学生ベンチャーはメリットが多い?起業のポイントや事例を紹介

2023年5月9日

学生ベンチャーはメリットが多い?起業のポイントや事例を紹介

このページのまとめ

  • 学生ベンチャーには成功している事例が多い
  • 学生ベンチャーはメリットだけでなくデメリットもあり、把握しておくことが大切
  • 学生ベンチャーのイグジット戦略はIPOとM&A
  • 学生ベンチャーを成功させるポイントを4つ紹介

学生が事業を立ち上げる学生ベンチャーは成功例も多く、アイデアを活かして起業したいと考える学生もけっこういるのではないでしょうか。学生ベンチャーはニーズのわかる同世代を対象にしたビジネスモデルも多く、成功のチャンスは少なくありません。

本記事では学生ベンチャーのメリット・デメリットや成功させるポイント、具体的事例に次いて解説します。

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学生ベンチャーは成功しやすい?

近年は学生が立ち上げるベンチャー企業も増えており、成功している事例も少なくありません。学生ベンチャーは大学の校舎を拠点にするなど、学生ならではのメリットで事業を進めやすいのが特徴です。

学生ベンチャーはメディアで紹介されることもあり、同じようにチャレンジしたいと考える学生もいるでしょう。

ここでは、そもそもベンチャーと何かを確認し、学生ベンチャーの概要や成功例をご紹介します。

ベンチャーとは

ベンチャー(Venture)は直訳すると「冒険・投機」という意味で、ベンチャー企業は新しい事業を展開する企業という意味があります。「創業何年以内」といった明確な定義はなく、同じ企業でもベンチャーと呼ばれたり呼ばれなかったりすることがあります。

一般的にベンチャーと呼ばれる企業に共通するのは、先端技術や新しいビジネスモデルで事業を展開しており、成長スピードが速いということです。

なお、ベンチャーと並んでよく使われる言葉に「スタートアップ」があります。スタートアップはアメリカのシリコンバレーで使われていた言葉で、GoogleやAmazon、Facebookなどがスタートアップと呼ばれていました。

その後日本でも使われるようになり、特に革新的なアイデアで急成長する企業を指す言葉として使われています。

学生ベンチャーの成功例

国内外ともに、学生ベンチャーとして成功している事例は多々あります。例えば、ビル・ゲイツはハーバード大学時代にマイクロソフト社を創業しており、Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏もハーバード大学在学中に「学生の交流ができる場」を提供するサイトを作り、起業しています。

国内では、ソフトバンクグループ株式会社の創業者・孫正義氏も学生起業家の1人です。さらに江副浩正氏が大学生時代に株式会社リクルートを立ち上げ、堀江貴文氏は大学4年のときに株式会社ライブドア(元有限会社オン・ザ・エッヂ)を設立しています。

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学生ベンチャーのメリット

学生ベンチャーには、一般的な企業にはないメリットがあります。まず、失敗しても就職という道があり、低リスクでチャレンジできるという点です。また、若者向けの融資を受けることで、資金の問題もクリアできます。大学の校舎を利用できることもあるなど、大学生ならではのメリットも少なくありません。

学生ベンチャーのメリットを8つご紹介します。

低リスクでチャレンジできる

企業しても事業がスムーズに進むとは限らず、リスクはつきものです。学生ベンチャーも当然リスクはありますが、会社員が起業する場合と比較すると低リスクでチャレンジしやすいといえるでしょう。

会社員が起業する場合、これまで築いてきたキャリアを中断し、収入が減少するリスクがあります。家庭を持っている場合、失敗したときに家族を養えなくなる可能性もあるでしょう。

学生の場合は一般的に家族に養われている場合が多く、万が一失敗しても生活費を心配する必要はありません。就職してやり直すという道もあります。起業の経験は、就職のアピールにもなるでしょう。

リスクが少ないことで精神的にも負担がなく、事業に集中しやすいのもメリットです。

若者向けの融資制度を受けられる

起業には資金が必要ですが、学生ベンチャーでは日本政策金融公庫の若者向け融資制度を受けられるのもメリットです。

日本政策金融公庫の新規開業資金は女性・35歳未満の若者・55歳以上のシニアを対象にしており、無担保・保証人なしで融資を受けることが可能です。創業資金を得られれば、事業を円滑に進めることができるでしょう。

