企業価値とは?向上させる取り組みや成功事例、算定方法を解説

2024年1月25日

企業価値とは?向上させる取り組みや成功事例、算定方法を解説

このページのまとめ

  • 企業価値とは会社全体の経済的価値のことで、有形資産のほか無形資産も含まれる
  • 企業価値を向上させると、株価が上昇したり融資が受けやすくなったりする
  • 企業価値を向上させれば、M&Aで有利になったり売却価格が上がったりする
  • 企業価値は、収益力・投資効率・財務状況を改善することによって向上させられる
  • 企業価値向上のためには、無形資産やサステナビリティ経営に目を向けることも大切

「企業価値を向上させるにはどのような方法がある?」とお悩みの経営者の方もいるのではないでしょうか?
企業価値向上のためには、収益力アップや投資効率改善のほか、無形資産やサステナビリティ経営に取り組むことも重要です。

本コラムでは、企業価値の定義や向上させるべき理由、具体的な施策を解説します。
また、企業価値の算定方法や向上に成功した企業の事例も紹介します。

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企業価値とは

企業価値とは、会社全体の経済的価値のことです。
一般的に、企業価値には負債を含むすべての有形資産や無形資産、のれん、非事業資産などのあらゆるものの価値が含まれています。

企業価値はM&Aにおける「企業の売買価格」にあたります。
会社を買収・売却する場合は企業価値算定を必ず行うことになるため、M&Aを検討している方は理解しておく必要があります。

企業価値について理解を深めるために、まずは企業価値と混同しやすい事業価値・純資産価値・株式価値について紹介します。

企業価値・事業価値・純資産価値・株式価値の違いは、下記の表のとおりです。
縦軸の項目を含む場合は「〇」を、含まない場合は「×」を記載しています。

企業価値事業価値(EV)純資産価値株式価値
自己資本
有利子負債(他人資本)××
非支配株主持分×
新株予約権×
無形資産・知的財産価値×
のれん(超過収益力)×
非事業用資産××

事業価値・純資産価値・株式価値は、企業価値から含まれない項目の値を差し引くことで算出できます。

以下、定義の違いやそれぞれの計算方法について、詳しく解説します。

事業価値(EV)との違い

事業価値とは、事業を運営することによって将来もたらされる価値のことです。
事業価値は英語で「Enterprise Value(EV、エンタープライズ・バリュー)」と表記します。
一方、企業価値の和訳は「Corporate Value(CV、コーポレート・バリュー)」です。
ただし、企業価値を「EV」と呼ぶ専門家もいるので、どちらの意味を指しているのかに注意しましょう。

株式取引相場がある上場企業の場合、事業価値は以下の計算式で求められます。

事業価値=株式時価総額+有利子負債-非事業用資産

株式時価総額が存在しない非上場企業の場合、事業価値の計算式は以下のとおりです。

事業価値=企業価値-非事業用資産

事業価値は、企業価値から非事業用資産にあたる部分を差し引いたものになります。

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純資産価値との違い

純資産価値とは、貸借対照表の純資産の部の価値のことです。
純資産は、主に自己資本・非支配株主持分・新株予約権で構成されています。

つまり、純資産価値は下記の計算式で求めることができます。

純資産価値=自己資本+非支配株主持分+新株予約権

企業価値をもとにして純資産価値を出す場合は、下記の計算式で算出します。

純資産価値=企業価値+有利子負債-無形資産・知的財産価値-のれん-非事業用資産

純資産価値は企業価値と異なり、非事業用資産や他人資本、目に見えない資産の価値は含まれません。

株式価値との違い

株式価値とは、株式の時価総額のことです。
株式価値は「株主価値」と呼ばれることもあります。

株式公開をしている上場企業の場合、市場の株価に発行済株式数をかけることで時価総額を求められます。
計算式にすると下記のとおりです。

株式価値=株価×発行済株式数

非上場企業の場合、株式は市場で取引されていないため、株価の相場価格が決まっていません。
非上場企業の株式価値を求める場合は、コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチという評価手法を用いて算出します。

