バイアウトとは?使い方や成功させるためのポイントを分かりやすく解説
このページのまとめ
- バイアウトとは、企業の株式を買収し、経営権を手に入れる手法
- バイアウトの種類は主に「MBO」「EBO」「MEBO」「LBO」の4つ
- バイアウトは社内の人間が、経営の立て直しや利益のために実施することが多い
- バイアウトファンドとは、投資家から資金を集めて投資を行って収益を分配すること
- バイアウトを成功させるためには、企業価値や財務情報を把握することなどが大切M
企業に人材不足や業績の伸び悩みなどの問題が生じることは珍しくありません。
事業の継続が難しくなった際に検討される対策のひとつに、バイアウトと呼ばれる方法があります。バイアウトは聞いたことはあるけど、詳しい意味は分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、バイアウトの手法や成功させるためのポイント、イグジットやM&Aとの違いについても紹介します。
バイアウトとは
バイアウト(Buy out)とは、日本語では「買収」や「買い占め」という意味です。
業績の悪化や人材不足、後継者の不在などの理由から業務の継続が難しくなった企業や事業を立て直すために利用されます。
バイアウトとは、企業の株式を買い手が全て、もしくは半数以上を買収することで、企業の経営権を取得する手法です。
投資家や起業家が利益を得る方法としても注目されており、株式を買い取り、親会社から独立することを指してバイアウトと呼ぶこともあります。
バイアウトは、株式を買い取る主体者次第で、いくつかの種類に分けられます。
バイアウトの逆は?
バイアウトによく似た言葉として「セルアウト(Sell out)」というものがあります。
セルアウトとは、バイアウトとは反対の意味で「売却」を指します。
従業員や経営者が企業の株式を買い取りバイアウトする際には、株式の売り手である経営者や株主にとってはセルアウトを行ったといえるでしょう。
日本においては創業者が事業を売却する際も、株式の売買による取引を行うという意味合いで「バイアウト」と呼ばれることがあります。
バイアウトの4つの種類とそれぞれの目的
ひとことでバイアウトといっても、企業の株式を誰が買い取るか次第で、細かく4つの種類に分けられます。
ここからは、それぞれのバイアウトについて誰が株式を買い取るか、どのように経営権が変わるのかを紹介。また、各バイアウトの目的も解説します。
1. マネジメント・バイアウト(MBO)
マネジメント・バイアウトは企業の経営者がバイアウトを行う形式で、MBOとも呼ばれます。英語表記は「Management Buy Out」です。
企業の経営陣がバイアウト資金を調達して、株式をオーナーから買い取ることで、経営者の権限を持つ手法です。
後継者問題の解決に対しても非常に効果的な手段であり、経営陣で株式を押さえているため、経営者から見て信頼のできる人物を後継者として指名できる副次的効果を得られます。
マネジメント・バイアウトに必要とされる資金は少なくとも数千万以上にのぼるため、金融機関やファンドからの資金調達をすることが一般的です。
マネジメント・バイアウトの目的
マネジメント・バイアウトは、自社にある一部の事業を経営陣が買い取り、独立した経営権を取得する目的で利用されます。
経営権を独立させる理由としては、迅速な意思決定が可能になることや、思い切った成長戦略・経営の効率化を図り、企業の成長・立て直しができるためです。
経営陣が経営権を得るため、一般の投資家から関与されることがなく、投資家の意見に左右されません。
また、経営権の争奪に関連する「敵対的買収」からの防衛処置としても使われています。
そのほか、上場企業では、経営者が株式を株主から買い戻して上場廃止をするために、バイアウトを選択することもあります。
2. エンプロイー・バイアウト(EBO)
エンプロイー・バイアウトは、従業員がバイアウトを行う形式で、略語でEBOとも呼ばれます。英語では「Employee Buy Out」と表記します。
EBOは、従業員がバイアウト資金を調達し、事業の継続を前提に株式を買い取ることで経営権を得る方法です。
ただし、従業員が自社の株式の全て、または半分以上を取得するだけの資金を用意しなければならないため、資金調達の準備ができるかが課題といえるでしょう。
これまで、基本的には金融機関からの融資を受ける形でEBOは行われていましたが、近年では、ファンドからの投資を受けてEBOを行う例も増えてきました。
