【M&Aの成功事例48選】成功のポイントや企業の失敗事例も解説
2023年12月13日
このページのまとめ
- M&A件数はコロナ禍やM&Aに対するイメージの変化により増加傾向にある
- 後継者不足は若干改善傾向にある
- 事業拡大・経営資源集約化・競争力強化を目的としたM&Aが多い
- 事業規模にかかわらず、多くの企業はM&Aにより成長している
M&Aを検討している人のなかには、「どのような会社が買収を成功させているのだろうか?」と疑問に思う人もいることでしょう。他社の成功事例は、戦略を立てたり目標を設定したりする際の参考となります。
本記事では、M&Aの成功事例を48選ご紹介します。国内企業のみならず海外企業が関連する成功事例も解説するので、海外で事業展開を考えている人も参考にしてください。
目次
2023年最新M&Aの傾向
ここでは、2023年における最新のM&Aについて説明します。傾向としては、大きく、次の4点に要約されます。
- M&Aの件数は増加傾向にある
- 後継者不足は若干改善傾向にある
- コロナ禍の影響も考えられる
- M&Aに対するイメージが変化している
次に、それぞれについて説明しましょう。
M&Aの件数は増加傾向
中小企業庁が発表している「2022年版 中小企業白書」に記載されているレコフデータによると、M&Aの件数は2021年には4,280件と過去最高です。以下は、過去10年のM&A件数を表にしたものです。
M&A件数の推移(2012年〜2021年)
年 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
件数 | 1,848 | 2,048 | 2,285 | 2,428 | 2,652 | 3,050 | 3,850 | 4,088 | 3,730 | 4,280 |
前年比 | +200 | +237 | +143 | +224 | +398 | +800 | +238 | −358 | +550 |
こちらの表から、2020年のみ例外ではあるものの、この10年間のM&A件数は増加傾向にあることがわかります。増加要因としては、第三者への事業承継が増えたことが挙げられますが、ほかにもIT技術分野における経営課題も一因となっています。
現代においては、大企業だけでなく中小企業もビッグデータやAI、IoTなどのIT技術に対応しなければなりません。そのため、IT人材の確保やスキル、技術獲得を目的としたM&Aが増えているのです。
今後も、IT関連企業のM&Aは増加していくことが予想されています。
参照元:中小企業庁「2022年 中小企業白書」
後継者不足は若干改善傾向
2022年に帝国データバンクが発表した「全国企業 後継者不在率 動向調査(2022)」によると、後継者不足は若干改善傾向にあり、後継者不在率は2011年以降初めて60%を下回りました。
業種別においても、全業種で前年を下回っています。特に製造業は、2011年の調査以降初めて50%を下回りました。
反対に、最も不在率が高かったのは建設業ですが、建設業においても最も不在率の高かった2017年に比べ7.8ポイント低下しています。
参照元:株式会社帝国データバンク「後継者不在率 動向調査(2022)」
コロナ禍による影響
M&Aが増加したのは、コロナ禍という未曾有の危機のなか、自社の将来性について改めて向き合った企業が多かったことが理由の一つです。
多くの業種で経済活動が制限されるなか、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したことが、M&Aの増加に寄与しました。
また、国や自治体、金融機関だけでなく、民間のM&A仲介会社やプラットフォームの台頭もM&Aの増加に拍車をかけています。
特にM&A仲介会社が手付金を廃止し、完全報酬型にシフトするところが増えたため、資金力の弱い会社でも利用しやすくなったことも理由の一つでしょう。
M&Aに対するイメージの変化
M&Aに対するイメージの変化も、M&A件数が増えている要因です。中小企業庁の「中小企業白書(2021)」によると、事業承継や成長戦略の手法としてM&Aを位置付ける企業が増えており、M&Aに対するイメージは全年代において良好になっています。
また、この結果における地域差はなく、都市部の企業だけでなく地方の企業にとってもM&Aは一般的な経営手法の一つとして捉えられていることがわかります。
後継者不在率が若干改善しているとはいえ、後継者不足は依然として大きな課題です。今後も、M&Aによる第三者への事業承継が増えていくことが予想されます。
参照元:中小企業庁「中小企業白書(2021)」
有名企業のM&A成功事例16選
有名企業のM&A成功事例を確認してみましょう。
ここでは、次の16件の事例を紹介します。
- 資生堂の成功事例
- 京セラコミュニケーションシステムの成功事例
- KDDIの成功事例
- 楽天の成功事例
- ヤフーの成功事例
- 野村不動産の成功事例
- ビックカメラの成功事例
- マネックスグループの成功事例
- りそな銀行の成功事例
- ソニーの成功事例
- ココカラファインとマツモトキヨシの成功事例
- 富士フイルムホールディングスの成功事例
- 三菱地所の成功事例
- 博報堂DYホールディングスの成功事例
- ニトリホールディングスとエディオンの成功事例
- イオンの成功事例
自社のM&Aを成功させるためにも参考にしてください。
1.資生堂の成功事例
2017年11月、化粧品の製造販売を行う資生堂はGiaranの買収を行いました。資生堂は、Giaranの持つ人工知能技術などの先進技術を使い、美容分野での顧客ニーズを満たすコンテンツ作成を行うことを目的にすると発表しています。
具体的にはAI技術の活用により、バーチャル環境を利用したメイクアップや、AIで個人個人に合わせて適切なメイクアップのアドバイスができるようになります。
参照元:資生堂「資生堂がアメリカ地域本社を通じて米国ベンチャー企業Giaran Inc.を買収」
2.京セラコミュニケーションシステムの成功事例
京セラコミュニケーションシステムは、AIを活用した画像処理技術の強化を目的に、Ristの買収を行いました。