なお、企業価値がすでに分かっているケースでは、株式価値は以下の計算式で求めることが可能です。

株式価値=企業価値+有利子負債-非支配株主持分-新株予約権

株式価値は、「企業価値」から「返済義務がある他人資本」と「現株主の持ち分ではない非支配株主持分と新株予約権」を除いた金額になります。

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企業価値向上が重要な理由

企業価値は、企業がどれほど経済的な価値があるかを示す指標です。
企業価値が高まれば、市場や投資家、金融機関などからの評価も高まります。

ここでは、企業価値を向上させることが会社にとって重要な理由を3つ紹介します。

  • M&Aで有利になるため
  • 融資が受けやすくなるため
  • 株価上昇が期待できるため

以下、それぞれの理由について解説します。

M&Aで有利になるため

企業価値が高ければ高いほど、M&Aにおいて有利な条件で進めやすくなります。

企業価値が高いということは、他社から見て魅力がある企業ということです。

企業価値の向上にともない、売却評価額も高くなるでしょう。
また、M&Aの相手探しの際、多くの企業からアプローチを受けられる可能性があります。
複数社から買収の意向を受けることができた場合、自社にとってより好条件を示してくれる相手先企業を選べます。

融資が受けやすくなるため

企業価値向上の内訳によっては、金融機関による融資の審査に通りやすくなります。
金融機関が融資の可否や融資額を検討する際、重要視するのは会社の将来性・成長性です。
のれん(超過収益力)の評価が高くなって企業価値向上がかなっている場合、金融機関は潜在的な価値を認めてくれるでしょう。
資金調達の手段が確保できるため、会社の倒産リスクが低下します。
また、融資を受けられれば会社のキャッシュ・フローが改善し、投資活動に資金を投入できるようになります。

株価上昇が期待できるため

会社が上場企業である場合、企業価値向上は株価の上昇に寄与します。

上場企業は財務諸表や業績、資産、内部統制報告書などのさまざまな資料が開示されます。
企業価値を高めることができれば、資料中の数値が改善・向上します。
開示情報を見た多数の投資家が当該株式を買いたいと希望することで、株価が上昇するでしょう。

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企業価値の算定方法

企業価値の算定方法は大きく分けると3つあります。
その方法は「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3つです。

それぞれの特徴は以下の表のとおりです。

名称

コストアプローチ

マーケットアプローチ

インカムアプローチ

概要

純資産額をもとに企業価値を算定する方法

株式市場における価値と照らし合わせることにより企業価値を算定する方法

将来生み出される収益・キャッシュフローにもとづいて企業価値を算定する方法

使用シーン

  • 中小企業のM&A
  • 赤字の会社・事業の評価
  • 会社や事業の清算
  • 大企業のM&A
  • IPOを目指す未上場企業の評価
  • 中小企業の相続
  • 大企業のM&A
  • 成長性が高い企業の評価
  • 投資の妥当性の判断

具体的な計算方法

  • 簿価純資産法
  • 時価純資産法
  • 市場株価法
  • 類似会社比較法
  • 類似取引比較法
  • DCF法
  • 収益還元法
  • 配当還元法

メリット

  • 容易に計算できる
  • 客観性が高い
  • 容易に計算できる
  • 客観性が高い
  • 市場環境が反映される
  • 将来性を反映できる
  • 市場の変動があっても影響を受けにくい

デメリット

  • 将来的な価値が評価に含まれない
  • 含み益が考慮されない(簿価純資産法の場合)
  • 特別な事情で市場が変動した場合、適切に評価できない
  • 類似した会社・取引が見つからないことがある(中小企業の場合)
  • 計算方法が複雑
  • 客観性が低い
  • 事業計画の入念な精査が必要

コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチについて、詳しく解説します。

コストアプローチ

コストアプローチとは、貸借対照表の純資産額を軸にして企業価値を算定する方法です。
具体的な計算手法には「簿価純資産法」や「時価純資産法」があります。

コストアプローチのメリットは、計算方法が簡単であることと、客観性が高いことです。
貸借対照表の数値を参照するため、買い手・売り手の双方に納得感がある算定方法です。

企業が持つ純資産に着目して計算するコストアプローチは、中小企業のM&Aにおいてよく使用されます。
また、赤字がある会社・事業の企業価値算定や、清算を行う場面においても活用されます。

一方で、コストアプローチのデメリットは将来的に発生する可能性がある価値を評価に反映できない点です。
今後も存続していく会社を評価する方法としては不向きであるといえます。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場と照らし合わせて企業価値を評価する方法です。
主な計算方法は「市場株価法」「類似会社比較法」「類似取引比較法」です。

