ß TOBとは?種類やメリットデメリット、実施方法を解説! | レバレジーズM&Aアドバイザリー

TOBとは?種類やメリットデメリット、実施方法を解説!

このページのまとめ

  • TOBとは、株式公開買付けのこと
  • TOBには、「友好的TOB」と「敵対的TOB」がある
  • TOBが失敗すると、株価や株主に悪影響を及ぼすため注意が必要
  • TOBを行う際は、M&Aに詳しい仲介会社に相談すると成功しやすい

「TOBを進めたいけども、どのように進めるかが分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。事業拡大のために、TOBを選択肢に含める企業も多いことでしょう。
TOBは手順が決まっており、実施時のリスクも考えて動く必要があります。本記事では、TOBのメリットや実施方法、過去事例などを解説します。TOBを成功させるために、参考にしてください。

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TOBとは 

TOBとは、「Take-Over Bid」の頭文字をとったもので、株式公開買付けのことを指します。株式公開買付けとは、株式の価格や取引の期間、株式数を告知し、売り手の株式を購入する行為のことです。また、株式公開買付けは、証券取引所を通さずに、直接購入する点もポイントです。

TOBの目的

TOBは、株式を大量に購入し、売り手企業の経営権や株主総会の特別決議否決権を獲得するために行われます。経営権などを獲得し、子会社化するケースが一般的です。また、TOBは、「友好的TOB」「敵対的TOB」の2つに分類できます。まず、友好的TOBは、売り手の了承を得て行うTOBです。一方で、敵対的TOBは、売り手の了承を得ず、経営権を獲得するために実施されます。

TOBで取引所を使わない理由

TOBを行う場合、取引所を使わずに株式を購入します。その背景には、取引所を使用してしまうと、株価が急激に上昇してしまう恐れがあるからです。もし、取引所を使用して株価を購入すると、株式の大量購入に気づいた人々が、便乗するケースがあります。すると。株価が上がってしまい、買い手は想定よりも高い金額で株式を購入しなければなりません。このようなリスクを避けるためにも、取引所を使用せず、あらかじめ決めた価格で購入を行っています。

TOBを実施する場合のルール 

株式を購入する際、一定の条件を満たすとTOBを実施しなければならないと定められています。次の2つのうち、どちらかに当てはまる場合は、実施が必要になると覚えておきましょう。

  • 5%ルール
  • 3分の1ルール

5%ルール

5%ルールとは、株式を購入した結果、対象企業の株式を5%以上保有する場合、TOBでの購入が必要になるルールです。5%ルールの背景には、上場企業の株式のうち5%は高額な取引に該当し、株式市場が混乱してしまう恐れがあるからです。株式市場の混乱を避けるために、市場外で取引を行うことが定められています。ただし、買付けの実施人数が10人以下の場合は、使用しなくても良いケースがあるため、覚えておきましょう。

3分の1ルール

3分の1ルールとは、株式購入後に、対象企業の1/3以上の株式を所有する場合のルールです。以下の3つのパターンがあるため、覚えておきましょう。

  • 取引市場外の場合
  • 取引市場内の場合
  • 段階的な株式取得の場合

取引市場外の場合

取引市場外での1/3ルールとは、「取引市場外で、60日で10名以内から買付けを実施し、所持率が1/3以上になる場合には株式公開買付けが必要」と定められたルールです。株式の1/3以上を取得した場合、株主総会における特別決議の否決権を持つことになります。すると、売り手側の経営に大きな影響を与えることになるでしょう。そのため、TOBを使用し、公開で買付けを行うことが求められています。

取引市場内の場合

取引市場内で購入し、株式の所持率が1/3を超える場合も1/3ルールの対象になります。2005年に、取引市場内で買付けを行うことで、証券取引法の穴をついた事件が発生したためです。その結果、株式の買付けに関する制度を見直し、取引市場内でも1/3ルールが適応されるようになりました。

段階的な株式取得の場合

段階的に買付けを行う場合も、TOBの対象になるケースがあります。「取引市場内外を問わず、3ヶ月以内に対象企業の全発行株式のうち10%以上を購入し、そのうち5%以上を取引市場外または特定売買で取得した結果、1/3以上の株式を所有率が1/3以上を超えた場合」です。