Ristは、ディープラーニングや機械学習を使い、画像システムの開発やデータ解析を行っている企業です。独自開発した技術から、億の実績を上げてきました。京セラコミュニケーションシステムもディープラーニングを使用した画像認識システムを提供しており、技術力強化やスピードアップが期待できるとしています。
また、京セラコミュニケーションシステムが買収を行ったことで、スタートアップ企業のRistが資金確保に成功しました。資金をもとに優秀な人材を獲得したり、職場環境改善に成功しています。
参照元:京セラコミュニケーションシステム株式会社「株式会社Ristの株式取得について」
3.KDDIの成功事例
通信大手のKDDIは、ALBERTとの資本業務提携を行いました。2018年12月に、発行済み株式の3.09%を14.1億円で取得すると発表しています。
KDDIは、携帯事業を中心に、金融や保険などさまざまな事業を展開する企業です。近年では、ビッグデータ分析に力を入れ、事業強化を目指しています。
ARISEは「ビッグデータ分析」「AIアルゴリズム開発とシステム導入」「データサイエンティストの育成支援」などを手掛ける企業です。早期のAIネットワーク社会実現に向けて事業を続けています。
このM&Aにより、KDDIグループでより高度なデータ分析技術を活用し、顧客に寄り添ったサービス展開を目指すと発表されています。
参照元:KDDI「KDDIとALBERT (アルベルト) による資本業務提携について」
4.楽天の成功事例
2018年には、楽天がフリマアプリを運営する子会社「Fablic」を吸収合併しました。経営効率化とフリマアプリ事業のサービス向上のためと発表されています。
このM&Aでは、Fablicが運営するフリマアプリの利用者を、楽天が運営するフリマアプリにも取り込むために行われたとされています。結果として、楽天とFablicのユーザーが、互いのフリマアプリを使用する状況を作り出しており、シナジー獲得に成功しました。
参照元:楽天「当社完全子会社(株式会社Fablic)の吸収合併 (簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」
5.ヤフーの成功事例
2019年、ヤフーはZOZOの買収を行いました。どちらもネット通販事業を行っている会社であり、注目を集めたM&Aです。
ZOZOは、大手ファッションサイトZOZOTOWNを運営している企業です。圧倒的なシェアを持ち、商品の梱包や発送、返品などのカスタマーサービスを行っています。ヤフーはインターネット事業の大手で、ネット上のショッピングモールである「PayPayモール」を運営しています。
今回のM&Aは、PayPayモールにZOZOTOWNを出品させ、集客力を向上する目的で行われました。約4,007億円でZOZOTOWNの発行済み株式の取得に成功しています。
参照元:株式会社ZOZO「Zホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」
6.野村不動産の成功事例
2019年、野村不動産は「庭のホテル 東京」「東京グリーンホテル後楽園」などの運営を行う、隆文堂および、UHMの全株式を取得したと発表しました。野村不動産が掲げる中長期経営計画にもとづき、実行したと発表しています。
野村不動産は、ホテル事業への進出に力を入れており、隆文堂とのM&Aもその一環です。隆文堂はミシュランガイド東京で10年続けて高評価を得ているなど、人気のホテルになります。
参照元:野村不動産株式会社「「庭のホテル 東京」を保有する株式会社隆文堂の全株式取得完了のお知らせ」
7.ビックカメラの成功事例
2018年家電量販店のビックカメラが、エスケーサービスを完全子会社化しました。エスケーサービスは、家電の配送や取り付け、製品の納品などを行っている企業です。
ビックカメラがM&Aを行った目的は、配送サービスの品質向上です。エスケーサービスは首都圏を中心に配送サービスを行っていることから、事業を強化できると注目しました。
また、家電の取り付けも行えるため、家電量販店であるビックカメラとの相性も良い企業です。製品の販売から配送、設置までを一貫してできるようになることから、利用者増加が期待できるとしてM&Aを実行しています。
この取引は株式交換で行われ、比率はビックカメラ1に対して、エスケーサービスが301でした。
参照元:株式会社ビックカメラ「簡易株式交換による株式会社エスケーサービスの完全子会社化に関するお知らせ」
8.マネックスグループの成功事例
2018年、マネックスグループは仮想通貨を扱うコインチェックを買収しました。買収額は36億円であり、完全子会社化を行っています。
買い手であるマネックスグループは、金融事業会社の株式を所持する持株会社です。傘下にはネット証券を持ち、ベンチャー企業への投資事業も行っています。売り手であるコインチェックは、仮想通貨の取引所を運営しています。2017年には、ビットコインの取引高で日本一も記録しました。
マネックスグループがM&Aを行ったのは、仮想通貨事業に将来性があると考えたからです。仮想通貨の交換業を営む企業は複数ありますが、そのなかでも利用者の多いコインチェックを買収しました。
また、マネックスグループが持つノウハウを活かすことで、コインチェックの成長を加速できると考えています。金融業で培ったノウハウから、顧客へのサポートを行うことで継続した仮想通貨の交換業を提供できると発表しています。
参照元:マネックスグループ株式会社「株式取得によるコインチェック株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」
9.りそな銀行の成功事例
りそな銀行がシンガポールの「AFC Merchant Ban」を買収した事例も成功事例です。この事例では、りそな銀行がすべての株式を取得し、完全子会社化を行いました。
売り手企業の「AFC Merchant Ban」は、シンガポールに拠点を置く金融サービスを提供する企業です。りそな銀行は、日系企業に対して金融サービスを提供するために、このM&Aを行いました。
りそな銀行はインドネシアやシンガポールなどに事務所を置いていましたが、東南アジアまでのサポートはできていませんでした。「AFC Merchant Ban」の買収により、これまでサービス提供ができていなかった「マレーシア」「タイ」「フィリピン」などにも展開できるようになり、M&Aが成功しています。