マーケットアプローチのメリットには、計算方法が比較的簡単なことや客観性に優れていることが挙げられます。
また、市場環境を反映できることもメリットの一つです。市場のニーズや傾向を価値の評価に含めることが可能です。

マーケットアプローチは、大企業のM&AやIPO(株式公開)を目指す未上場企業の企業価値算定に使用されます。
また、中小企業の相続の際に活用されることもあります。
純資産額を基準にするコストアプローチでは売上に見合わない相続税がかかってしまう場合に、マーケットアプローチを採用します。

マーケットアプローチのデメリットは、投機的取引やインサイダー取引、災害や感染症の流行などによる市場の変動の影響も受けてしまうことです。
そのような要素によって市場環境が短期的に大きく変わった場合、適切な評価とはいえない結果になる可能性があるので注意が必要です。
また、中小企業の場合、規模によっては類似した上場企業・取引が見つからないことがある点に注意しましょう。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、将来的に生み出される収益・キャッシュフローをもとに企業価値を算定する方法です。
計算方法には「DCF法」「収益還元法」「配当還元法」があります。

インカムアプローチのメリットは、ほかの方法では含めることが難しかった収益性や将来性を評価できる点です。
また、企業の将来性を評価するため、現状ある市場変動による影響を受けにくい点もメリットです。

インカムアプローチは、大企業のM&Aにおける企業価値算定や、成長性が高い企業の評価を行う際によく利用されます。
そのほか、将来的なリターンを評価するともいえるため、投資の妥当性の判断材料として活用されることもあります。

一方で、インカムアプローチにはデメリットも存在します。
まず一点目は、計算方法が難しいことです。たとえばDCF法では、フリーキャッシュフローや割引率、残存価値、永久成長率などさまざまな数値が絡み、複雑な計算をする必要があります。
また、客観性が認められない可能性があることもデメリットです。企業価値評価をするにあたって参考にした事業計画が「現実的ではない」と判断されてしまうおそれがあります。
主観が入りやすい傾向にある事業計画を根拠とするためには、入念な精査が必要となるでしょう。

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企業価値を向上させる5つの方法

企業価値が向上すると、M&Aで優位性が生まれます。また、融資が受けやすくなったり、株価が上昇したりするため、企業価値の向上を目指すべきだといえるでしょう。

ここでは、企業価値向上の方法を5つ紹介します。

  1. 収益力を高める
  2. 投資効率を最適化する
  3. 財務状況を改善する
  4. 無形資産の価値を可視化する
  5. サステナビリティ経営に取り組む

以下、企業価値を向上させる方法を詳しく解説します。

1.収益力を高める

企業価値を向上させるためには、収益力を高める必要があります。

収益力を高めるには売上アップとコストカットを同時に進めることが効果的です。
売上アップとコストカットの具体的な方法には以下のようなものがあります。

【売上アップの方法】

  • ビジネスモデルを再構築する
  • 市場ニーズの調査を実施する
  • 顧客満足度を向上させる
  • 営業力を強化する
  • 値上げする
  • 商品単価を下げて売上数を増やす

【コストカットの方法】

  • 業務を効率化する
  • 外務委託(アウトソーシング)を活用する
  • 交渉して仕入れ値を下げる
  • 仕入れ先を見直す
  • 販管費を削減する

売上があっても、多大なコストがかかってしまえば収益が出ません。
両方の施策に力を入れることが肝要です。

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2.投資効率を最適化する

企業価値の向上を目指すのであれば、投資効率を最適化する必要があります。
不要な資産を処分したり、持っている資産を有効活用することがポイントです。
改善策を講じるべき対象は、固定資産と流動資産(事業資産)の2つです。

固定資産の効率の最適化

固定資産とは、会社が長期で保有する、流通・販売を目的としない資産のことです。
土地や建物、機械設備、投資有価証券などが該当します。
これらの固定資産は、もともと資金が投じられて取得されたものです。ただ保有しているだけで利益を生み出せていない場合、「有効活用できていない」とみなされてしまいます。
そのうえ、保有しているだけでも固定資産税がかかるため、収益に悪影響を及ぼす可能性があります。

投資した分に応じたキャッシュインフロー(資金の流入)を生み出せていない固定資産は、売却しましょう。
寝かせてしまっている固定資産がある場合は、キャッシュインフローを生み出す方法がないか検討してください。