ただし、融資を受けるには事業計画の提出や一定額の自己資金を用意しなければなりません。自己資金の用意が難しい場合は、ほかの調達方法を検討する必要があります。

学生ベンチャーが融資以外で資金調達しやすい方法として、以下の2つがあげられます。

  • クラウドファンディング
  • ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金を調達する方法です。自社の事業やプロジェクトをアピールし、賛同して「支援をしたい」と考える人から資金の提供を受けます。

クラウドファンディングの方法は、商品やサービスなどのリターンが発生する「購入型」や、寄付として受け取る「寄付型」など、さまざまなタイプがあります。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家は、成長が見込まれるベンチャー企業の将来性を見極め、出資・支援をするものです。ベンチャーキャピタルは投資ファンドのひとつで、エンジェル投資家は個人という違いがあります。

エンジェル投資家は起業の経験者も多く、資金の援助だけでなく経営のアドバイスといった支援を受けることも可能です。

大学の校舎を拠点にできる場合がある

学生ベンチャーは、大学の校舎をミーティングやマーケティングの拠点にしやすいというメリットがあります。学生が自由にパソコンを利用できるコンピュータルームがあれば、Webサイトの更新やミーティング資料の作成などに利用できます。

また、大学の許可を得て校内でのテストマーケティングや、アンケート収集をすることも可能です。費用をかけず、ターゲットとする世代の声を集めることができます。

また、大学には各分野のスペシャリストである教員が多く在籍しており、相談しやすいのもメリットです。図書館では多くの書籍があり、手軽に情報を仕入れることもできます。

大学発ベンチャーとして注目される事例もある

近年、大学発ベンチャーの企業として注目されている事例が数多くあります。大学発ベンチャーとは、大学で行った研究の成果を活かして事業を行うベンチャーのことです。

厚生労働省の調査では、2021年の大学発ベンチャーの数は2020年度調査から401社増え、3,306社とされています。このうち、現役の学生が関係する学生ベンチャーは22.9%で、研究成果ベンチャーに次いで高い数字です。

大学発ベンチャーの企業数は2014年度以降、毎年増加傾向にあります。在学中に取得した資格や研究成果を活かした起業が大学からの支援も受けやすいということが、増加を続けている理由といえるでしょう。

自身の研究をビジネスに活かしたい場合、担当教授や大学の運営事務局に相談してみることで産学連携につなげることも可能です。

参照元:経済産業省「令和3年度 ⼤学発ベンチャー 実態等調査 調査結果概要」

学生向けのサービスを展開できる

学生ベンチャーは、学生をターゲットにしたサービスを展開しやすいのもメリットです。同年代をターゲットにすることで顧客心理をつかみやすく、ニーズに合った製品・サービスのアイデアを得られる可能性があるでしょう。学生として体験している悩みや課題の解決は、自分以外の学生の悩み・課題の解決にもつながります。

学園祭でのブース出展や学生向けイベントなど、アプローチする機会が多いのもメリットです。

起業当初のスモールスタートして始めやすく、広く事業展開していくための足がかりになるでしょう。

自由な時間を作りやすい

学生は社会人と異なり、自由な時間を確保しやすいのも大きなメリットです。会社員はリスクを抑えるために副業として起業する場合もありますが、その場合はどうしても活動の時間が限られます。

特に設立準備から立ち上げをする時期は時間の確保が必要です。大学生は時間割をコントロールして自由な時間を作りやすいため、起業に向いているともいえるでしょう。

学生は若くて体力があることも大きなメリットです。起業に向けて多くの準備作業や手続きがありますが、体力で乗り越えることもできるでしょう。

起業を支援する組織がある

近年は「インキュベーションセンター」や「アントレプレナーシップセンター」といった、企業を支援する組織を置く大学も増えています。

インキュベーションセンターとは、創業初期段階にある起業者の事業を支援する拠点のことです。通常よりも安価で事務所スペースを提供したり、事業の立ち上げに関する専門家のサポートを提供したりします。

