バーチャルデータルーム(VDR)とは?使うシーンやメリットを解説

2023年8月25日

バーチャルデータルーム(VDR)とは?使うシーンやメリットを解説

このページのまとめ

  • バーチャルデータルームとは、情報開示のためにデータを保存する仮想空間のこと
  • 閲覧履歴やアクセス権限の詳細設定をできる点がクラウドストレージと異なる
  • バーチャルデータルームの活用により、情報漏洩を防げるのが大きなメリット
  • M&Aのデューデリジェンスなど、バーチャルデータルームの活用シーンは多い

M&Aにあたって、情報の取り扱いに不安のある経営者の方もいるのではないでしょうか。その場合は、バーチャルデータルームの使用を検討しても良いかもしれません。バーチャルデータルームとは、Web上で情報を共有・管理できる仮想空間です。

本コラムでは、バーチャルデータルームについて詳しく解説します。バーチャルデータルームを活用するメリットやM&A以外での利用についても解説するので、ぜひチェックしてください。

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バーチャルデータルーム(VDR)とは

バーチャルデータルームとは、情報開示のためにデータを保存する仮想空間のことです。英語の頭文字をとり、VDRと書くこともあります。

従来は紙文書だった機密情報を電子化し、安全に保存・共有できるシステムです。M&Aのデューデリジェンスを中心に活用されています。

M&Aを安全に進めるなかで、バーチャルデータルームの役割は重要です。情報開示の当事者のみがアクセスできるなど、万全なセキュリティのもとに運用されます。

インターネット環境さえあれば、第三者への漏えいリスクを排除しながら、手間や時間をかけずに情報を閲覧できるため、M&Aで活用されています。

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バーチャルデータルームとクラウドストレージとの違い

Web上で情報を共有できるサービスは、ほかにクラウドストレージがあります。クラウドストレージとは、ネットワークに接続されたコンピューターにあるストレージ(保管場所)にファイルを格納し、同じファイルにどこからでもアクセスできるスペースのことです。

データを保存・共有するという点で、クラウドストレージとバーチャルデータルームは共通しています。しかし、クラウドストレージは主に一般業務を対象とするのに対し、バーチャルデータルームはM&Aなど、より情報の機密性が求められるケースで利用されます。

クラウドストレージでもアクセス制限はできますが、アクセス・閲覧・編集可否の設定を細かく指定することはできません。

一方バーチャルデータルームの場合、ファイルの1つ1つに一人ひとり違う権限を設定することができ、アクセス履歴についても誰が何秒閲覧したかまで管理することができます。

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バーチャルデータルームを活用するメリット

ここでは、バーチャルデータルームを活用するメリットを紹介します。

1.M&Aの情報漏洩を防げる

これまで、M&Aのプロセスで情報を共有する手段として、紙資料主が利用されてきました。しかし、それらには情報漏洩のリスクがあり、共有にも時間がかかっていたという実情があります。

これらの手段をバーチャルデータルームに変えることで、安全性が高まるのがメリットです。また、共有の手間や時間も抑え、迅速にM&Aを進められるという利点もあります。

2.効率的に情報にアクセスできる

バーチャルデータルームの活用により、効率良く情報を閲覧できます。紙資料で情報を共有する場合、データルームに赴いて資料を閲覧する必要があるため、どうしても効率が悪くなります。

バーチャルデータルームではまとめて情報を共有できるため、複数の相手と情報をやり取りする場合でも、効率的なプロセス進行が可能です。

3.細かな閲覧履歴・アクセス権管理ができる

バーチャルデータルームの大きなメリットは、閲覧履歴の管理やアクセス権の設定を細かくできることです。閲覧履歴では「誰が・いつ・どのドキュメントを・何回閲覧したか」「いつ印刷・ダウンロードしたか」も記録されます。