流動資産の効率の最適化

流動資産とは、比較的短いサイクルで現金化できる資産のことです。
現金預金や受取手形、売掛金・買掛金、在庫などが流動資産に該当します。
これらの流動資産の効率化を図ることにより目指すのは、キャッシュフローの改善です。
資金の流入は早めて、資金の流出はできるかぎり遅らせるようにします。

売掛金による取引を行う場合は、適切な回収サイトを設定しましょう。支払い期限を過ぎている場合は、催促をして回収する必要があります。

一方、買掛金による取引では、支払い時期を可能なかぎり遅らせる調整をすることがおすすめです。企業が自由に使えるキャッシュが手元に残るようにしましょう。

在庫数が適切な量を超えているケースでは、在庫の整理も必要です。余剰在庫がある場合は、割引セールを開催したり小売業者に買い取ってもらったりして換金してください。
また、余剰在庫を発生させないために、在庫の管理体制を見直すことも大切です。

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3.財務状況を改善する

企業価値を向上させるために、会社の財務状況を改善しましょう。
財務状況を改善する方法には、財務レバレッジ効果や負債の節税効果を活用することが挙げられます。

財務レバレッジ効果

財務レバレッジとは、金融機関からの借り入れや社債の発行などの負債を利用することによって、多額の利益を出すことです。大きな利益が発生すれば、企業価値向上に寄与します。
財務レバレッジの数値は、総資産に対する他人資本の割合を示しています。
財務レバレッジが低い場合は総資産を占める自己資本の割合が高いことを示し、高い場合は他人資本の割合が高いことになります。

自己資本率が高い企業を除き、通常は他人資本も活用することで積極的な経営戦略を仕掛けます。
財務レバレッジ効果によって多くの利益をあげることができれば、効率良く総資産を増やせていることになります。

ただし、財務レバレッジが高いにもかかわらず利益をあげられなかった場合、借入金や社債の返済が経営を圧迫するおそれがあります。

負債の節税効果

負債の節税効果とは、負債による資金調達(デット・ファイナンス)を行うことで節税効果を生じさせて、企業価値を増大させることです。
資金を調達した際の債権者への支払利息は損金算入され、法人税の対象外になります。
そのため負債がない場合と比べると、支払利息に法人税を掛けた分、企業価値が上がります。

ただし、負債が大きいとその分だけ倒産リスクも高まるため、得られる負債の節税効果には限界があります。

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4.無形資産の価値を可視化する

無形資産とは、人や技術・ノウハウ、取引先、顧客、ブランド、ソフトウェア、のれんなどの形がない資産のことです。
無形資産は目に見えないため、第三者に価値を理解してもらうには可視化する必要があります。
無形資産の価値を可視化することによって、他者からの評価に無形資産の価値がプラスされ、企業価値が向上します。

無形資産の一つである人的資本の価値を示す項目には、従業員の構成情報や一人あたりの売上、人材開発・採用への投入費用などがあります。
また、「超過収益法」「利益差分法」「再調達原価法」などの手法を駆使することで数値化することも可能です。

人的資本以外の無形資産の価値を評価する方法には「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」「DCF法」などがあります。
数値化する以外にも、さまざまな方法での可視化を検討してください。
たとえば得意先との対談記事を載せることで有望な取引先を保有していることをアピールしたり、自社のノウハウの独自性を示すレポートを掲載したりしましょう。
そのほか、ソフトウェアの有用性を示したい場合は、導入したサービスのUI・UXの良さが伝わるように、操作画面を動画にまとめたものを提出する方法もあります。

5.サステナビリティ経営に取り組む

サステナビリティ経営とは、環境・社会・経済の持続可能性に貢献することを目指す経営のことです。
サステナビリティ経営に取り組むことは、環境問題や社会・経済で生じている課題の解決に寄与するほか、中長期的な企業価値向上にもつながります。
「ESG関連指標」をはじめとする、サステナビリティ経営を推進していることを示す指標も存在しており、企業価値をアップさせる評価軸の一つとなっています。

近年、サステナビリティ経営を実行する会社に注目が集まっています。
サステナビリティ経営に取り組む会社は「社会貢献度が高い」と評価されるためです。
取引先や顧客からの信頼を獲得することで、取引先が増えたり売上が増加したりすることにつながるでしょう。
また、投資家からも評価され、多くの投資家からの出資が期待できます。