エンプロイー・バイアウトの目的
エンプロイー・バイアウトは、企業に後継者がいない場合に、従業員を後継者として指名し、企業や事業を社内承継する目的で利用されます。
長年事業に携わってきた従業員を後継者にできるため、企業の経営や取引先との信頼関係も受け継がれ、取引先や社内からの反感を受けにくい方法といえるでしょう。
また、経営方針をこれまでのものから全く新しいものに変える際に、エンプロイー・バイアウトが利用されます。
3.マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)
マネジメント・エンプロイー・バイアウトは、企業の経営者と従業員が協力して行うバイアウトの形式で、MEBOと呼ばれます。MEBOは「Management & Employee Buy Out」の略称です。
MEBOでは、会社の経営権を得るために、経営陣が行動するだけでなく、従業員の自発的な行動が重要であるとされます。
MEBOに参加した従業員は経験を積むことができ、また、自発的に経営戦略に関わるようになるでしょう。
ただし、買収に必要な資金の調達が難しく、株式を購入する従業員の人数が少ないと成立しないなどの理由から、マネジメント・エンプロイー・バイアウトを成功させることは難しいといわれています。
マネジメント・エンプロイー・バイアウトの目的
マネジメント・エンプロイー・バイアウトでは、マネジメント・バイアウトと同じく、経営陣が経営権を得ます。
そのため一般の投資家から関与されることがなく、投資家の意見に左右されず、合理的な経営が可能です。
また、エンプロイー・バイアウトと同じように従業員も出資できるため、従業員は企業や事業の業績の向上に伴って資産を増やせます。
4. レバレッジド・バイアウト(LBO)
レバレッジド・バイアウトは、M&Aとしての手法の1つで、略語でLBOと呼ばれます。英語で省略せずに書くと「Leveraged Buy Out」です。「Leveraged」には、テコの作用という意味があります。
これは、買い手企業が譲渡対象企業の資産や収入から支出を差し引いた資金(キャッシュフロー)を担保にバイアウト資金を調達し、株式を買い取る手法です。
バイアウト後の借入金は、買収された企業の負債になり、キャッシュフローから返済します。
マネジメント・バイアウトやエンプロイー・バイアウトでは、自社内で経営者が代わっていました。一方で、レバレッジド・バイアウトでは、経営者は社外の人物に代わります。
レバレッジド・バイアウトの目的
レバレッジド・バイアウトの目的は、第三者(企業)の資金援助を受けて、少ない自己投資から大きな利益を得ることです。
今後の事業展開が期待できる場合には、レバレッジド・バイアウトでの支援が受けやすく、買い手企業へのリターンにも期待できます。
バイアウトの具体的な手法
ここからは、4種類あるバイアウトの手法について、誰が買い取ることで、どのようにして経営権が移るのか、詳しく紹介します。
マネジメント・バイアウトの手法
MBO(マネジメント バイアウト)では、自社の経営陣が株式の買い手です。
MBOの手順としては、SPCを設立することから始めます。
SPCとは、「Special Purpose Company」の頭文字を取った略語のことで、特別目的会社の意味を持つ、実体のない会社です。
SPCを設立したら、金融機関や投資ファンド、ビジネスローンからバイアウトに必要な資金を借り入れます。そして、対象会社の株式を買い取って子会社化した後、SPCと対象会社を合併します。
なお、MBOの株式価格は以下の企業価値で算出されます。
- 純資産を基にした、コストアプローチ
- 市場価格を参考にした、マーケットアプローチ
- 将来の収益を見込んだ、インカムアプローチ
エンプロイー・バイアウトの手法
EBOの手順は、初めに株主の人数や住所、誰がどの程度の株を保有しているかなど把握漏れがないように確認します。
これは、株主から株式を買い取る際に、一人ひとりと交渉をするためです。
株主を確認したら、従業員がSPCを設立します。SPCの設立後、金融機関や投資ファンド、ビジネスローンから必要な資金を借り入れます。そして全ての株主と譲渡交渉したうえで、対象会社の株式を買い取ります。
最後は、SPCが対象会社を子会社化した後、合併します。
マネジメント・エンプロイー・バイアウトの手法
MEBO(マネジメント エンプロイー バイアウト)では、自社の経営陣と従業員が株式の買い手です。