参照元:株式会社りそなホールディングス「AFC Merchant Bank(ASEAN FINANCE CORPORATION LIMITED)の子会社化に関するお知らせ」
10.ソニーの成功事例
2017年にソニーが行ったM&Aも事業強化に成功した事例です。
買い手の「Sony Pictures Television Networks」は、親会社であるソニー・ピクチャーズエンタテインメントの番組や映画などを配信する企業です。一方で、売り手の「Funimation Productions Ltd.」は、英語版のアニメなどを配給する企業でした。
ソニーがM&Aを行った理由は、アニメ配信先の増加です。売り手の「Funimation Productions Ltd.」はさまざまな媒体で配信を行っており、モバイル端末での配信も可能です。ソニーは売り手のサービス活用により、利用者が増加できると考えました。
デジタルチャンネルやテレビのサービス強化を目的にM&Aを実施し、成功した事例です。
参照元:「Sony Pictures Television NetworksがFunimation株式の大部分を取得」
11.ココカラファインとマツモトキヨシの成功事例
2021年、ココカラファインとマツモトキヨシは経営統合に合意したと発表しました。共同株式移転による持株会社を設立し、マツモトキヨシの松本清雄社長がトップとして舵取りを行います。
両社はともに化粧品の構成比が高く、都市部とその周辺に多くの店舗を持つという特徴があります。各種リソースやインフラ、ノウハウを共有することにより、デジタル化やグローバル展開を強化するとのことです。両社は、この経営統合により、競争の激しいドラッグストア業界のトップに躍り出ました。
参照元:株式会社ココカラファイン「株式会社マツモトキヨシホールディングスとの経営統合に関するご案内」
12.富士フイルムホールディングスの成功事例
2008年、富士フイルムホールディングスは富士化学工業と資本・業務提携で合意し、66%の株式を取得し完全子会社化しました。買い手である富士フイルムホールディングスは、このM&Aにより本格的に医療用医薬品事業へ参入しています。
富士化学は、インフルエンザ治療薬やアルツハイマー病治療薬のパイプラインを有している会社です。富士フイルムホールディングスは、富士化学を治療領域の中核企業と位置づけ、拡大を目指します。
このM&Aは、現在のメディカル・ライフサイエンス事業を1兆円規模の総合ヘルスケア事業に成長させることを目的としたものです。富士フイルムホールディングスは、今後も必要があれば、さらなるM&Aを行う可能性を示唆しています。
参照元:富士フイルム富山化学株式会社「富士フイルムグループの歴史」
13.三菱地所の成功事例
2022年、三菱地所は、日本リージャスホールディングスの全株式を取得し子会社化しました。
日本リージャスホールディングスは、世界最大のワークスペースプロバイダーであるIWC plc(スイス)からプロダクトの提供を受け、レンタルオフィス「Regus」や「SPACES」などを展開している企業です。三菱地所は、株式取得によりIWC各ブランドの運営・開発権を取得しています。
今後は、日本リージャスホールディングスが展開する拠点を承継し、ワークスペース領域の事業拡大を目指します。
参照元:三菱地所株式会社「株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ」
14.博報堂DYホールディングスの成功事例
2022年、博報堂DYホールディングスは、デジタルホールディングス傘下のソウルドアウトの株式を取得し買収しました。完全子会社化を目指し、残りの株式について公開買付を開始すると発表しています。
地方企業の広告費に占めるネット広告は、東京に比べ半分以下で、今後のさらなる需要が見込まれています。
売り手であるソウルドアウトは、インターネットを重点領域としており、中小企業や地方企業が主要顧客です。博報堂DYホールディングスは、買収により、新規顧客を獲得することに成功しました。
参照元:ソウルドアウト株式会社「拝啓、ソウルドアウトグループを応援してくださる皆さまへ」
15.ニトリホールディングスとエディオンの成功事例
2022年、ニトリホールディングスは、エディオンの株式を取得し資本業務提携を行うことで合意しました。
ニトリホールディングスは、家具やインテリア用品の販売・製造・輸入を展開する企業です。一方、エディオンは家電販売事業やリフォーム事業、通信事業、モバイル事業、ロボットプログラミング教育事業、エネルギー管理システム事業などを行っている企業です。
この資本業務提携により、魅力的な店舗開発や商品ラインアップの拡充、EC事業におけるシナジー創出、物流ネットワークおよび設置サービスなどの相互活用を期待できるとしています。
参照元:株式会社ニトリホールディングス「株式会社エディオンとの資本業務提携に関するお知らせ」
16.イオンの成功事例
2022年、イオンはマックスバリュー西日本とオリックスが保有していたハローズの8.51%の株式を譲り受け、マックスバリュー西日本に代わって第3位の株主となっています。
売り手企業であるハローズは、岡山や広島、愛媛、香川、徳島、兵庫で24時間営業で展開している食品スーパーです。イオンは、M&Aによりグループ間の株を集約し、子会社の成長戦略を推進するとしています。
参照元:株式会社ハローズ「IR情報 株式状況」
大手企業のM&A成功事例14選
ここでは、大手企業のM&A成功事例を14件紹介します。
- 凸版印刷の成功事例
- ベネッセ・ホールディングスの成功事例
- ヒト・コミュニケーションズの成功事例
- 大正製薬の成功事例
- 日本電産の成功事例
- 住友重機の成功事例
- ダスキンの成功事例
- エレコムの成功事例
- 味の素の成功事例
- 日本郵政の成功事例
- 加ト吉(現:テーブルマーク)の成功事例
- ウエルシアホールディングスの成功事例
- ポールトゥウィンホールディングスの成功事例
- GMOインターネットの成功事例
企業によって成功のポイントが違うため、参考にしてください。
1.凸版印刷の成功事例
出版業界の大手企業が、物流のDX市場に参入を目指し、成功した事例です。
