち上げや創業などに向いています。
ファクタリングとは、簡単にいうと、売掛金をはじめとした売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい資金調達するサービスです。売上金額以上の調達はできませんが、比較的短期間で入金され、使い道の制限がないため事業の運転資金に適しています。
補助金・助成金は、要件を満たしていないと申請ができません。しかし、申請要件に合致する場合は、手数料の支払いがないためコストを抑えて資金を調達できます。
まとめ
資金調達とは、企業運営に必要な資金を獲得する活動のことです。新事業の立ち上げや設備投資、企業買収などを行う際に資金調達を必要するほか、日々の経営活動にも一定額の現金を確保しておくことが求められます。
資金調達の方法は、「デットファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」「M&A(事業譲渡)の実施」「補助金・助成金の活用」「クラウドファンディングの活用」に大別されます。
デットファイナンスは、銀行をはじめとした金融機関から融資を受けたり、社債を発行したりするなどして「負債」として資金調達する方法です。エクイティファイナンスは、株式を発行することで自己資本として資金調達を行う方法です。また、アセットファイナンスは、企業が保有する資産を現金化して資金調達する方法を指します。
その他、資金調達の手段として、M&A(事業譲渡)を行うケースもあります。補助金・助成金やクラウドファンディングの活用も、資金を集める方法として有効です。
資金調達は経営活動に不可欠なものですが、「キャッシュフローが悪化する」「返済が困難になる」「株式が希薄化する」といったリスクを伴うことに注意が必要です。キャッシュフローの悪化を防ぐには、資金繰りの計画を定期的に見直し、現金の流れを予測することが欠かせません。滞りなく返済を続けるには、収益を確保できる事業を複数確保してリスクヘッジを行うことや、業績が低迷した際のシミュレーションをあらかじめ行っておくことが求められます。
返済不要な資金調達の方法としては、「出資を受ける」「ファクタリングを活用する」「補助金・助成金を利用する」「クラウドファンディングを活用する」などが挙げられます。
ビジネスは、必ずしも事業計画通りに進むとは限らず、予定通りに収益を確保できなくなることもあるでしょう。そのようなリスクを考慮して、あらかじめ返済不要の資金調達法を検討する選択肢もあります。
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M&Aの実行にあたって行う資金調達についてお悩みなら、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。
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