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企業価値向上の成功事例

最後に、企業価値向上に成功した会社の事例を3つ紹介します。
具体的な取り組みの内容についても解説するので、ぜひ自社の企業価値向上にお役立てください。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」)は、社会・地球の持続可能な発展へ貢献するべく、サステナビリティ推進に取り組んでいます。
トヨタが目指すことの一つが、「誰ひとり取り残さないカーボンニュートラル」です。
トヨタは電気自動車(EV、電動車)をHEV・PHEV・BEV・FCEVのフルラインナップで用意しています。
乗用や商用、航続距離、価格帯など、各人の状況や用途に沿って電気自動車を選ぶことが可能です。
「サステナビリティに貢献したい」と考える多くの人々に対して、参画の機会を提供しています。

トヨタは電気自動車の開発および生産設備への投資に力を入れています。
トヨタが公表している『業績ハイライト・財務指標』によると、設備投資と研究開発費の金額は2022年に1兆3,430億円です。さらに翌年の2023年には1兆6,050億円まで増額しています。
2023年の営業利益は2022年から約18.4%増加しており、ステークホルダーからの評価もさらに高まっていくと予想されます。

参照元:
トヨタ自動車株式会社『サステナビリティ
トヨタ自動車株式会社『地球環境への取り組み
トヨタ自動車株式会社『業績ハイライト・財務指標

株式会社ミラック光学

株式会社ミラック光学(以下「ミラック光学」)は、知的財産に関する情報をステークホルダーに積極的に開示しています。
ミラック光学は公式Webサイトにおいて、自社製品に対するこだわりや知的財産権に対する取り組みについて発信しています。
また、知的財産に関連する受賞歴やメディア紹介の実績も掲載しています。

無形資産である知的財産をより高く評価してもらうためには、ステークホルダーに知財戦略について知ってもらうことが必要です。
ミラック光学は能動的な情報発信によって自社が持つ知的財産について周知し、会社の信用力および評価を向上させています。

参照元:
特許庁『企業価値向上に資する知的財産活用事例集-無形資産を活用した経営戦略の実践に向けて-(P84~P87)』(2022年)
株式会社ミラック光学『当社のこだわり「匠の技術」
株式会社ミラック光学『受賞実績・メディア掲載歴

株式会社スノーピーク

株式会社スノーピーク(以下「スノーピーク」)は、市場ニーズに合わせてビジネスモデルを再構築しました。
スノーピークは「Snow Peak Way」という顧客と同社の従業員が参加するキャンプイベントを定期的に開催し、顧客との交流を深めるとともに、ユーザーニーズを直接的にヒアリングしています。
そうした過程を経て2020年8月に確立したのは、「衣食住働遊」のあらゆるライフシーンにおいてバリュー提供を行うビジネスモデルです。
新たなビジネスモデルでは、アウトドア・キャンプの場だけでなく、日常生活やオフィスなどもバリューを提供する対象です。
また、提供する機会が広がったことにより、すべての年齢層に自然を感じる幸せを提供できるとしています。

スノーピークが公表している『決算短信』によると、2018年から2022年までの5年間の12月期の連結業績の売上高は以下のとおりです。

  • 2018年12月期:12,070百万円
  • 2019年12月期:14,260百万円
  • 2020年12月期:14,345百万円
  • 2021年12月期:25,713百万円
  • 2022年12月期:30,773百万円

2022年度の売上高はビジネスモデルの転換前の2倍以上を記録しており、企業価値の向上をかなえたといえます。

参照元:
特許庁『「企業価値向上に資する知的財産活用事例集-無形資産を活用した経営戦略の実践に向けて-」について(P36~P39)』(2022年)
株式会社スノーピーク『スノーピークの経営方針
株式会社スノーピーク『(訂正・数値データ訂正)「2019 年12 月期 決算短信[日本基準](連結)」の一部訂正に関するお知らせ
株式会社スノーピーク『2020年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社スノーピーク『(訂正・数値データ訂正) 「2021年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について
株式会社スノーピーク『2022年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

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まとめ

企業価値とは、会社が持つ経済的価値のことを指します。
M&Aにおいては、企業価値が売買価格にあたります。
企業価値を上げることができれば株価が上昇したりM&Aが有利になったりするため、企業価値向上の施策は大切です。
企業価値を向上させる主な方法は「収益力を高める」「投資効率を最適化する」「財務状況を改善する」「無形資産の価値を可視化する」「サステナビリティ経営に取り組む」の5つです。
分析をして経営状態を把握したうえで、自社に必要な施策を始めていきましょう。

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