2021年、出版の大手企業凸版印刷は、「アイオイ・システム」の子会社化を行うと発表しました。アイオイ・システムは、物流・製造支援システムや機器の開発を行っている企業です。
凸版印刷は2005年よりM&Aを積極的に実施しており、市場拡大や事業拡大に力を入れています。このM&Aの目的は、物流業界でのDX事業への参入と言われています。
物流市場はデジタル変革の影響もあり、順調に成長を続けてきました。しかし、競争の激化や人手不足などの問題を抱えています。そのために必要となるのが、デジタル技術を生かしたDXの取り組みです。
凸版印刷はアイオイ・システムと取引を行うことで、サプライチェーンのデジタル化をはかりました。両社の技術やノウハウを組み合わせることで、物流の効率化や、社会的コスト低減を目指すと発表しています。
参照元:凸版印刷株式会社「凸版印刷、デジタルピッキングシステムのアイオイ・システムを子会社化」
2.ベネッセ・ホールディングスの成功事例
介護事業の拡大を目的にM&Aを実施し、成功を収めたのがベネッセ・ホールディングスです。介護や福祉に関するメディア運営や、人材事業などを行う「プロトメディカルケア」の買収を行いました。
ベネッセ・ホールディングスは、教育事業や介護事業を営む企業です。介護事業では、介護士などの人材派遣、介護サービスなどの運営を行っています。今回のM&Aは、介護業界にシェアを持つプロトメディカルケアの買収を行うことで、介護事業拡大ができると考え実行しました。
参照元:株式会社ベネッセホールディングス「株式会社プロトメディカルケアの株式取得に関する株式譲渡契約締結のお知らせ」
3.ヒト・コミュニケーションズの成功事例
2021年、ヒト・コミュニケーションズは「UsideU」の買収を行いました。ヒト・コミュニケーションズは、派遣事業やアウトソーシング事業を行う企業で、UsideUはオンライン接客事業を展開する企業になります。
このM&Aは、オンライン接客分野の課題解決を目指し行われました。需要の高まる非対面や非接触の営業を強化し、生産性向上を実現する目的です。ヒト・コミュニケーションズは自社が持つ営業力を活用し、オンライン接客市場での独自ポジションを構築すると発表しています。
参照元:株式会社ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ 」
4.大正製薬の成功事例
医薬品販売や新薬開発などを行う大正製薬は、ドクタープログラムの買収に成功しました。ドクタープログラムは、化粧品の開発や販売を行う企業です。
大正製薬がM&Aを行った理由は、通信販売の強化とスキンケア事業の拡大です。セルフメディケーション事業を強化するために、通信販売の拡大が必要と考えていました。ドクタープログラムが持つ技術を組み合わせることで、短時間の成長ができると考え、M&Aが行われています。
参照元:大正製薬ホールディングス株式会社「キョーリン製薬ホールディングス株式会社の連結子会社であるドクタープログラム株式会社の株式取得に関するお知らせ」
5.日本電産の成功事例
日本電産の「エマソン・エレクトリック」買収も成功事例の1つです。電子部品や精密機械の製造販売を行う日本電産は、同じく電子部品の製造販売を行うエマソン・エレクトリックを買収しました。この買収により、北米の市場獲得に成功しています。
また、日本電産はエマソン・エレクトリックとのM&A以外にも、2社の買収を行っていました。北米市場と合わせて、順調に市場の拡大に成功しています。
参照元:日本電産株式会社「米国エマソン・エレクトリック社(Emerson Electric Co.)のモータ・ドライブ事業及び発電機事業の買収完了と新子会社概要」
6.住友重機の成功事例
2018年、住友重機はイタリアの「Lafert S.p.A」を買収しました。M&Aの目的は、ヨーロッパ市場の開拓と技術向上です。
住友重機は総合機械メーカーであり、精密機械や建設機械などの製造を行っています。買収相手になったLafert S.p.Aは、産業用のモーターなどの製造販売を行う企業でした。Lafert S.p.Aは顧客に合わせたカスタマイズに定評があり、その高い技術力獲得を目的にM&Aが行われています。
参照元:住友重機械工業株式会社「イタリア産業用モータメーカ Lafert(ラファート)グループの株式等の取得(子会社化)に関するお知らせ」
7.ダスキンの成功事例
2021年、生活関連事業を営むダスキンは、「EDIST」の買収を行いました。EDISTが忙しい女性をサポートするためのファッションレンタルサイトを運営しており、生活関連事業の拡大が目指せると考えたためです。
ダスキンは株式譲渡により、EDISTの完全子会社化に成功しました。ダスキンが抱える顧客と、EDISTのオンラインマーケティングのノウハウを融合させ、新しい暮らしのテーマに取り組むと発表しています。
参照元:株式会社ダスキン「株式会社EDISTの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
8.エレコムの成功事例
2021年、デジタル機器の開発販売を行うエレコムは、「フォースメディア」の買収に成功しました。フォースメディアはコンピューターの周辺機器などの輸入販売事業を行っています。
エレコムがM&Aを行ったきっかけは、BtoCからBtoBへの転換です。BtoB事業を行うにあたり、フォースメディアが扱う商品やサポート体制が役立つと考えてM&Aを行いました。このM&Aにより、スケールメリットを活かした物流面の改善とグループ全体の売り上げ拡大を目指すとしています。
参照元:エレコム株式会社「株式会社フォースメディアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
9.味の素の成功事例
食品企業の味の素は、数々のM&Aを成功させています。特に、トルコの「キュクレ食品」「オルゲン食品社」とのM&Aでは、商品開発や販路拡大に成功しました。
キュクレ食品は調味料の販売を行う企業で、オルゲン食品社は粉末スープや加工食品の製造販売を手掛ける企業です。トルコは親日国家であり、地理的にも良い場所にあることから、M&Aに踏み切りました。
その結果、トルコだけではなく、中東での事業拡大や強化にも成功しています。