閲覧可能な時間や期間も設定でき、一定時間を過ぎるとタイムアウトで非表示にしたり、調査期間が終わったあとは閲覧不能とするなどの設定も可能です。

バーチャルデータルームに保存する情報の開示レベルは、以下のように段階的に設定できるものが多いです。

  • 閲覧不可
  • 閲覧のみ許可
  • 閲覧と印刷のみ許可
  • 閲覧と印刷とダウンロードが可能

情報ごとに必要な開示レベルを設定することで、情報漏えいのリスクを軽減できます。

4.プロバイダーのサポート体制がある

バーチャルデータルームは基本的にプロバイダーの管理下にあるため、安心して利用できます。多くのプロバイダーは24時間365日体制でサポートを行っており、海外企業と情報共有する場合でも、プロバイダーの協力により安心して取引を進められるでしょう。

サポート体制の内容はプロバイダーごとに異なるため、事前によく確認してから選ぶようにしましょう。

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バーチャルデータルームを使うシーン

バーチャルデータルームは、主に以下のようなシーンで活用されます。

  • M&Aによる情報公開
  • 社内の機密情報の共有
  • 監査やコンプライアンスの審査
  • 知的財産の管理
  • 法務資料の管理

ここでは、それぞれのシーンについて解説します。

1.M&Aによる情報公開

バーチャルデータルームが主に活用されるシーンは、M&Aのデューデリジェンスです。M&Aを進める企業同士が、情報漏えいを防ぎながら財務諸表などの機密資料を安全に閲覧できるようにします。

2.社内の機密情報の共有

バーチャルデータルームは、社内での情報共有にも役立ちます。機密情報などを社内の人間のみ利用できるよう制限をかけることで、情報漏えいの防止が可能です。

例えば、技術開発の図面など大容量になるデータも、バーチャルデータルームであれば安全かつ手軽に共有できます。

また、経営会議の資料などを社外取締役へ送る場合にも、バーチャルデータルームであればメールよりも安全で、よりスピーディに情報を共有できます。

3.監査やコンプライアンスの審査

定期監査やコンプライアンス審査、規制当局による調査などに必要な文書をまとめる場所として、バーチャルデータルームを活用することもできます。

財務諸表や年次報告書などの文書を安全の確保された場所でやり取りできるほか、納期や進捗状況を確認したり、文書に透かし文字を追加したりするなどの機能も用意されています。 

4.知的財産の管理

製薬会社やバイオテクノロジーの企業などで知的財産を管理する場合にも、バーチャルデータルームが活用されます。特に新薬のライセンスを取得するためには、厳密なセキュリティのもとに情報を管理しなければなりません。

開発の際には、多くの関係者と情報を共有する必要があります。多額の研究費と長い年月をかけた研究資料を守るには、安全性の確保されたバーチャルデータルームが有用です。

5.法務資料の管理

裁判の資料などは機密性が高いにもかかわらず、紙ベースでやり取りされているのが実情です。裁判所に提出する訴状や証拠資料は紙で行われ、書類の保管なども紙で行っている法律事務所は少なくありません。しかし、2025年を目標に民事裁判がIT化されることで法務資料のデジタル化が進み、バーチャルデータルームの活用も進んでいくでしょう。

また、複数の事務所が関わる集団訴訟など大規模な案件は、データ共有でメールを使うことも少なくありません。機密性の高い書類を、似たような名前・アドレスの事務所に誤送信してしまうリスクもあります。

バーチャルデータルームを使えばそのようなリスクを防止でき、安全に機密情報を共有できます。

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まとめ

バーチャルデータルームとは、Web上で安全にデータを保存できる仮想空間のことです。主にM&Aでやりとりする資料の共有・管理に活用されています。クラウドサービスと比較して、閲覧履歴やアクセス権限などを詳細に設定できるのが特徴です。バーチャルデータルームを活用するメリットとしては、情報漏えいの防止のほか、情報共有の効率化やプロバイダーのサポートが受けられることなどがあります。バーチャルデータルームは社内での機密情報の共有や、監査のための資料を管理することにも役立ちます。M&Aにおいては、デューデリジェンス扱う資料を管理することが多いでしょう。もしM&Aの実施を検討している場合は、資料の扱いだけでなく、全体のプロセスを熟知した専門家に相談することをおすすめします。

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