アントレプレナーシップセンターとは、アントレプレナーシップ(起業家精神)を養う「教育」「実践」「起業支援」の3つを柱とした運営を行う事務局です。

開発に向けた施設やシェアオフィスの提供、会計・税務・法務の各種専門家の紹介など、幅広く学生ベンチャーのサポートを行っています。

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学生ベンチャーのデメリット

学生ベンチャーにはデメリットな側面もあります。起業する際はメリットばかりに目を向けず、デメリットも把握しておかなければなりません。

まず、学生は社会人経験がないため、どうしても企業に関する知識が不足しています。また、事業に時間をかけすぎて学業がおろそかになることもあるでしょう。

ここでは、学生ベンチャーのデメリットについて解説します。

知識やスキルが不足している

事業運営にはさまざまな知識・スキルが必要であり、社会人経験のない学生はそれらが不足しがちです。アイデアがあっても、専門的な知識がなければ計画のままで終わる可能性もあるでしょう。実際に学生起業した経験のある人など、相談できる相手を見つけることをおすすめします。

また、取引先が企業の場合、最低限のビジネスマナー・スキルがないと、信頼関係の構築が難しくなります。

そもそも、学生ベンチャーは社会的な信用を得にくいというのがデメリットです。学生というだけで経験に乏しいと判断される場合もあります。信頼してもらえるだけの事業計画を作らなければなりません。

学業がおろそかになる

事業活動に時間をかければ、それだけ学業がおろそかになります。起業前に、学生生活とどのように両立させるかをよく考えておかないと、学業に支障が出る可能性があるでしょう。

起業してから事業に集中するために中退してしまう人もいれば、しっかり両立して卒業する人もいます。どちらの選択が優れているということはありませんが、卒業しようと決めているのであれば、両立するための計画をしっかり立てることが必要です。

友人と過ごす時間が少なくなる

学生ベンチャーの起業では、学業に支障が出るだけでなく友人関係も疎遠になりがちです。友達と楽しく過ごす時間はなくなり、学生時代の思い出も作れません。周りの学生が旅行やレジャーの計画を立てているときに、事業計画を進めていく必要があるでしょう。

起業のためには仕方ないと割り切ることもできますが、学生時代は人生で長く友情が続く友人を見つけることも多いものです。事業活動で同年代の人とのコミュニケーションが取れないのは、損失ともいえるでしょう。

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学生ベンチャーのイグジット戦略

学生ベンチャーが最終的に目指すのは、イグジット戦略です。イグジットとは、事業の投資資本を回収する出口戦略のことで、IPO(株式公開)とM&Aの2種類があります。いずれかの方法で事業に投資した資金以上を回収することで、事業に成功したといえます。

2つのイグジット戦略について、それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

IPOを目指す

IPOとは、これまで株式の所有が少数株主に限られていた非上場企業が証券取引所に株式を上場し、一般の投資家に向けて売り出すことです。

上場により不特定多数の投資家に株を売却し、多額の資金調達をすることが可能です。IPOにより株価が高騰する場合も多く、大きな利益を得られる可能性があります。

上場することで企業の認知度やブランド力が上がるのもメリットです。上場はその審査に合格できる企業であるという証明になり、社会的信用も上がります。

知名度が上がることで優秀な人材を確保しやすくなり、社会的信用が高まることで新しい取引先との契約をとりやすくなります。金融機関からの融資も受けやすくなるでしょう。

一方で、上場後も継続的な成長が求められ、プレッシャーが高まるというデメリットがあります。また、IPOは希望すればどの企業も行えるわけではなく、準備や維持のために時間的にも資金的にも多くのコストがかかります。それが可能なだけの体制を作らなければなりません。

IPOでは、上場企業としての社会的責任も求められます。投資家を保護するため定期的な情報公開が義務付けられるのもそのひとつです。

M&Aで売却する

もうひとつのイグジットはM&Aです。M&Aとは、企業の合併・買収を指します。合併とは2つ以上の会社がひとつになることで、買収とはある会社が他の会社を買ことです。

企業または事業の全部または一部の移転を伴う取引であり、近年は企業の成長戦略としてM&Aが行われるケースも増えています。

例えば、自社だけでは今後成長するためのリソースに限界がある場合、M&Aを成長戦略と位置づけて事業を譲渡することもあるでしょう。譲渡後も経営者は会社に残り、譲受企業と融合した自社の成長を目指します。