参照元:味の素株式会社「味の素(株)、トルコの食品会社キュクレ食品社を100%子会社化」
10.日本郵政の成功事例
2021年、日本郵政は楽天と業務提携を行いました。日本郵政は郵便をはじめとする物流事業を展開している企業であり、楽天はインターネット関連事業をはじめとする70以上ものサービスを展開している企業です。
日本郵政は、「物流」「モバイル」「DX」「金融」「EC」の5つの分野で協力し、シナジーの最大化を図るとしています。
参照元:楽天株式会社「日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意」
11.加ト吉(現:テーブルマーク)の成功事例
2007年、日本たばこ産業(以下、JT)は日清食品と共同で、冷凍食品国内最大手である加ト吉を買収し3社の冷凍食品事業を統合しました。まず、JTがTOBで加ト吉の全株式を取得し、その後日清食品に加ト吉株式の49%を譲渡する形です。
JTは、たばこ販売事業では世界3位ですが、国内のたばこ市場の縮小対策に事業の多角化を進めていました。日清食品は、即席めん販売では国内最大手の会社で、冷凍食品事業の強化を図っていたところです。加ト吉は、冷凍・冷蔵めん製造において高い技術を有する会社ですが、不正会計で落ち込んだ事業の立て直しを図る必要がありました。
JTは、「各社の強みを活かし、製造から販売まで理想的なバリューチェーンの構築が可能となる」と発表しています。
参照元:株式会社加ト吉 日本たばこ産業株式会社 日清食品株式会社「加ト吉、JT及び日清食品における冷凍食品事業の統合について〜冷凍食品事業を中核とするグローバル食品メーカーを目指して〜」
12.ウエルシアホールディングスの成功事例
2022年、ウエルシアホールディングスは、沖縄でドラッグストアや調剤薬局を展開しているふく薬品の52.58%の株式を取得し、子会社化しました。
ふく薬品は、沖縄において最大のドラッグストア店です。一方、ウエルシアホールディングスは小売業大手イオンの子会社で、調剤併設型ドラッグストアのウエルシア薬品などを運営しています。
ふく薬品を子会社化し、ウエルシアホールディングスのノウハウや人材などを同社に導入することで、経営規模の拡大が期待できます。
参照元:ウエルシアホールディングス株式会社「株式会社ふく薬品の株式取得(子会社化)についてのお知らせ」
13.ポールトゥウィンホールディングスの成功事例
ポールトゥウィンホールディングスは、主にゲームやインターネット、EC、テクノロジーなどの業界で、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業を行っている会社です。同社は、事業を拡大するための有効な経営手段としてM&Aを活用しています。
特に2022年に実施したアクアプラスの全株式取得による完全子会社化は、業界内でも大きな反響の呼んだものの一つです。
同社の沿革をみれば、事業成長の加速に、いかにM&Aが大きな役割を果たしたのかがわかります。
参照元:ポールトゥウィンホールディングス株式会社「沿革」
14.GMOインターネットの成功事例
2021年、GMOインターネットは飲食店予約管理サービスの開発・オンラインサービスを行っているOMAKASEを買収し子会社化しました。
GMOインターネットは、インターネットインフラに強みを持ち、インターネット広告・メディア、インターネット金融、暗号資産、オンラインゲーム・モバイルゲームなどを行っています。
GMOインターネットは、OMAKASEを子会社化することにより、インターネットインフラ事業でシナジー効果を得られ、業績を拡大できるとしています。
参照元:GMOインターネットグループ株式会社「GMOインターネットグループに株式会社OMAKASEがジョイン〜予約困難な飲食店に特化した予約管理サービスを展開〜」
中小企業のM&A成功事例8選
中小企業のM&A成功事例には、次のような事例があります。
- コウイクスの成功事例
- 小野写真館グループの成功事例
- ゴーゴーカレーの成功事例
- 新栄工業の成功事例
- PEAKSの成功事例
- 三洋興熱の成功事例
- 吉岡機工の成功事例
- 三和建設の成功事例
それぞれの事例に関して、解説します。
1.コウイクスの成功事例
IT企業のコウイクスは、事業承継を目的に買収されました。買い手であるSDアドバイザーズは、非金融システムへの参入を目的にしています。
コウイクスは社長の高齢化もあり、事業承継を検討していました。社内での事業承継を希望していましたが、社内承継が難しく、第三者へのM&Aに踏み切っています。
この事例では、株式譲渡が用いられ、会社売却を行いました。2020年には、SDアドバイザーズがコウイクスの株式を取得し、子会社化に成功しています。コウイクスは事業承継に成功しただけではなく、従業員の主体性向上や経理のデジタル化などのメリットも獲得できました。
参照元:株式会社コウイクス「事業承継のお知らせ」
2.小野写真館グループの成功事例
中小企業でも、異業種M&Aで成功した事例があります。小野写真館グループは、温泉旅館を営む「桐のかほり咲楽」の買収を行いました。小野写真館グループはフォトスタジオの運営が中心であり、異業種での実行になっています。
売り手の桐のかほり咲楽は、後継者が不在となり、事業承継目的のM&Aを検討していました。一方で、買い手の小野写真館グループは新型コロナウイルスの影響もあり売り上げが減少、業種を超えて売上を拡大したいと考えていました。M&Aを行うことで双方の課題が解決できると考え、取引が行われています。
この事例では事業譲渡が使用され、3ヶ月でM&Aが成立しました。小野写真館グループは旅館にフォトスタジオを併設したり、旅館で貸し切り挙式を行うなどの新しい事業を展開し、成功を収めています。
参照元:小野写真館グループ「伊豆河津の隠れ宿「桐のかほり 咲楽」をM&Aで取得」
3.ゴーゴーカレーの成功事例
同業でM&Aを行い、成功した事例もあります。カレーチェーン店を運営するゴーゴーカレーは、国内でインド料理店を営むスニタトレーディングを買収しました。
売り手のスニタトレーディングは、手作りカレーをデパートに卸していましたが、あまり利益がでていませんでした。その後、自社製品の味を広げる目的で、EC販売に強い企業への工場売却を検討していました。