この制度の目的は、段階的に株式を取得し、1/3以上を獲得するケースを防ぐためです。たとえば、取引市場外で30%近くの株式を取得し、その後に買い付けを追加で行えば、1/3ルールに抵触せずに1/3以上の株式を取得できてしまいます。このような方法を防ぐために、段階的な株式取得に関しても、1/3ルールが設けられています。

参照元:金融庁「公開買付(TOB)制度の概要

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TOBの種類 

TOBには、大きく分けて次の2種類があります。

  • 友好的TOB
  • 敵対的TOB

TOB実施に向けて、それぞれどのようなTOBなのか知っておきましょう。

友好的TOB

友好的TOBとは、売り手企業の同意を得たうえで実行する方法です。事前に株式公開で買付けを行うことを話し合い、話し合いで決められた条件で買付けを行います。たとえば、グループ企業を完全子会社にする場合、実施されるものが友好的TOBです。日本で実施されるTOBに関しては、多くが友好的TOBで実施されています。

敵対的TOB

敵対的TOBとは、売り手企業の同意を得ずに実施する方法です。対象企業の経営権を取得する目的で実施されます。敵対的TOBの場合、対象企業は買収を阻止しようと動きます。その際に、友好的TOBを活用して、敵対する企業から自社を守るケースもあると覚えておきましょう。そのため、敵対的TOBの成功率は、低くなっています。

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敵対的TOBへの対策方法 

敵対的TOBを受けた場合、対象企業は自社を守るために対策を実施します。次のような方法で対策できるため、覚えておきましょう。

  • ホワイトナイト
  • パックマンディフェンス
  • クラウンジュエル
  • ポイズンピル
  • 黄金株
  • ゴールデンパラシュート
  • プットオプション

ここでは、敵対的TOBへの対策方法を詳しく解説します。

ホワイトナイト

ホワイトナイトとは、第三者の企業に依頼し、敵対的TOBを阻止してもらう方法です。自社が依頼した第三者企業が株式を取得するため、経営権の獲得を阻止できます。敵対的TOBが行われることが分かった状態でも、対応できる点がメリットです。日本でも、食品メーカーに敵対的TOBが行われた際に、第三者企業がホワイトナイトを行うことで、敵対的企業の買収阻止に成功しています。

パックマンディフェンス

パックマンディフェンスとは、敵対的TOBを仕掛けられた側の企業が、仕掛けた企業に対してTOBをやり返す方法のことです。逆に株式買付けを行うため、多額の資金が必要になることがポイントになります。パックマンディフェンスを行う場合、買収を受けた企業は資金確保のために、資産の売却を行います。その結果、企業価値が下がり、敵対的TOBを仕掛けた企業にとって、損をしてしまう可能性が上がる点もポイントでしょう。そのため、パックマンディフェンスが発生した場合、両企業にとってリスクが高くなります。

クラウンジュエル

クラウンジュエルとは、敵対的TOBを受けた企業が、自社の資産を売却し、企業価値を下げる方法です。企業価値が下がることで、買収を行う意欲を下げることを目的にしています。企業価値が下がってしまうと、敵対的TOBを仕掛けた側も、経営権を取得する意味があるのか迷ってしまうためです。過去にも、日本でもクラウンジュエルが実施されたケースがあります。その際、敵対的TOBを受けた企業は、自社の資産をグループ企業に譲渡すると示唆しました。その結果、敵対的TOBを仕掛けた企業が買収のモチベーションをなくし、防衛に成功しています。

ポイズンピル

ポイズンピルとは、自社の既存株主に新株予約権を発行し、敵対的TOBを仕掛けた企業に株式を取得されないようにする方法のことです。もし、自社の株式が大量に買付けられた際には、ポイズンピルが発動し、既存株主に新株が発行される流れになります。その結果、買付けを行っても、敵対的TOBを仕掛けた企業が所持する株式の全体割合は少なくなります。このようにして、経営権取得を阻止する方法が、ポイズンピルです。