学生ベンチャーは起業した会社をM&Aで売却することで売却益を得ることができ、売却方法はバリエーションが豊富です。会社を完全に売却してしまうだけでなく、同業種の企業と合併し、大手企業の傘下に入って資金を増やす方法もあります。利益を得るだけでなく、企業価値を高めることもできるでしょう。

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学生ベンチャーを成功させるポイント

学生ベンチャーを成功させるためには、以下の4点を押さえることがポイントです。

  • ベンチャー企業のインターンに参加する
  • 小さい規模から始める
  • 仲間を作る
  • 学生対象のビジネスを考える

知識やスキルの不足は、ベンチャー企業の長期インターンに参加することで補うことが可能です。また、最初は小さい規模から始めることで失敗のリスクを抑えられるでしょう。

学生ベンチャーを成功させるポイントについて、詳しくご紹介します。

ベンチャー企業のインターンに参加する

起業の準備段階として、ベンチャー企業のインターンに参加するのもおすすめです。ベンチャー企業は大企業と異なり、一般社員が代表・役員と同じフロアで働くことも珍しくありません。経営陣の働き方を間近でみて、ビジネスのノウハウなど学ぶことも多いでしょう。

実際に、起業家のなかには長期インターンを経験し、そこで得られた経験が起業に役立ったとしているケースもあります。

大手企業のインターンは1日か、長くて1週間という短期間がほとんどであるのに対し、ベンチャー企業は2週間〜3ヶ月など長期間が多いため、時間をかけてビジネスについて学べます。

また、ベンチャー企業は大学1年生から参加できる企業もあり、起業を決意してから早い段階でビジネスを学ぶこともできるでしょう。

少数精鋭で働くベンチャー企業は社員の裁量が大きく、インターンでも社員と同じ業務を任せられることもあります。裁量の大きい仕事をこなすことで、社会人として必要なビジネススキル・マナーも身についてくるでしょう。

ベンチャー企業の長期インターンは高い目標を持った学生が集まりやすく、自分と同じく将来の起業を目指して参加する学生がいる可能性もあります。

同じ志を持つ仲間を見つけて情報交換をしたり励ましあったりもできるでしょう。

小さく始める

事業を進める際は、スモールスタートを意識することが大切です。小さい規模で始めることで、事業がスムーズかつスピーディになります。

企業にはリスクがつきもので、事業規模が大きいほど失敗したときの損失も大きくなります。大きなビジネスを始める場合は資金調達の悩みがありますが、小規模で始めるのであれば必要な資金を抑えられるでしょう。

小規模で進めることで、方向性を変えたい場合の軌道修正がしやすいというメリットもあります。小規模な起業から始めることはそれだけ事業活動にかける時間も少なくなり、学業との両立ができるのも利点です。

仲間を作る

起業仲間を作ることも、事業をスムーズにスタートさせるコツです。起業には資金調達や商品・サービスの開発、営業、広告などさまざまな準備が必要になります。これらを1人で行うのは大変であり、同じ目標を持つ仲間がいれば、情報交換など助け合うことができるでしょう。

ただし、事業自体は一人で立ち上げることをおすすめします。共同開発で事業を行うことはそれだけ負担も減り円滑に進められるというメリットはありますが、事業に対する熱量やモチベーションが異なる場合、意見が衝突して事業が進められない可能性もあります。よほど志を同じくして信頼関係も強い仲間でなければ、事業は1人で始めた方がよいでしょう。

ただし、それでも「仲間がいた方が心強い」ということもあるかと思います。

仲間を探すときは、以下の点に着目しましょう。

  • 目的や志を共有できるか
  • 地道な努力ができるか
  • 自分ができないことができるか

一緒に起業する場合、ただ気が合うというだけでなく目的や志を同じくしているかの確認が必要です。自分には明確な目的や熱意があっても、相手は「起業に興味がある」「稼げるかもしれない」といった軽い動機にすぎない場合、事業を進めていくなかでお互いの熱量も違ってくるでしょう。意見が合わなくなり、解散する可能性が高くなります。

