このページのまとめ
- ネームクリアとは匿名で打診し社名や情報を開示する行使
- ネームクリアを行うタイミングは秘密保持契約締結後
- ネームクリアのメリットは「M&Aの動きを隠せる」「従業員の離職防止につながる」
- ネームクリアのデメリットは「M&Aのチャンスを逃しやすい」「情報漏洩のリスクがある」
- ネームクリアを行うためには専門家のサポートが重要
「M&Aに必要なネームクリアの内容や流れが知りたい」と考えている経営者も多いことでしょう。M&Aのトラブルを防ぐためにも、ネームクリアの手順を踏むことは大切です。
本コラムでは、ネームクリアを実施するタイミングや、メリットデメリットを解説します。M&Aの流れのなかで、どのようにネームクリアを行うかも紹介するため、M&Aを行うための参考にしてください。
目次
ネームクリアとは
ネームクリアとは、匿名で打診した売り手企業の社名を買い手企業に開示する行為のことです。
M&Aを行う場合、まずは匿名の状態で企業のリストアップが行われます。その後、M&Aの実施が本格的に決まれば、情報公開に移ります。この情報公開がネームクリアであり、企業がM&Aの実行を検討するプロセスです。
M&Aを実行するに値しないと判断された場合、ネームクリア後に破談になる場合もあります。
関連記事:M&Aの流れ・フローをわかりやすく解説!手続きの進め方や検討事項も紹介
ネームクリアを行うタイミング
ネームクリアを行うタイミングは、秘密保持契約を締結したあとです。秘密保持契約に「取引に関する情報を公開しない」と契約で定められるからです。
M&Aを行う場合、企業情報の漏洩が起きてしまうことで、トラブルが起きたり、悪用されたりしてしまいます。
秘密保持契約の締結により「使用目的や範囲の決定」「情報漏洩時の賠償」などを定められるため、ネームクリアで情報公開ができるようになります。
ネームクリアを行う2つのメリット
ネームクリアを行うことで、次の2つのメリットが発生します。
- M&Aを検討していることを隠せる
- 従業員の離職防止につながる
それぞれのメリットに関して、解説します。
1.M&Aを検討していることを隠せる
ネームクリアには、M&Aの検討を隠せるメリットがあります。M&Aを検討していることが周囲に知られてしまうと、金融機関の融資が止まってしまったり、取引先から契約を打ち切られてしまったりするからです。
ネームクリアの活用でM&Aを隠しておけば、想定されるリスクや企業の混乱を防ぐことができるでしょう。
2.従業員の離職防止につながる
従業員の離職防止につながる点も、ネームクリアのメリットです。M&Aの話を聞き、不安になって退職する従業員を減らせるからです。
M&Aの噂が立つと、会社が売りに出されると思い、退職を考える従業員も現れます。従業員が退職してしまうと、業務の進行はもちろん、人材獲得を目標とする買い手のM&A意思にも影響を与えます。
ネームクリアでM&Aの情報を隠すことができれば、従業員に不安を与えません。従業員の離職を防ぎ、M&Aが破談になるリスクも避けられるでしょう。
ネームクリアを行う2つのデメリット
ネームクリアを行うことには、次の2つのデメリットがあります。
- M&Aのチャンスを逃しやすい
- 情報漏洩のリスクがある
それぞれのデメリットに関して解説します。
1.M&Aのチャンスを逃しやすい
ネームクリアを行うことで、M&Aのチャンスを逃しやすくなります。売り手の場合、自社の魅力がアピールできず、買い手に見つかりにくくなるからです。
買い手側でも、ノンネームシートに書かれた情報だけでは判断しにくいデメリットがあります。経営に対するビジョンが合っている企業とのマッチングを逃してしまうこともあるでしょう。
2.情報漏洩のリスクがある
秘密保持契約を結んでいない場合、情報漏洩のリスクがあるため注意しましょう。ネームクリアを行うことで、企業名や自社の情報が開示されるからです。しかし、買い手からすると、ネームクリアがなければ企業の情報が分からず、M&Aの検討ができません。
情報漏洩のリスクを防ぐためにも、ネームクリア前に秘密保持契約を結びましょう。秘密保持契約が結ばれない場合、ネームクリアをしないことも検討が必要です。