MEBOでは、まず初めに経営陣と従業員が合同で出資してSPCを設立します。金融機関や投資ファンド、ビジネスローンから資金を調達します。
資金調達ができたら、対象会社の株式を買収してSPCの100%子会社にした後、合併します。
レバレッジド・バイアウトの手法
LBOの手順は、まずは買い手となる第三者の企業がSPCを設立することからスタートします。
SPCを設立したら、対象会社を買収するための資金を調達します。投資家や金融機関などから、売り手企業の将来性や資産などを担保にして融資を受けます。
資金調達ができたら、対象会社の株式を買い取って子会社化しましょう。その後、SPCと対象会社を合併します。
レバレッジド・バイアウトを行うために借りたお金は、得られるキャッシュフローから中長期的に返済していきます。
4つのバイアウトのメリット・デメリット
ここでは、「マネジメント・バイアウト(MBO)」「エンプロイー・バイアウト(EBO)」「マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)」「レバレッジド・バイアウト(LBO)」の4つの手法、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
マネジメント・バイアウト(MBO)のメリット
マネジメント・バイアウトでは、元々の経営陣が事業を引き継ぐため企業形態を維持したまま、業務の引継ぎが可能です。
経営権が第三者に渡ることなく継続性が担保でき、後継者問題も解消できます。
また、マネジメント・バイアウトによって上場を廃止した場合は、一般の投資家や外部の株主からの要望や口出しなどの圧力がなくなることもメリットです。外部からの意見に左右されなくなります。そのため、長期的視点での経営が実現できます。
マネジメント・バイアウト(MBO)のデメリット
マネジメント・バイアウトをすると、経営者が株主として扱われます。そのため、経営に対する監視機能が低下してしまいます。
また、上場が廃止されて株式が非公開になり、資金の調達が困難になることもデメリットです。マネジメント・バイアウトをする前に資金調達の方法について検討しておきましょう。
また、経営者と少数株主の間で情報の非対称性が生じ、既存の株主から反発される可能性があります。
経営者個人が儲けるためにマネジメント・バイアウトをしようとしても、結果として企業が損害を受けることになりかねません。企業の利益や成長を目的に実施しましょう。
エンプロイー・バイアウト(EBO)のメリット
エンプロイー・バイアウトの最大のメリットは、従業員への事業承継が可能になることです。
経営者がリタイヤしようとしたとき、人材不足により事業を引き継ぐ後継者の不在で頭を悩ませている企業は少なくありません。
しかし、従業員が自社の株式を買い取って経営権を得るためにエンプロイー・バイアウトを利用すると、後継者問題を解決できます。
自社にいる優秀な従業員から後継者を選んで承継するため、企業・事業の再生を狙うことが可能です。
また、承継後も急に大きな経営方針の変化が起きにくく、混乱を最小限に抑えられます。
エンプロイー・バイアウト(EBO)のデメリット
エンプロイー・バイアウトでは、従業員が株式を買い取るため、資金調達の難易度が高いことがデメリットです。
自社の規模が大きれば大きいほど、多額の資金を準備しなければなりません。金融機関やファンドなどからの融資を受ける必要がありますが、借りるのが従業員であるため、審査は厳しめです。借入の難易度が高いため、株式を買い取るだけの資金に融資額が到達しない可能性があります。
マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)のメリット
マネジメント・エンプロイー・バイアウトのメリットは、経営者と従業員がともにバイアウトに参加するため、経営者と従業員の両方のモチベーションアップにつながることです。
経営陣と従業員が自社株を所有していると、企業の業績が向上した際にインセンティブ(報酬)が発生します。
また、外部の投資家や株主の要望に左右されないこともメリットの一つです。
マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)のデメリット
マネジメント・エンプロイー・バイアウトの最大のデメリットは、実現させるためのハードルが高いことです。