また、企業に成功している人を見て華やかな世界だと勘違いし、地道な努力ができない人は企業仲間に向かないでしょう。

一緒に事業を行う仲間は、自分にできないことができることで助けになります。自分にできることしかできないのであれば一緒に行う必要はなく、自分だけで起業した方がスムーズに進むでしょう。自分より優秀な人を仲間として求めることが、起業を成功させるコツです。

学生対象のビジネスを考える

起業のアイデアに迷った場合、周りに学生がいる環境を活かし、学生対象のビジネスを考えることが成功のポイントです。同じ学生としてどのようなものを求めているかニーズを把握しやすく、市場調査や効果測定、分析も行いやすくなります。

学生対象のビジネスとして、一例をみてみましょう。

  • アプリ開発
  • セミナー・イベント開催
  • 家庭教師の派遣
  • 宿題・論文のサポート
  • 動画編集

ほとんどの学生がスマホを持つ時代に、学生の需要を満たすアプリの開発はビジネスチャンスが高いでしょう。また、セミナーやイベントも、学生が興味を持ちそうなアイデアがあれば高いニーズを獲得できます。

家庭教師の派遣はニーズの高い仕事です。身近に家庭教師のアルバイトをしたい学生が多い場合は、マッチングの仕事ができるでしょう。

宿題・論文の代行をビジネスにするのは問題がありますが、資料の収集など作成のためのサポートをすることは、忙しい学生にとって需要が高いといえます。

近年は、YouTuberなど動画配信する学生も増えています。サポートするための動画編集も、ビジネスとして成り立つ可能性はあるでしょう。

研究をビジネスにしたい場合は大学発ベンチャーを設立し、産学連携を狙うのもおすすめです。

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学生ベンチャーの成功事例

学生が起業して成功をおさめた学生ベンチャーは多く、それらの事例を見ることも起業を成功させるヒントになります。

サービスが先にあってあとから起業を決めたBASE株式会社や、大学の共同研究がビジネスに発展した株式会社エコロギーなど、成功の内容はさまざまです。

ここでは、学生ベンチャーの成功事例を詳しくみていきましょう。

BASE株式会社

ネットショップ作成サービスを手掛けるBASE株式会社は、鶴岡裕太氏が大学在学中に起業した会社です。3つの項目を埋めるだけでショップを開設できるネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」をメインに運営しています。同社は2019年10月、東証マザーズへの上場を果たしました。

鶴岡市が起業に至った経緯は、クラウドファンディングにインターンとして出入りし、エンジニアリングやプログラミングを習得しながら「自分でもサービスを作れるようになりたい」と思ったのがきっかけだったということです。

その頃、大分県で小売店を営んでいる同氏の母親が「ネットショップを作ってみたい。だけど、どれも難しくてよくわからない。」といっていたため、母親でも気軽に使えるサービスができないかと考えて作ったのが「BASE」です。

母親の言葉により、多くの人にとってはインターネット上に自分のお店をもつことが難しいのだということに気づいたというのが、ネットショップ作成サービスを作成した理由です。

サービスをスタートしたところ、周囲の投資家から「資金提供するので起業してみてはどうか」と勧められ、起業するに至ったという経緯があります。

まずサービスがあり、それを認めた起業家たちが支援して起業を実現することになったのです。

同氏はBASEを作ったときに大学を休学し、サービスを開始してから約1年後に退学しています。「卒業はしておこう」と考えていましたが、会社設立後に大学をやめて参加してくれるメンバーもいたことから、退学を決めたということです。

参照元:BASE株式会社「代表メッセージ」

株式会社リブセンス

株式会社リブセンスは、インターネットメディア運営事業を行う会社です。代表の村上太一氏は、大学1年のときに起業しています。

同氏は子どもの頃から周りの人に喜んでもらうことが好きで、その感動をもっと大きなスケールで味わいたいと思い、企業を考えました。在学していた早稲田大学ではベンチャー起業家の養成講座を受講し、発表した事業プランで優勝するという経験もしています。

しかし、そのころはまだ「なぜ起業したいのか」が具体的にわからず、想いはあるもののはっきり言語化できない状態でした。そんななかでアルバイト先の店長が「求人広告を出す予算がない」といっているのを聞き、「ビジネスの基本はこのような不便や問題の解決をするもの」と気づいたのです。