買い手のゴーゴーカレーは、インドカレーブランドの展開を進めており、工場売却を検討していたスニタトレーディングと思惑が合致したことでM&Aを行っています。
この事例では、事業譲渡が行われました。スニタトレーディングはゴーゴーカレーの販路を活用できるようになったことで、自社ブランドの展開がしやすくなりました。ゴーゴーカレーも向上を獲得し、新しいメニュー開発ができるようになったことから、両社にメリットがあるM&Aが実施できています。
参照元:株式会社ゴーゴーカレーグループ「老舗インド料理「SAMRAT(サムラート)」製造部門をM&A。イスラム教徒(ムスリム)の訪日客増加に「ハラールカレー」の提供可能に!」
4.新栄工業の成功事例
2020年、金属プレス加工メーカーの新栄工業は、後継者不在に悩んでいたアポロ工業を株式譲渡により傘下に引き入れました。
新栄工業は、金型設計から個別包装まで、一貫したサービスを提供している金属プレス加工メーカーです。一方、アポロ工業株式会社は、高品質な自動車部品や電子部品を製造する会社で、高い技術力が強みです。
新栄工業は、技術者の育成に課題を抱えていました。一方、アポロ工業は、後継者不在が差し迫った問題でした。両社は、M&Aを行うことで、それぞれの問題を解決することができたのです。今後は、グループ内で技術や人材、ノウハウを共有しつつ、企業同士が切磋琢磨して事業拡大を目指したいとしています。
参照元:新栄ホールディングス株式会社「新栄ホールディングスについて」
5.PEAKSの成功事例
2023年、京都のフードテクノロジー関連企業のPEAKSは、新潟県の老舗みそ店山本味噌醸造場を譲り受けました。
PEAKSは、2021年に創業した新たなビジネスモデルを目指すスタートアップ企業です。同社社長は、自身の経験から「健康と科学、食品をテーマにフードテクノロジーを手がけたい」と、今回の買収に至ったとのことです。
売り手である山本味噌醸造場は、手作り味噌店として100年以上の歴史を誇ります。山本味噌醸造場は、このM&Aにより事業承継が叶い、今後も伝統や顧客を守ることができるとしています。
参照元:公益財団法人 にいがた産業創造機構「株式会社山本味噌醸造場【第三者承継|京都府のスタートアップ企業が上越市の老舗の味噌づくりを承継】」
6.三洋興熱の成功事例
2018年、北海道の三洋興熱は、同じ北海道のハチロから株式譲渡を受け事業を受け継ぎました。
買い手の三洋興熱は、石油製品や自動車の販売、プロパンガス・ガス器具の販売、設備工事業などを営みます。一方、売り手のハチロは、建設設備の管工事業を手がける地元に根ざした会社です。しかしながらハチロは、後継者不在が理由で廃業を検討していました。
ハチロは従業員の完全雇用や技術者の確保、取引先の継続などを条件に、三洋興熱に事業を引き継いでもらいました。ハチロの社長は、三洋興熱の依頼もあり、株式譲渡後も引き続き経営に携わっています。
参照元:三洋興熱株式会社「会社沿革」
7.吉岡機工の成功事例
2022年、機械工具の専門卸商社として80年以上の歴史を誇る吉岡機工は、同じく機械工具の販売を手がける利工堂を株式譲渡で引き継ぎました。
吉岡機工は、自動車製造に必要なツールの販売を主軸に、事業を展開してきた老舗企業です。一方、売り手企業の利工堂は、東京に拠点を置く同業で、後継者不在の問題を抱えていました。
吉岡機工は、利工堂を株式譲渡することにより、新規エリア参入や取引先の拡大が図れるとしています。また利工堂は、このM&Aにより後継者問題を解決できました。
参照元:吉岡機工株式会社 「会社案内」
8.三和建設の成功事例
2022年、総合建設業の三和建設は、関東圏を基盤に塗装工事を手がける森塗装工業の全株式を取得し、完全子会社化しました。
売り手企業の森塗装は、塗装工事をメインとし、防水工事やシーリング工事を手がけます。特に改修工事に強みを持つ会社ですが、後継者不在に悩んでいました。
三和建設は、業績を順調に伸ばしていましたが、今後の人口減少による市場規模の縮小や競争の激化を見据えM&Aを実施したとのことです。今後は、森塗装の特化した技術や品質、プロセスなどの情報を承継し、改修工事部門の強化を目指すとしています。
参照元:三和建設株式会社「COMPANY HISTORY」
海外企業が関係するM&Aの成功事例10選
海外企業が関係するM&Aの成功事例には、次のような事例があります。
- サッポロホールディングスの成功事例
- セブン&アイ・ホールディングスの成功事例
- JT(日本たばこ産業)の成功事例
- ハインツとクラフト・フーズの成功事例
- 鴻海(ホンハイ)の成功事例
- アサヒグループホールディングスの成功事例
- ソニーインタラクティブエンタテインメントの成功事例
- KKRの成功事例
- ベーリンガーインゲルハイムの成功事例
- 研華股份有限公司の成功事例
それぞれに関して紹介します。
1.サッポロホールディングスの成功事例
2022年、サッポロホールディングスはアメリカの「ストーンブリューイング」を子会社化すると発表しました。ストーンブリューイングはクラフトビールメーカーです。
サッポロホールディングスはストーンブリューイングが持つ工場を獲得し、自社ブランドを成長させることを目的にしています。また、有力なブランドを獲得できたことから、北米の酒類市場に参入し、シェア拡大していくことも期待されています。
参照元:サッポロホールディングス株式会社「Stone Brewing Co.,LLC の持分取得(子会社化)に関するお知らせ」
2.セブン&アイ・ホールディングスの成功事例
コンビニエンスストアを営むセブン&アイ・ホールディングスは、アメリカのマラソン・ペトロリア社から、コンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」の買収に成功しました。
マラソン・ペトロリア社は、アメリカで3,900店舗を展開する企業です。セブン&アイ・ホールディングスの店舗は買収によって14,000店を超え、アメリカの都心部のうち47の地域で事業展開ができるようになりました。
参照元:株式会社セブン&アイ・ホールディングス「当社子会社による米国 Marathon Petroleum Corporation からのコンビニエンスストア事業等に関する株式その他持分取得についてのお知らせ」