ハードルが高くなる理由には、経営陣だけではなく従業員も自社の株式を買い取ることにあります。
従業員の自己資産で株式を買い取るためには金融機関やファンドから融資を受けることになりますが、審査が厳しい傾向にあります。融資が受けられないこともあるでしょう。
また、自社の株式を買い取りたい従業員が少なければマネジメント・エンプロイー・バイアウトが成立しないことも、実施の難易度を上げている要因です。
レバレッジド・バイアウト(LBO)のメリット
レバレッジド・バイアウトは、売り手側の企業の信用情報を元に借り入れを行えるため、買い手側の企業は少ない資金で買収が可能です。
小さな資金で大きなリターンを得られる可能性があることがメリットです。
また、株式の買い取りに伴う利息の返済は損金算入が可能であるため、節税効果が見込めることもメリットの一つだといえます。
レバレッジド・バイアウト(LBO)のデメリット
レバレッジド・バイアウトのデメリットは、リターンを得られないリスクがあることです。
レバレッジド・バイアウトを利用して企業を合併した後、経営が上手くいかずに事業の再建ができなかったとき、買い手側企業は投資額以上のリターンは得られません。
企業の収益が低下すると当然リターンにも期待できず、この場合レバレッジド・バイアウトは失敗したといえます。
また、受ける融資の額が大きいため、利息が高額になることもデメリットです。
万が一再建が上手くいかずに収益が低下してしまうと、企業を倒産に追い込む危険性があります。
バイアウトとイグジットの違い
ここでは、バイアウトとイグジットの違いについて解説します。
結論から述べると、バイアウトとイグジットは意味が完全に一致する用語ではありません。
バイアウトは、数あるイグジットの方法のうちの一つにあたります。
それでは、以下でイグジットについて詳しくみていきましょう。
イグジットとは
「イグジット(EXIT・エグジット)」とは、新規事業への取り組みや企業再生などを目的に、創業者やファンドなどが株式を売却し、収益を得て投資金を回収することです。
イグジットは、M&Aやバイアウトも含め、株式を売却して投資金を回収すること全般を指します。
イグジットは「ハーベスティング(Harvesting)」と呼ばれることもあります。
上場していない企業や企業再生を狙う企業、人材不足や後継者問題を抱えた企業が問題を解決させるために、イグジットを利用します。
企業や事業が成長すると企業価値も上昇するため、株式を売却することで高額の利益を得られる可能性があるでしょう。
イグジットの3つの種類
株式を売却して投資金を回収するイグジットの種類は、大きく「IPO」「M&A」「バイアウト」の3つに分けられます。
IPOは「Initial Public Offering」の略語で、株式公開を指します。証券取引所に株式を上場させる方法です。日本においてよく採用されています。
創業者は株式公開のタイミングで自分の持つ株式を売却することにより、多額の利益を得ることができます。
M&Aは、「Mergers and Acquisitions」の略で、M&Aの意味は「合併・買収」のことです。他の企業に対して株式や事業を売却する方法です。M&Aにはいくつかの種類があり、株式譲渡や事業譲渡などがあります。
また、MBO(マネジメントバイアウト)などのバイアウトの手法を用いて、イグジットを実行することもあります。
バイアウトとM&Aの違い
ここでは、バイアウトとM&Aの違いについて解説します。
バイアウトは、M&Aの手法の一つであり、両社の違いは買い手にあります。
バイアウトではLBOを除くほとんどの場合で社内の人間が買い手になりますが、M&Aでは社外の人間が買い手になることが多いです。
それでは、以下でM&Aについて詳しくみていきましょう。
M&Aとは
M&Aとは、エムアンドエーと読み、「Mergers and Acquisitions」の頭文字を取った略語です。
日本語では、「合併と買収」と訳され、2つ以上の会社が合併したり、買い手側企業が売り手側企業を買収したりすることを指します。
M&Aは企業の経営権や事業自体を移す取引で、企業の成長及び経営戦略の手段です。後継者問題解決の手段としても活用されています。
M&Aの種類
M&Aの種類は、株式や事業の譲渡や合併などさまざまな種類があり、バイアウトで利用される際には「株式譲渡」や「事業譲渡」が採用されます。
株式譲渡とは、対象企業の株式を保有する株主が、持っている株式の全て、もしくは一部を買い手側企業に売却する方法です。株式の過半数が譲渡されると、買い手企業に経営権が移行します。
