資本参加とは?資本提携との違いやメリット、注意点をわかりやすく解説

2023年10月12日

資本参加とは?資本提携との違いやメリット、注意点をわかりやすく解説

このページのまとめ

  • 資本参加とは、相手企業の株式取得により資本提供を行う広義におけるM&A手法の1つ
  • 資本参加では経営権獲得を目的としない点が、ほかのM&A手法と大きな違いである
  • 資本参加では、協力関係構築により互いの強みを活かしたシナジー効果が期待できる
  • 資本参加の実施に際しては、相手企業の選定と出資企業の持株比率の設定に注意が必要

資本参加の実施について悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。資本参加を成功させるためには、実施することによって期待できる効果を理解し、適切な相手選びをすることが大切です。

本記事では、資本参加の意味やメリットについて詳しく解説します。そのほかのM&A手法との違いや実施するうえでの注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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資本参加とは?

資本参加とは、ほかの企業の株式を取得・保有することにより出資する企業と出資を受ける企業の関係性を強化する手法です。広義におけるM&A手法の1つです。

連携体制を強めたい企業に対し、資本参加によりその会社の成長を支援することで、シナジー効果がもたらされるメリットがあります。

資本参加においては経営権の獲得を目的とはしていないため、取得する株式の比率を拒否権の行使が可能な3分の1を超えない範囲に抑えることになります。これにより、出資先企業の独立性を保つ点が特徴です。

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資本参加と混同しやすい4つのM&A手法

資本参加と混同しやすいM&Aの手法は、資本提携・業務提携・株式取得・事業譲渡の4つです。

ここでは、それぞれの特徴や資本参加との違いを解説します。

1.資本提携

資本提携とは、関係性強化を目的に互いの株式を取得・保有し合う形式で、双方に出資し合う手法です。

資本参加は一方的に資本提供を行い支援することに対し、資本提携は互いに資本を出し合い双方向に業務支援を行うという点が大きな違いです。

資本提携では株式の取得比率が限定されていないため、資本参加の目的に応じて取得比率を変更します。
しかし、資本提携の目的は関係性の強化であり経営権の獲得ではないので、拒否権が行使できる3分の1を下回る比率で株式取得をすることが一般的です。

2.業務提携

業務提携は、お互いの持つ技術やノウハウ、人材、販路などの業務上のリソースを提供し合うことで、互いのリソースを有効活用し、業務の効率化やコスト削減を図る手法です。

業務面においてのみの連携を目的としているため、資金や株式の移動は発生せず、契約書を交わすだけで提携関係をスタートすることができます。

資本移動が行われないという点が資本参加とは大きく異なる点です。提携関係の強さとしては、資本参加に比べてやや劣るといえるでしょう。

3.株式取得

株式取得は、企業の経営権獲得を目的に、発行された株式を取得・保有する手法です。
経営権の獲得を目的としない資本参加とは、目的において大きな違いがあります。

株式取得には、対象企業の経営権・支配権を獲得するために株式を取得する株式譲渡や、対象企業の全株式を取得することで完全子会社化することを目的とした株式交換などのスキームがあり、M&Aにおいてもよく用いられる手法です。

4.事業譲渡

事業譲渡とは、企業が自社の事業のすべて、またはその一部を他社に譲渡することで、対価として現金を受け取る手法です。

対象企業の株式を取得することで資本を提供する手法である資本参加では、事業にかかる権利が関わってくることはありません。その点が事業譲渡との大きな違いです。

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資本参加のメリット

資本参加においては、出資される側と出資する側の企業それぞれに、いくつかのメリットがもたらされます。ここからは、それぞれの企業において期待できるメリットについて解説します。

出資される企業側の2つのメリット

資本参加によって出資を受ける企業側においては、大きく2つのメリットが期待できます。

  • 独立性の維持
  • 競争力の向上

それぞれの効果を見ていきましょう。

独立性の維持

資本参加においては、出資する企業が出資を受ける企業の拒否権を保有する比率までの株式を取得することはありません。

そのため、出資を受けた企業は独立性を維持しながら、事業拡大などに活用するための資金を獲得することができます。

競争力の強化

資本参加で出資する企業は、出資される企業よりも規模が大きい企業であることがほとんどです。

出資を受ける側の企業は出資企業が持つ技術やノウハウなどの強みを、新たな商品やサービスに活用することができます。それによって、市場における競争力強化が期待できるでしょう。

