セミリタイアで経営者が仕事から離れる準備は?資金確保の方法を解説
2024年5月10日
このページのまとめ
- セミリタイアは、フルタイムではない仕事を続けつつ、時間や精神のゆとりを増やすライフスタイル
- セミリタイアによって、経済的不安や社会的関係性の希薄化のリスクもある
- 経営者がセミリタイアする際は、後継者選びや生活設計を考慮する
- セミリタイア資金を確保するためには、投資やM&Aなどの方法がある
この記事では、セミリタイアについて、アーリーリタイヤやFIREとの違い、経営者がセミリタイアするメリットとデメリット、セミリタイアするための手順や準備を解説します。さらに、経営者のセミリタイアのための資金を確保する方法についても紹介しています。
目次
セミリタイアとは
セミリタイアとは、フルタイムの仕事を辞めて、仕事を続けながらも時間的・精神的自由を増やすことを目的としたライフスタイルのことを指します。一言で「半引退」と表現することができるでしょう。
90年代に大物芸能人がセミリタイアを宣言し、この呼称が世間一般に広まることとなりました。
通常、セミリタイアを実践する人々は、定年退職前に働き方を変え、時間的な余裕を持って生活することを選択します。仕事は継続するものの、業務に充てる時間を少なくするとともに、仕事に対する責任・ストレスを減らし、自分自身に多くの時間を与えることができます。
アーリーリタイアとの違い
アーリーリタイアとは、通常よりも若い年齢で完全に退職し、定年退職前に自由なライフスタイルを追求することを指します。
完全に退職するため、定年退職後にも収入が得られなくなるリスクがあり、貯蓄や投資などを活用して、将来の生活費を事前に計画する必要があります。つまり、セミリタイアと比較すると、アーリーリタイヤは「仕事を辞めてしまう点」が大きな違いとなります。
それに対し、セミリタイアでは、自分のペースで仕事を続けることができるため、退職後も安定収入の確保が期待できます。
FIREとの違い
FIREは、通常よりも早い時期に完全な経済的独立を実現し、退職することを目指すライフスタイルです。欧米で流行し、近年は日本でも注目を浴びています。
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の略語で、アーリーリタイアの一種と考えられますが、セミリタイアと比較してやはり「仕事を辞めてしまう点」が大きな違いです。
また、不動産・株式の投資、FXといった資産運用が前提となっていることもFIREの大きな特徴です。そして、日常生活が問題なく送れるレベルの運用益が安定して期待できる段階などで、リタイアを実行します。つまり、FIREは十分な貯蓄がなくても、達成できる可能性があります。
経営者がセミリタイアするメリット
経営者がセミリタイアすることで、主に以下2点のようなメリットを享受することができます。
- 自由な時間が増える
- ストレスを軽減できる
それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
1.自由な時間が増える
経営者としての仕事は常に忙しく、常にビジネスに集中しなければならないため、余暇を過ごす時間が少なかったり、自己の趣味や興味を追求する時間を持つことができなかったりすることがあります。
しかし、セミリタイアすることで、自由な時間が増え、自分の興味や趣味を追求するための時間を確保することができます。また、経営者であった頃には難しかった長期旅行・研究・生涯学習なども可能となります。
2.ストレスを軽減できる
経営者は、ビジネスの成否・ストックホルダーへの対応・市場や国際情勢の変化など、諸方面に配慮せねばならず、大きなストレスを抱えることがあります。
しかし、セミリタイアすることで、ビジネスに関する心配事が軽減し、健康や精神面の問題を回避することも期待できます。
経営者がセミリタイアするデメリット
セミリタイアには魅力的なメリットがある反面、以下のように注意しておくべきデメリットも存在します。
- 経済的に不安になる
- 社会とのつながりが減る
それぞれのデメリットについて詳しく説明していきます。
1.経済的に不安になる
経営者は、ビジネスを経営することで収入を得ている場合が多く、セミリタイアをすることでその収入源が減ることになります。
そのため、経済的な不安を感じることがあるかもしれません。特に、セミリタイア後の生活費や医療費が予想よりも多くかかる場合は、より経済的な不安が大きくなることでしょう。
2.社会とのつながりが減る
ビジネスはお金を稼ぐだけでなく、人々とのつながりを作る大切な場です。セミリタイアすると社会との繋がりが少なくなり、孤独になったり自分のアイデンティティや自信を失ったりするリスクがあります。
経営者がセミリタイアする手順
経営者がセミリタイアする手順には、 主に以下の3ステップがあります。
- セミリタイア後の生活プランを立てる
- セミリタイア後の生活費を知っておく
- 預貯金や収入の手段を確保する
それぞれのステップごとに説明していきます。
1.セミリタイア後の生活プランを立てる
セミリタイア後に「どのようなことをしたいか」「どのような生活を送りたいか」を具体的に思い描きます。ご家族の理解や同意が必要なケースもあるため、ご家族にも相談することが望ましいでしょう。
2.セミリタイア後の生活費を知っておく
次に、セミリタイア後の生活プランを実現するために、具体的にどのくらいの生活費がかかるか試算します。
総務省の家計調査最新版(2023年2月分)によれば、2人以上世帯の消費支出は1ヵ月に約270,000円となっています。