黄金株

黄金株とは、会社の合併のように、重要な議案を否決できる拒否権付株式のことです。株主総会の決議に対して、拒否権を持っています。たとえば、敵対的TOBが実施され、経営権を取るための決議が行われたとしましょう。しかし、黄金株を発動すれば、決議を阻止できます。このように、黄金株があることで、敵対的TOBへの防止策になります。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、経営陣に多額の退職金を支払う契約を結ぶ対策のことです。退職金を増やすことで、買収コストを増加させ、敵対的企業からの買収を受けにくくします。通常、敵対的TOBが行われた場合、既存の経営陣は解任されることになります。その際、退職金の支払いが必要です。その退職金を高額にしておけば、敵対的TOBを仕掛けた企業は、高額な退職金を支払わなければならなくなります。このように、コストを増加させることで、対策を行うのがゴールデンパラシュートです。

プットオプション

プットオプションとは、あらかじめ決められた価格で、あらかじめ決められた量を売れる権利のことです。株主がプットオプションを持っている場合、敵対的TOBを仕掛けた企業は、株主の言い値で買付けを行う必要があります。もし、言い値が高額の場合、コストが支払えず、TOBが実施できなくなるケースが出てくるでしょう。このようにして、敵対的TOBを防ぐ方法が、プットオプションです。

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買い手がTOBを行うメリット

買い手がTOBを行うメリットには、次のようなものがあります。

  • 買収が成立しやすい
  • 株式市場の影響を受けにくい
  • 目標に満たなかった場合キャンセルできる
  • スケジュール管理がしやすい

M&Aを成功させるため、確認しておきましょう。

買収が成立しやすい

買い手の場合、買収が成立しやすいメリットがあります。株式市場外で取引が実施され、他社の邪魔を受ける可能性が低くなるからです。また、友好的TOBの場合は、売り手企業の同意を得てから取引を実施します。そのため、買収が成立しやすい点も理由に挙げられるでしょう。

株式市場の影響を受けにくい

株式市場の影響を受けにくい点もメリットになります。株式市場外で買付けを行うことで、株価の変動を受けないためです。また、買収コストを予測して、予算内で実行できる点もポイントです。さらに、買付けの期間や買い取る株数も公開してから買収を行います。そのため、買収終了までの見通しが立てやすい点もメリットになるでしょう。

目標に満たなかった場合キャンセルできる

株式の取得数が目標に満たなかった場合、キャンセルできるのもメリットです。取得数が足りない場合でも、コストを掛けずに済みます。一方で、取引市場内で買付けを行う場合は、目標に満たない場合でもキャンセルできません。TOBであれば、キャンセルして体制が整えば、再チャレンジできます。このように、買収をより確実に実行できる点もメリットになるでしょう。

スケジュール管理がしやすい

買収までのスケジュール管理がしやすい点も、メリットに挙げられます。実施時に、あらかじめ期間を決めて、取引が行われるからです。株式市場内で取引を行う場合、ほかの企業や投資家の影響も受けてしまうため、スケジュールが読めません。一方で、TOBはスケジュールを決めて動けるため、買付けが行いやすくなります。買収成立までの期間が長くなるほど、担当者の負担が増加します。スケジュール管理ができ、安定して進められる点もメリットと言えるでしょう。

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買い手がTOBを行うデメリット 

買い手側でTOBを行う場合、次のようなデメリットに注意しましょう。

  • 他社のTOBにより失敗する可能性がある
  • 株式市場よりも高いコストが必要
  • 買付けの公開が必要

TOBを成功させるためにも、参考にしてください。

他社のTOBにより失敗する可能性がある

他社のTOBを受けることで、失敗する可能性に注意しましょう。自社の動きを邪魔する企業が現れる可能性があるからです。たとえば、自社が友好的TOBを行いたくても、敵対的TOBに阻止されるケースもあります。また、自社が敵対的TOBを行う場合、他社の介入や買収防衛策によって、阻止されるケースもあるでしょう。TOBを行うからといって、必ず成功するわけではありません。他社が介入する可能性に注意しましょう。

株式市場よりも高いコストが必要

TOBを行う場合、株式市場よりも高いコストが必要になるケースが多いため注意しましょう。TOBの場合は、「プレミアム価格」で取引を行うケースが多いからです。一般的には、市場価格から、30〜40%上乗せされた価格がプレミアム価格です。そのため、株式市場で取引を行うよりも、高いコストが必要になります。このように、TOBではコストが高くなりやすい点に注意しましょう。