資産や取引上の契約が引き継がれるほか、手続きが比較的簡単であることがメリットです。
事業譲渡とは、売り手側の企業全体ではなく事業の全て(全部譲渡)もしくは一部(一部譲渡)を買い手側企業に売却する方法です。
その際、売り手側企業はどの事業を売却するのかを選択でき、買い手側企業は譲受したい事業を選択できます。
バイアウトを成功させるポイント
ここからは、バイアウトを成功させるためのポイントについて4つ紹介します。
1. バイアウトファンドを活用する
バイアウトファンドは、投資家から集めた資金で対象会社に投資し、事業の立て直しによって株価を向上させて、株式を売却して得た収益を投資家に分配するファンドです。
企業価値を高めることができるので、売り手企業にとってもメリットです。
バイアウトファンドには、企業再生や事業承継などに特化したファンドがあるため、実施予定のバイアウトに適したバイアウトファンドを利用しましょう。
2. 自社の価値を把握しておく
株式の買い取り価格は、企業価値次第で大きく変わります。
そのため、自社の適正な企業価値を把握しておくことが、バイアウトの成功につながります。
価値算定をするためには専門的な知識が必要です。自社の評価を自力で算出することは難しいため、専門家にさまざまな角度や方法で評価をしてもらい、客観的な指標である相場を知りましょう。
3, 財務情報を準備しておく
バイアウトを成功させるためには、スピーディーに動くことが肝要です。
そのため、買い手が現れてから資料を作成するのではなく、売却を決めたタイミングでキャッシュフローや節税対策についての情報を準備しておきましょう。
財務面が整理されていることは、相手企業に好印象を与えることにもつながります。
4. 専門家に依頼する
バイアウトを利用する際には、バイアウトファンドやM&A仲介会社などの専門家に相談・依頼をしましょう。
バイアウトを成功させるためには、士業とのやりとりや相手企業との交渉、複雑な契約書の作成などの過程があり、専門的な知識が不可欠です。
また、M&A仲介会社に相談すれば、専門家のネットワークを利用して相手を探してくれます。
バイアウトの注意点
ここからは、バイアウトを行う際の注意点を3つ紹介します。
1. 従業員の労働環境や待遇
バイアウトの後、従業員や役員の処遇が変わる可能性があります。
株式譲渡でバイアウトを行った場合、基本的に待遇は変わりません。事業譲渡の場合は新たに契約しなおすことになりますが、多くの場合は条件が引き継がれます。
しかし、稀に待遇を変えられてしまうことがあります。そうならないためにも、交渉の時点で従業員の雇用について確認しておきましょう。
また、役員は雇用契約がないため、買い手側の都合で解雇されたり別会社の役員になったりする恐れがあります。役員がバイアウト後も同じ環境で業務に当たれるよう、買い手と交渉しましょう。
2. 買い手企業からの要望
バイアウトは、事業再生や収益を上げる目的で実施されます。
そのため、買い手側から事業の拡大や商品・サービスの向上など、改善に向けた要望が寄せられるでしょう。
買い手側の要求によって、従業員や役員から反発が起こる可能性があります。
事前に買い手側からどのような要望があるかを想定し、従業員や取引先などに説明をして反発が起こらないように準備をしておきましょう。
そのほか、買い手側の要望により、希望通りの金額で売却できない恐れがあります。M&A仲介業者のサポートを受けて交渉に入ってもらい、できるかぎり希望価格で売却できるようにしましょう。
また、妥協できる最低価格をあらかじめ決めておくことも大切です。
3. 株式の保有者
バイアウトでは買い手側に全ての株式が譲渡され、売り手側企業を完全子会社化することが一般的です。しかし、100%譲渡以外の選択肢もあります。
手元に株式の一部を残しておく際には、買い手側と交渉が必要です。ただし、持ち株の比率は買い手側の意見が優先される傾向にあります。
まとめ
バイアウトは、株式を買い取って対象企業を子会社化する方法です。
株式を買い取る対象や目的によって4つの種類に分けられ、実現の難易度にも差があります。
自社の企業価値やキャッシュフローなどの情報をまとめ、準備しておくことが重要であるため、専門家に事前に相談することをおすすめします。
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