ネームクリアを実施する際の流れ
ネームクリアを実施する場合、次のような流れで行います。
- M&A仲介会社に依頼する
- ノンネームシートを作成する
- ノンネームシートを提示する
- 買い手企業が交渉相手を選ぶ
- ネームクリアを行う
- M&Aを開始する
それぞれの流れに関して解説するため、参考にしてください。
1.M&A仲介会社に依頼する
ネームクリアを行うためには、M&Aの交渉相手を探す必要があります。交渉相手をスムーズに探すために、M&A仲介会社に依頼しましょう。
2.ノンネームシートを作成する
ノンネームシートとは、M&A仲介会社が準備する、M&A案件の情報をまとめた資料のことです。ノンネームシートには、次のような内容が記載されています。
- 事業の分野
- 事業の規模
- 会社の業績
ノンネームシート作成時の注意点は、企業名が特定されない情報を記すことです。自社のWebサイトに記載してある情報を載せてしまうと、自社が特定されてしまいます。売上や従業員数、資本金のように、特定される情報は載せないようにしましょう。
3.ノンネームシートを提示する
ノンネームシートが作成できたら、買い手候補に対してノンネームシートを提示します。送付に関しては、M&A仲介会社が行うことが一般的です。
買い手候補選定にあたり、ロングリストも作成しましょう。ロングリストとは、買い手候補の基本的な情報をまとめたリストのことです。次のような内容を記載します。
- 企業名
- 代表者名
- 所在地
- 主な商品やサービス
- 資本金
- 従業員数
- 売上・利益
- 企業WebサイトのURL
- 担当者、または問い合わせ先メールアドレス
M&Aでは、売り手がM&A仲介会社を利用せず、マッチングサイトを活用する場合があります。その場合、ノンネームシートの情報は、Webサイト上に開示されるため覚えておきましょう。
4.買い手企業が交渉相手を選ぶ
ノンネームシートが送られてきた買い手は、交渉相手を選びます。買い手がM&A仲介会社に連絡を行うことで、次の段階に進みます。
ネームクリア実施前には、秘密保持契約を締結しましょう。情報漏洩が起きた場合、売り手企業に損害が発生する恐れがあります。秘密保持契約を結び、情報公開の目的を定めたり、流出時の損害賠償請求を行えるようにしておきましょう。
5.ネームクリアを行う
秘密保持契約を結んだら、ネームクリアを行います。ネームクリアと同時に、インフォメーション・メモランダムを受け取りましょう。インフォメーション・メモランダムには、次のような情報が記載されています。
- 企業名
- 所在地
- 資本金
- 株主構成
- 役員
- 従業員数
- 組織図
- 過去3年から5年の税務情報
- 事業計画
買い手は受け取った情報に疑問がある場合、質問を行えます。その際、回答するかどうかは、売り手が決めることができます。
6.M&Aを開始する
ネームクリアで問題がなければ、M&Aを開始します。買収金額など、具体的な条件交渉を進めましょう。条件交渉では、次のような内容を相談するケースが一般的です。
- 取得シェア
- 買収金額
- M&Aスキーム
- M&Aの実施スケジュール
条件交渉が成立すれば、基本合意契約書の締結を行います。その後はM&A成立を目指し、デューデリジェンスの実施、クロージングなどを行いましょう。
まとめ
M&Aの交渉相手を探す場面では、ネームクリアが行われます。ネームクリアを行うことで情報が開示され、より具体的な交渉まで話が進む重要なプロセスです。
ただし、ネームクリアを行ってもM&Aが成立するとは限らないため注意しましょう。ネームクリアで明らかになった情報を検討した結果、M&Aが破談になる場合もあります。
ネームクリアをスムーズに進めるためには、M&A仲介会社に相談しましょう。専門家のサポートを受けることで、必要な手続きをスムーズに進められます。想定外のトラブルが起きた場合でも、対応してもらえるでしょう。
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