買付けの公開が必要

TOBでは、買付けの公開が必要になるため注意しましょう。公開を行うことで、他社の参入リスクや、買収に失敗した場合のイメージダウンなどが想定されます。たとえば、他社も買収に参入し、買収が阻止される可能性もあるでしょう。また、買付けを公開して失敗した結果、買収側に問題があったと思われてしまうケースもあります。このように、TOBは買付けの公開が必要になります。公開後のリスクもあることを覚えておきましょう。

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売り手がTOBを行うメリット 

売り手側でTOBを行う場合、次のようなメリットがあります。

  • 相場よりも高く売却できる
  • 株式市場に影響されない

TOBを優位に進めるためにも、覚えておきましょう。

相場よりも高く売却できる

売り手側がTOBを行うメリットは、相場よりも高く売却できる点です。プレミアム価格で提示し、市場価格の30〜40%を上乗せできるでしょう。事前に交渉できるため、自社の条件を提示しやすい点もメリットになります。

株式市場に影響されない

株式市場に影響されない点も、TOBを行うメリットです。株式市場に惑わされずに、売却の見通しを立てることができるでしょう。もし、株式市場内で売却を行う場合、株価変動で損をしたり、買い手がつかなくなってしまう可能性もあります。一方で、TOBは事前に価格を決められるため、株式市場の影響を受けません。あらかじめ売却金額を予想しやすい点も、TOBのメリットになるでしょう。

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売り手がTOBを行うデメリット 

売り手側でTOBを行う場合は、2つのデメリットに注意しましょう。

  • 経営権がなくなる
  • 敵対的TOBの防衛を株主に反対されるケースがある

デメリットやリスクを把握して、対策を整えておくと安心です。

経営権がなくなる

売り手側でTOBを行った場合、経営権がなくなるため注意しましょう。TOBを行う企業の目的が、経営権を獲得するためだからです。特に、敵対的TOBが行われた際は、既存の経営陣は経営者ではなくなります。経営者を解任されるケースがほとんどでしょう。経営権がなくなった結果、自社の想定や意思とは異なる経営方針に変わる可能性もあります。このように、売り手側でTOBを行う場合、経営権がなくなるため注意しましょう。そのため、敵対的TOBを仕掛けられた場合は、買収に対して策を講じる必要があります。

敵対的TOBの防衛を株主に反対されるケースがある

敵対的TOBを受けた場合、防衛策を株主に反対されるケースがあることを覚えておきましょう。買収対策を講じたことで、株価に影響を受けるケースがあるからです。たとえば、パックマンディフェンスを使用した結果、自社の資産が減少し、企業価値が下がる可能性もあります。すると、株価にも影響を与えるため、株主からすると反対のケースも増えるでしょう。このように、敵対的TOBを防衛したくても、株主から反対を受けるケースもあります。TOBによって、株価にどのような影響を与えるかも考慮して、対策が必要です。

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TOBを実施する方法 

実際にTOBを行うには、どのように進めると良いのでしょうか。基本的には、次のような流れでTOBが行われることを覚えておきましょう。

  • 公開買付届出書を提出する
  • 意見表明報告書の提出と回答実施
  • 公開買付説明書を作成する
  • TOBの結果を報告する

ここでは、TOBを実施する方法とその流れを解説するため、参考にしてください。

公開買付届出書を提出する

TOB実施に向けて、まずは「公開買付届出書」の提出を行います。公開買付届出書には、次のような内容を記載しましょう。

  • TOBの目的
  • 買付けの期間
  • 買付けの価格
  • 買付けの予定株式数

このうち、買付けの期間に関しては、金融商品取引法で20〜60営業日と定められているため、覚えておきましょう。また、TOBを行う際には、公開買付けの公告も必要です。新聞公告または電子公告を選択してください。電子公告の場合は、金融庁が運営している、「EDIENT」で行います。

参照元:e-Gov法令検索「金融商品取引法施行令
参照元:金融庁「EDIENT

意見表明報告書の提出と回答実施

公開買付届出書の提出後は、売り手企業も対応が必要です。具体的には、TOBに関して賛成するか反対するかを示した、「意見表明報告書」の提出が求められます。意見表明報告書は、EDIENTを使用し、内閣総理大臣宛に提出するため覚えておきましょう。