しかし、以下のようなケースでは生活費が上記よりも高額になる可能性が考えられます。
- 家族の数が多い
- 進学予定の子供がいる
- お金のかかる趣味がある
- ペットを飼っている
- 住宅や自動車のローンがある
- 持ち家がなく家賃がかかる など
若手の経営者の方は、 将来的な加齢に伴い、医療費負担などが増える可能性なども考慮することが望ましいでしょう。
また、老後は公的年金の支給もスタートするため、 これを含めて支出を計算するようにしましょう。
そのほかに、相続の予定がある場合は、それを含めることも可能ですが後に負債が発覚したり、親族間で紛争が発生するケースもあるため「相続ありき」の試算をすることは、避けたほうが賢明です。
いずれにせよ、セミリタイアに際しては、かかる生活費をシビアに試算するようにしてください。
3.預貯金や収入の手段を確保する
セミリタイア後の生活費について試算できたら、それをカバーするための預貯金や収入の手段を確保します。
セミリタイアの場合は仕事を辞めるわけではないため、ライフスタイルによっては多額の預貯金が必ずしも必要ではありません。
ただし、収入が減少する際の補填として、一定以上の預貯金はあった方が安心です。経営者の場合、M&Aなどによるバイアウトに成功すれば、まとまった預貯金を得られる可能性も少なくありません。
また、収入については仕事以外にも、投資や配当で得る手段もあります。
経営者がセミリタイアする際に準備すること
経営者がセミリタイアする際には、様々な準備が必要となります。
- 後継者を選ぶ
- 生活設計を立てる
ここでは、経営者がセミリタイアする際に準備することとして特に重要な2点についてチェックしましょう。
後継者を選ぶ
経営者が自分の会社を後世に残したい場合、自分の代わりに経営を引き継ぐ存在を探す必要があります。後継者には、経営者の考え方や目標を理解し、会社を成長させる力が必要です。
また、経営者が後継者を選ぶ際には、従業員やステークホルダーへの配慮も欠かせません。後継者は、安定した雇用環境を維持できることが望ましいと言えます。
経営者が後継者を選ぶ際には、従業員のキャリアアップや将来の安定雇用に配慮し、後継者に求められるスキルや能力を考慮します。従業員が安心して働けるように、後継者選びの過程について透明性を持って従業員に伝えることも重要です。
顧客やサプライヤーにとっても、後継者による経営の安定性やビジョンの共有は大きな関心事です。顧客やサプライヤーとのコミュニケーションも十分に行い、信頼を築くことができる後継者が望ましいでしょう。
このような観点から、後継者選びは時間をかけ、慎重におこなってください。
生活設計を立てる
セミリタイアに際しては、今後の生活を考え、そのために必要な資金やライフスタイルを明確にする必要があります。
経営者は、会社経営に没頭し、個人の資産や資金管理を怠る傾向があるため、セミリタイア後の生活設計を立てる前に、自分自身の資産や資金状況をしっかり把握することが重要です。
経営者がセミリタイアのための資金を確保する方法
前項でも多少触れましたが、 ここでは経営者がセミリタイアのための資金を確保する方法について詳しく解説します。
- 投資
- M&A
具体的にどうやって資金を確保するのかそれぞれ説明します。
投資
投資には様々な種類がありますが、代表的なものとして株式投資や不動産投資があります。
株式投資は、株式市場に資金を投入することで、企業の業績に応じて株価が上昇し、資産価値が増えることが期待できます。
一方、不動産投資は、不動産に投資することで、家賃収入や資産価値の増加により収益を得ることができます。ただし、投資にはリスクもあるため、投資にあたってはリスク管理や十分な知識を持つことが必要です。
M&A
経営者がセミリタイアのための資金を確保する方法として「M&Aによる会社の売却」も考えられます。
M&Aによる会社の売却は、自社の事業価値を評価し、それをもとに売却先を探すことから始まります。売却先は、業界の競合他社や、新規参入企業、投資ファンドなど様々です。売却の際には、売却する企業の事業や資産、負債などを調査するデューデリジェンスが行われ、その後、契約書を交わして売却が成立します。会社の売却によって得られた資金をもとに、経営者はセミリタイアを実現するための生活資金を確保できるのです。
売却先の経営資源・ノウハウを活用して、より大きな成長が実現すれば、会社を後世に残すことにもつながります。
ただし、会社売却には多くの準備・手続きがあるため、十分に準備をして臨む必要があります。売却価格や条件は、売却先の企業や市場環境によって大きく変わることもあるからです。売却価格や条件を正確に見極めるために、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
まとめ
経営者のセミリタイアでは、フルタイムの仕事から一歩引いた形で、時間や精神のゆとりを増やしながら仕事を続けることが可能です。しかし、経済的不安や社会的関係性の希薄化などのリスクも伴うため、これらを含めて生活設計を十分に考慮する必要があります。
また、セミリタイア資金を確保するためには、投資やM&Aなどの方法を活用することも必要です。経営者がセミリタイアすることで、自分自身のライフスタイルを改善するだけでなく、会社の発展にもつながる可能性があるため、慎重に計画を立てることが重要です。さらにM&Aは事業継承にも活用できます。
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