3.JT(日本たばこ産業)の成功事例
JT(日本たばこ産業)が、アメリカの「RJRナビスコホールディングス」を買収した事例も成功事例です。この買収により、「ブランド」「販売網」「ノウハウ」などの獲得に成功しました。
この成功には、売り手従業員のモチベーションを維持するために、給与や賞与体系の統一を行った背景があります。買収後はたばこの販売本数が10倍まで増加し、シナジー獲得に成功しています。
4.ハインツとクラフト・フーズの成功事例
2015年、アメリカ食品大手のクラフト・フーズ・グループとケチャップで知られる米HJハインツは、合併することで合意しました。合併後は、食品・飲料業界で北米3位、世界5位の規模になりました。
合併後の新会社名をクラフト・ハインツと改め、今後は両社の強みを活かし、原材料の調達コスト削減や販路拡大を目指すとしています。
参照元:KraftHeinz「HJハインツ・カンパニーとクラフト・フーズ・グループがクラフト・ハインツ・カンパニー設立のための最終合併契約に署名」
5.鴻海(ホンハイ)の成功事例
2016年、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業はシャープの買収を決定したと発表しました。当初の出資額より減額したものの、鴻海グループがシャープの株式66%を取得し子会社化しました。日本の大手電機メーカーが、外資系企業に買収されたのは初めてのことです。
経営不振に陥っていたシャープは、鴻海から資金を得て、今後はディスプレイの有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)に注力するとしています。
参照元:シャープ株式会社 「Joint Press Release」
6.アサヒグループホールディングスの成功事例
2019年、ビール大手のアサヒホールディングスは、豪州のビール最大手であるカールトン&ユナイテッドブルワリーズを約1兆2,100億円で買収しました。
売り手企業のカールトン&ユナイテッドブルワリーズは、メルボルンに本拠地を置き、同国内5ヵ所に醸造所を持つビール大手企業です。アサヒホールディングスは、好調が続いている海外事業に加速をつけ、アジア太平洋地域におけるシェア拡大を目指します。
参照元:アサヒグループホールディングス株式会社「AB InBev 社の豪州事業の株式取得及び新株式発行にかかる発行登録に関するお知らせ」
7.ソニーインタラクティブエンタテインメントの成功事例
2022年、ソニーグループでゲーム事業を手がけるソニーインタラクティブエンタテイメントは、米ゲーム会社のバンジーを買収しました。買収額は約4,100億円で、ゲーム業界の大型M&Aとして注目を集めました。
バンジーは西部ワシントン州にあるゲーム開発会社で、シューティングゲームのデスティニーシリーズが有名です。ソニーグループは、多様なエンターテイメントと技術資産を活用し、バンジーの進化を支えると表明しています。
映画や音楽市場を大きく上回るゲーム業界では、今後も、M&Aによる構造変化が起こるだろうと推測されています。
参照元:Sony Interactive Entertainment「ソニー・インタラクティブエンタテイメント、世界有数の独立系ゲーム開発会社であるBungie社を買収へ」
8.KKRの成功事例
2014年、パナソニックは、ヘルスケア部門の80%を米投資会社KKRに売却することで合意しました。このM&Aにより、ヘルスケア社を完全子会社とするSPCは、パナソニックが20%、KKRが80%出資比率の共同持株会社となりました。
新しいヘルスケア社は、パナソニックブランドを活用しながら、KKRの潤沢な資金と医療業界のハウを背景に、グローバルでの成長を目指すとしています。
参照元:PHCホールディングス株式会社「パナソニック ヘルスケア株式会社の株式取得手続きの完了に関するお知らせ」
9.ベーリンガーインゲルハイムの成功事例
2017年、ベーリンガーインゲルハイムグループの子会社であるベーリンガーインゲルハイム・ジャパン・インベストメント合同会社は、エスエス製薬を完全子会社化することを目的とした株式公開買付けを実施しました。
国内のヘルスケア市場は、規制緩和や消費者の健康志向を背景に需要が見込まれていますが、他方、個人消費の低迷や価格競争激化も予想されています。このM&Aにより、ヘルスケア市場における地位をより一層強化し、発展できるとしています。
参照元:エスエス製薬株式会社「コンシューマー・ヘルスケアのリーディングカンパニーを目指して」
10.研華股份有限公司の成功事例
2018年、産業用コンピューター分野においてトップシェアを誇る台湾の研華股份有限公司(アドバンテック社)は、オムロンの子会社であるオムロン直方の株式30%を取得しました。
この株式取得により、研華股份有限公司は、日本での組込みシステム分野の市場シェア拡大を目指します。また同社は、地域密着の製造サービスの増強とIoTプラットフォームにおいて、オムロンとの連携強化を図るとしています。
参照元:オムロン株式会社「オムロン直方株式会社の株式譲渡に関するお知らせ」
M&Aの失敗事例5選
M&Aは成功だけではなく、失敗してしまうこともあります。日本では、次のような失敗事例が有名です。
- 丸紅の失敗事例
- パナソニックの失敗事例
- 富士通の失敗事例
- 西友の失敗事例
- 三菱地所の事例
これまでの失敗事例からも学びましょう。
1.丸紅の失敗事例
カントリーリスクの例として、丸紅の事例が有名です。カントリーリスクとは、投資を行う国の政治経済などが原因で発生するリスクのことです。
丸紅は2012年に、アメリカの穀物大手「ガビロン」を買収しました。しかし、穀物大手の買収をしたことで、中国政府から中国市場での寡占化を警戒されてしまいます。その結果、中国でのビジネスが禁止され、中国向け輸出で首位だった丸紅は一気に業績不振となりました。
ビジネスが禁止されたことで利益が出ず、ガビロンののれん代から500億円の減損損失を計上しました。M&Aを行う際には、カントリーリスクに注意しなければならないとされる事例です。
参照元:日本経済新聞「丸紅、米ガビロン買収を発表 2860億円で」