また、意見表明報告書では、買い手側の企業に対して、質問を行うこともできます。もし、売り手企業が質問を受けた場合には、5営業日以内に回答を提出しましょう。この場合も、EDIENTを使用し、内閣総理大臣宛に提出を行います。

公開買付説明書を作成する

売り手企業は、公開買付説明書の作成も行いましょう。投資家保護に必要な情報を記載します。公開買付説明書は、買い手企業の株主に対して提出します。買付けが始まる前、または買付けと同じタイミングで交付しましょう。

TOBの結果を報告する

TOBが終われば、結果報告が求められます。買い手企業は、新聞などのメディアを通じて報告しましょう。自社のWebサイトなど、インターネットを通じて公表するケースもあります。結果報告をするタイミングは、買付け期間最終日の翌営業日です。その際、応募があった株式数と、所定事項を報告しましょう。

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TOBされる側の対応 

TOBを受ける側の場合、対応は次の3パターンがあります。

  • TOBに応じる
  • 取引市場で株式を売却する
  • 株式の保有を続ける

それぞれのパターン別に、どのような対応が必要か解説するため、参考にしてください。

TOBに応じる

TOBに応じる場合、買い手企業に対し、株式の売買を行います。友好的TOBがこのケースに該当するでしょう。この場合では、売り手企業が価格を提示し、売却を行います。一般的には、市場価格から30〜40%上乗せされた価格で売却できるため、売り手企業にとっては得して売却できるでしょう。

取引市場で株式を売却する

TOBに応じない場合は、取引市場で株式を売却する選択肢があります。公開買い付けが行われた場合、取引市場もプレミアム価格まで高騰するケースがあります。そのため、売り手企業は損をせず、売却できるでしょう。また、取引市場で株式を売却するメリットは、買付けのキャンセルがない点です。TOBに応じた場合は、目標数に達しない場合キャンセルされてしまいます。一方で、取引市場で売却する場合、キャンセルがなく、確実に株式を売却できるでしょう。

株式の保有を続ける

TOB公開後も、株式の保有を続けることは可能です。しかし、TOB後に銘柄が上場廃止になってしまうと、強制的に売却しなければならないため注意が必要です。このことを、「スクイーズアウト」と呼びます。買付け公開後も株式の保有はできますが、保有を続けても損をするケースがほとんどです。そのため、TOBに応じるか、市場を見極め、市場で売却するケースが一般的になります。

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友好的TOBの実施事例 

日本でも、数々のTOBが実施されています。そのなかでも、まずは友好的TOBの事例を見てみましょう。ここでは、3つの事例を紹介するため、参考にしてください。

食品会社の事例

2020年、大手食品会社が友好的TOBを行いました。グループ企業を子会社化する目的で、実施しています。グループ企業に対してM&Aを行っていることもあり、問題なくTOBは成功しました。このTOBに関しては、「グループの再構築を進め、意思決定の人俗化や資源の活用が目的」と表明しています。

衣料業界の事例

2019年、大手衣料業界の企業に対して、友好的TOBが実施されました。売り手企業の了承を受けて、TOBが進められています。このTOBでは、取引価格が約4,000億円に達し、注目を集めました。

通信業界の事例

通信業界でも、2019年に友好的TOBが行われています。通信業界の企業が、証券会社のM&Aを目的に行いました。このTOBでは、株式の49%が取得されています。また、TOBの結果、売り手企業は上場廃止、社名を変更してサービス提供を続けています。

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敵対的TOBの事例 

友好的TOBが行われる一方で、敵対的TOBも実施されています。敵対的TOBの特徴は、買収が失敗するケースもある点です。どのような敵対的TOBが行われたか、事例を参考にしてください。

外食産業の事例

2020年、大手外食産業の企業は、同じく外食産業の企業に敵対的TOBを仕掛けました。売り手の同意を得ずに、買収が行われたことが明らかになっています。TOBの結果、買い手企業の株式所有割合は47%になり、敵対的TOBに成功しています。

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旅行代理店の事例

2019年、大手旅行代理店が、不動産業を運営する企業に対してTOBを行いました。売り手企業の同意を得ない、敵対的TOBになっています。売り手企業は、買収対策の1つである、「ホワイトナイト」を使用しました。他企業に介入を頼むことで、敵対的TOBの阻止を目指す方法です。結果として、ホワイトナイトが成功し、旅行代理店による敵対的TOBは失敗に終わっています。