出資する企業側の2つのメリット

次に資本参加において出資する側の企業において、期待できるメリットは以下の2つです。

  • 出資先企業との協力関係強化
  • 新たなビジネスチャンスの獲得

それぞれの効果を見ていきましょう。

出資先企業との協力関係強化

出資する企業は、出資先の企業の株式を保有するため、経営に対してある程度の影響力を持つようになります。

実質的に経営に関与するようになることで、出資企業は出資を受ける側の企業との間により一層強い協力関係を築くことができます。

新たなビジネスチャンスの獲得

出資を受ける側の企業と同様に、互いの強みが掛け合わされることでさまざまなシナジー効果が生じます。出資企業にとっても、新しいビジネスチャンスが生み出せる可能性が高くなります。

出資企業からの資本提供によって出資先企業が成長や事業拡大に成功すれば、出資企業にも新規事業への参入や販路拡大といった効果がもたらされるでしょう。

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資本参加における3つの注意点

資本参加においては、以下の3つの点について注意しておく必要があります。

  • 出資が打ち切られる可能性がある
  • 期待していた効果が得られない可能性がある
  • 持株比率によって行使できる権利が変わる

それぞれの注意点について解説していきます。

出資が打ち切られる可能性がある

資本参加によって、出資する側も出資を受ける側も多くのポジティブな効果を享受することができますが、その関係は決して永続的なものではなく、継続を強制することもできません。
そのため、契約更新時に更新拒否となれば、資本提供が打ち切りとなる可能性があります。

資本提供が打ち切られた場合、出資を受けていた企業は株式を買い戻すか、新たな資本提供者を探して株式を転売するかなどの策を講じることになります。そのため、契約締結時に契約が終了した際の対応についてもしっかりと定めておくことが大切です。

期待していた効果が得られない可能性がある

資本参加によって2社間の協力関係が強化されたとしても、狙っていたシナジー効果が必ずしも生まれるとは限りません。

一言に「シナジー効果」といっても、売上アップやコスト削減など、その効果の種類はさまざまです。
ただ漠然と資本参加の契約を締結してしまったりすると、期待した効果が生まれず、最悪の場合関係性が悪化してしまったという結果につながりかねません。

そのため、資本参加によって両社が満足度の高いシナジー効果を生み出すには、相手企業に関する入念な事前調査に基づくパートナー選びが重要となってきます。相手企業の事業戦略や保持しているリソースなどを調べ、それが自社にどう活かせるか、また自社が相手企業にどう貢献できるかを具体化しておくと良いでしょう。

互いにポジティブな効果を生み出す関係性を築き、維持できる相手をしっかりと見極めておくことで、期待以上のシナジー効果を得ることができます。

持株比率によって行使できる権利が変わる

相手企業の経営権獲得が目的ではない資本参加においても、出資企業の持株比率をどの程度に設定するかという点は、慎重に検討を重ねて決定する必要があります。

これは、出資企業が取得する株式の比率を、拒否権が行使できる3分の1未満に抑えていたとしても、その持株比率によっては、経営に大きな影響をおよぼす権利を行使することができるかもしれないためです。

持株比率が少ない場合でも経営に影響力を持つとして注意が必要な権利は以下の2つです。

  • 単独株式権
  • 小数株式権

それぞれの特徴について見ていきましょう。

単独株主権

単独株式権とは、株式の保有数や保有期間に関係なく、株主が企業に対して行使することが認められている権利です。

1株のみを保有する株主であっても、取締役会招集請求権や株主総会における議案提案権、株主総会・取締役会議事録の閲覧等請求権など、会社経営に関わるさまざまな権利行使が認められています。

少数株主権

少数株主権とは、一定割合または一定数の株式を保有している株主が、企業に対して行使することが認められている権利です。持株比率によってその権利の内容は多岐にわたります。

加えて少数株主権は、複数人が保有している株式の合算が一定割合または一定数をクリアしていれば権利を行使することができるため、株主同士の思わぬ結託が生まれる可能性があります。

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まとめ

資本参加は、友好関係にある企業の株式を取得・保有することにより2社間の関係性を強化する手法です。一方的に資本提供を行うことや、出資された企業の独立性が保たれることが、ほかの出資手法とは異なります。

資本参加には関係性を強化することができたり、新たなビジネスチャンスが創出できたりするメリットがあります。しかしその一方で、資本参加の打ち切りや株主の結託といったリスクがあることも忘れてはいけません。
資本参加においては、良好な関係を継続することができる適切な相手と契約締結することが、資本参加の成否に大きく関わる重要なポイントです。そのため、相手の選定は慎重に行うことが大切です。また、もし魅力的な企業があり資本参加を考えている場合、M&Aで獲得することを検討してみるのも良いかもしれません。

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