2.パナソニックの失敗事例
2009年、家電事業を営むパナソニックは、リチウムイオン電池で世界シェア首位を獲得していた三洋電機を4,000億円で買収しました。2011年には完全子会社化も行っており、合計で8,100億円以上の投資を行ったと言われています。
しかし、想定していたリチウムイオン電池事業の読みが外れ、6,000億円の評価損を計上してしまいました。
参照元:東洋経済ONLINE「パナソニックの大誤算、三洋買収で巨額損失」
3.富士通の失敗事例
総合ITベンダーの富士通は、1990年にイギリスの国策IT企業「ICL」を買収しました。1,890億円で完全子会社化に成功しています。
その後、電算機で世界2位になり、新拠点としてドイツ企業を買収するなど、順調に成果を出していました。しかし、その後は業績が悪化し、2007年3月期には2,900億円の評価損を計上しています。
参照元:富士通株式会社「関係会社株式等評価損の計上に関するお知らせ」
4.西友の失敗事例
2002年、日本のスーパーマーケット西友が、アメリカの小売業「ウォルマート」と資本提携を行いました。経営改善を目的にした資本提携でしたが、改善されることなく、2005年に西友は子会社化されてしまいました。
また、2007年には1,000億円を投資し、完全子会社化されています。最終の投資総額は2,470億円を超えました。資本提携を行った段階で完全子会社化をしていれば、1,000億円の投資で済んだと言われており、投資の失敗例として有名です。
5.三菱地所の事例
バブル崩壊により、失敗してしまったのが三菱地所です。三菱地所はアメリカ「ロックフェラーグループ」の買収を行いました。
しかし、買収後にバブルは崩壊し、1,500億円以上の赤字を出してしまいました。また、買収時にほかの企業と競り合った結果、買収価格が高騰したことも大きなダメージになっています。
最終的には、取得した物件のほとんどをアメリカに売却してしまう事態になっています。
M&Aを成功させる6つのポイント
M&Aを成功させるためには、次の6つのポイントを意識しましょう。
- M&Aは早めに動く
- 自社に関して説明できるようにしておく
- 経営者同士の相互理解を深める
- デューデリジェンスは必ず行う
- 従業員や取引先の理解を得る
- 金融機関にも協力してもらう
- それぞれのポイントに関して、解説します。
1.M&Aは早めに動く
M&Aの実施を決めたら、早めに動くようにしましょう。M&Aは経済や業界の動向に影響を受けやすく、実施しやすいタイミングがあります。実施が遅れてしまうことで交渉相手が見つからず、悪い条件で実行しなければならなくなってしまうかもしれません。
M&A実行に向けて、まずはM&A仲介会社に相談しましょう。検討段階からでも相談しておくことで、適切なアドバイスがもらえます。
2.自社に関して説明できるようにしておく
候補企業を探す際は、自社に関して説明できるようにしておきましょう。次のような内容に関して、説明の準備を進めておくと安心です。
- 自社の強み
- 自社の弱み
- 所持している技術やノウハウ
- 従業員の状況
- 顧客別の売上高や採算性
- 商品ごとの売上高や採算性
自社の情報を整理しておくと、候補企業から興味をもってもらえたときに、すぐに説明できます。また。自社に関して情報を整理しておくと、希望条件の優先順位を考える際にも役立ちます。
3.経営者同士の相互理解を深める
交渉を円滑に進めるためには、経営者同士の相互理解も重要です。M&A成立後も協力するケースが多いため、良い関係が作れるようにしましょう。
特に、中小企業の場合は経営者の人脈が大切になります。経営者が離れることで取引先が離れてしまったり、従業員が離職してしまうこともあるでしょう。取引先の消失や人材の流出が起きると、企業価値は下がってしまいます。
売り手と買い手に上下関係はないため、対等で良好な関係を築きましょう。
4.デューデリジェンスは必ず行う
M&Aでは、デューデリジェンスを必ず行いましょう。デューデリジェンスとは、売り手企業に対する調査であり、売り手が提示した情報に間違いはないか、リスクを抱えていないかなどを調べるプロセスです。
デューデリジェンスの範囲には、次のような種類があります。
- 財務
- 法務
- 税務
- 労務
- ビジネス
- 不動産
デューデリジェンスを行わないことで、M&Aに失敗するケースもよくあります。売り手に問題がないか調査し、問題がある場合には買収価格の調整や対応策の検討などを行いましょう。
また、デューデリジェンスは専門家への依頼が必須です。税務なら税理士、法務なら弁護士のように、各分野の専門家に依頼しましょう。
5.従業員や取引先の理解を得る
従業員や取引先の理解を得ることも欠かせません。特に、企業のキーパーソンになる人材とは、早めにコミュニケーションをとっておきましょう。キーパーソンがほかの従業員に働きかけてくれれば、従業員の不満を解消させたり、トラブル対応を担ってくれたりします。
また、取引先に関しても、あいさつ回りを行っておきましょう。取引先によっては、M&Aの事前了解を行わなければならないケースもあります。契約状況も確認しておきましょう。
6.金融機関にも協力してもらう
中小企業の場合、金融機関に協力してもらい、融資を受けることも必要です。融資が通らないとM&Aが実行できなくなる場合もあるため、注意しましょう。
協力を得るためには、普段からM&Aを考えていることを相談しておくことが大切です。あらかじめ話をしておけば、必要なタイミングでサポートしてもらえるでしょう。
まとめ
M&Aを行う場合は、他社の成功事例が参考となります。どのような目的で実施するのか、またどのようなシナジー効果を得られるのかなど、大小さまざまな規模の事例から探ってみてください。
また、M&Aは国内企業同士だけでなく、海外企業が絡んだ事例が増加しています。将来、海外への事業展開を検討している場合は、相手先候補として海外企業も選択肢の一つになり得るでしょう。
M&Aを成功に導くためには、M&Aにおける知見やノウハウが豊富な専門家への依頼が欠かせません。とくに、相談から成約まで一貫したサポートが得られるM&A仲介会社はおすすめです。
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