電子部品会社の事例

2017年、電子部品会社を営む企業が、実業家からのTOBを受けました。敵対的TOBであることから、ホワイトナイトで防衛を行うために、他企業に友好的TOBを依頼する形になっています。TOB同士の争いは、株価が上昇した結果、ホワイトナイトでの防衛に失敗しています。約2,300円だった株価は約5,400円まで上昇し、友好的TOBで対応できませんでした。このように、敵対的TOBに対して防衛を行っても、失敗するケースがあります。

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TOBでよくある質問 

ここでは、TOBでよくある質問に関して解説を行います。実施に向けて、参考にしてください。

TOB実施後、株価に影響はある?

TOB実施後、株価に影響を及ぼすケースがほとんどです。TOBの結果、買い手にも売り手にもメリットがあると判断された場合、株価が上昇する傾向にあります。また、TOBを行う場合、プレミアム価格がつき、市場よりも株価は上がります。プレミアム価格の影響を受け、市場価格も上昇するケースがあることを覚えておきましょう。

TOBを中止したい場合はどうする?

TOBを行う側の企業が、中止を考えるケースもあります。その場合、「公開買付撤回届出書」の提出を行いましょう。ただし、金融商品取引法第27条により、基本的にはTOBの中止はできないと定められているため注意が必要です。

例外として、「売り手企業の業務や財産に変更が生じた場合」「公開買付けの目的達成に重大な支障が生じた場合」などは、TOBの中止ができます。既存の株主を守るために、公開買付撤回届出書を提出し、中止の理由を表明しなければならないことを覚えておきましょう。

参照元:e-Gov法令検索「金融商品取引法

TOBに応じないとどうなる?

TOBに応じず、株式を保有し続けることも可能です。しかし、TOB後に上場が廃止されてしまう場合は、強制的に売却されてしまうため注意しましょう。そのため、TOBに応じない場合は、株式市場で売却してしまうケースが一般的です。買付け公開後は、株式市場でも株価が高くなりやすいため、価格が上昇したタイミングで売れると利益になるでしょう。

TOBが失敗するとどうなる?

TOBを実施したくても、失敗してしまうケースがあります。特に、敵対的TOBを行う場合には、買収への防衛策が実施されてしまうでしょう。もし、失敗してしまうと、株価が下がり、株主への悪影響が予想されます。また、敵対的TOBに対して、パックマンディフェンスやポイズンピルなどの防止策を講じるケースもあります。この場合、TOBを受けた側の企業価値が下がり、株価も下がるケースが考えられるでしょう。このように、TOBが失敗した場合、株主への悪影響が予想されます。また、TOBに失敗した企業に対して、悪いイメージがつく可能性があることも覚えておきましょう。

TOBを成功させるためには?

TOBを成功させるためには、専門家のアドバイスが重要です。TOBでは、タイミングを見計らったり、適切な価格や取得数で行う必要があります。もし、専門家のアドバイスを聞かずに進めてしまうと、失敗して、損害を出してしまうこともあるでしょう。TOBを行うためには、M&A仲介会社への相談が重要です。M&AはTOBを利用して行うことも多く、M&A仲介会社であれば実績が豊富です。TOB実施を考えている場合は、まずはM&A仲介会社に相談してみましょう。

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まとめ

近年では、経営権を獲得するために、TOBを行う企業が増加しています。売り手企業の同意を得る友好的TOBと、売り手企業の同意を得ずに行う敵対的TOBがあることを覚えておきましょう。どちらのTOBを行う場合でも、専門家のアドバイスは欠かせません。TOBの実績を持つ専門家に協力を依頼しましょう。M&A仲介会社であれば、M&Aが絡むTOBでも対応可能です。TOB実施を考えている企業は、相談してみましょう。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&A全般をサポートする仲介会社です。幅広い領域に精通したコンサルタントが、相談から成約まで一貫してサポートを行います。

料金に関しては、M&Aの成約時に料金が発生する、完全成功報酬型です。
M&A成約まで、無料でご利用いただけます(譲受側のみ中間金あり)。

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