その後、2006年にアルバイト求人サイト 「ジョブセンス」を立ち上げ、現在は月間約300万人が利用する巨大メディアに成長しました。2011年には東証マザーズへの上場を果たし、同社は事業を拡大しながら今も成長を続けています。

参照元:株式会社リブセンス「代表あいさつ」

株式会社エコロギー

株式会社エコロギーは、早稲田大学での研究成果より創業した大学発ベンチャー企業です。「地球と生命が、食を通じて健やかになる持続可能な生態系を作る」ことを使命とし、その達成のためにカンボジアで昆虫コオロギを生産し、食品や飼料用途で販売しています。

同社では、人口増加により世界全体にタンパク質不足の危機が訪れると推測されていることを受け、エコで栄養豊富な代替タンパク質資源として昆虫に着目しました。自社で生産管理したコオロギを丁寧に加工し、幅広い商品に展開する事業を行っています。

代表の葦苅晟矢氏は早稲田大学先進理工学研究科に在籍し、早稲田大学の研究室などとコオロギの利活用に関する共同研究を立ち上げました。

光周期などの外部環境がコオロギの成育に及ぼす影響について研究を行い、早稲田大学が主催する2015年のビジネスプランコンテストでは、コオロギを活用した事業アイデアでの最優秀賞を受賞しています。

また、「インターナショナル・ビジネスモデル・コンペティション」の日本大会で優勝するなど、多くの成果を上げています。2017年には研究成果をもとに、株式会社エコロギーを設立しました。

さらに、代表は2019年にカンボジアを拠点とするため移住し、現場マネジメントとコオロギ量産体制確立に専念してきました。2020年末には量産体制が確立し、2021年より日本を含むグローバル市場にコオロギ原料の販売を行っています。

参照元:株式会社エコロギー「Vision

株式会社PoliPoli

株式会社PoliPoliは、政治の情報共有プラットフォームサービスを提供している会社です。現役の慶応義塾大学生が起業した学生ベンチャーです。サービスでは、有権者がアプリ内で政治のニュースや政治家の活動状況を知ることができ、政治家はアプリ内のトークルームで情報発信ができます。

サービス内で独自通貨「Polin」が発行され、有権者はコミュニティ内で良い発言をして集めた「いいね」数や政治家へのトークン付与数の順位などで順位づけされ、上位のユーザーにはさまざまなインセンティブが付与される仕組みです。

独自のトークンエコノミーを形成し、政治家と有権者を近づけるプラットフォームを目指しています。

代表の伊藤 和真氏は起業前にベンチャーキャピタルで働き、政治関連のベンチャー起業をみていくなかで違和感を感じていました。アメリカを見ると政治系のスタートアップ企業がベンチャーキャピタルから何十億と資金調達するなど、政治に向けたサービスが進んでいます。しかし、日本は遅れており、政治の分野で成功事例がありません。そのような問題はテクノロジーで解決できるのではないかと思い、政治の分野を選んだということです。

同社では「PoliPoli」によって政治に興味を持つ人たちを増やし、政治を変えていきたいと考えています。

参照元:株式会社PoliPoli「ミッション」

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まとめ

学生ベンチャーは学生向けのサービスを展開しやすいなど、学生だからこそのメリットで成功できる可能性があります。研究をビジネスに活かす大学発ベンチャーも年々増加している傾向にあり、これまで学生ベンチャーが成功している事例は少なくありません。

起業のアイデアがありチャレンジしたいと考えている方は、学生ベンチャーのデメリットも把握しつつ、検討してみるとよいでしょう。成功させる秘訣として、ベンチャー企業への長期インターン参加もおすすめです。

学生ベンチャーの最終目標のひとつにM&Aがあります。近年は成長戦略としてM&Aを行う会社もあり、事業展開の過程でM&Aを選択することもあるでしょう。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&Aをサポートする仲介会社です、各領域で専門性の高いコンサルタントが在籍しています。学生ベンチャーのイグジット戦略であるM&Aにも対応しており、M&Aのご成約まで一貫したサポートを提供します。

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