M&Aの実務の手順とは?成功に導くポイントやおすすめ本をご紹介

2024年3月29日

M&Aの実務の手順とは?成功に導くポイントやおすすめ本をご紹介

このページのまとめ

  • M&Aの実務は、交渉相手の選定や秘密保持契約の締結など多岐にわたる
  • M&Aを確実に進めるには、実務の全体像を掴む必要がある
  • 実際のM&Aにおいては、実務を専門家に依頼するケースが多い
  • M&Aの実務を学ぶには、書籍を活用するのも有効である
  • M&A仲介会社は、M&Aの実務を総合的にサポートしてくれる

将来的なM&Aを控え、どのような準備が必要なのか疑問に思っている経営者の方も多いでしょう。M&Aの実務は多岐にわたるため、それぞれの工程で買い手・売り手の立場で知っておくべきポイントがあります。

本記事では、M&A実務の流れや必要となる契約書類、M&A仲介業者が代行する実務の概要などについてまとめています。M&Aの実務を学べる書籍も紹介しているため、参考にしてみてください。

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M&Aの実務を行う流れ

買い手側売り手側
M&A実務に必要な準備・M&A実施の理由や目標を設定する・M&A実施の理由や目標を設定する
・企業価値を高める
自社および業界の分析・交渉相手選定に向けた自社分析と業界状況を把握する
M&A仲介会社やアドバイザーへの相談・無料相談を利用して実際に利用する仲介業者やアドバイザーを検討する
アドバイザリー契約の締結・依頼をするM&A仲介会社とアドバイザリー契約を結ぶ・依頼をするM&A仲介会社とアドバイザリー契約を結ぶ
・「企業概要書」や「ノンネームシート」作成に必要な書類を準備する
交渉相手の選定・提示されたリストを確認し優先順位付けをする
・必要に応じて金融機関や会計事務所にも相談する
秘密保持契約の締結・交渉前に秘密保持契約の締結をする
トップ面談の実施・会社概要の説明や質疑応答を中心としたトップ面談を実施する
基本合意書の締結・基本合意書の作成と締結をする
デューデリジェンス実施・売り手企業の価値算出や簿外債務の確認をする・買い手側からの調査に応じる
最終契約の締結・最終的な条件を決定する
クロージング・株式の譲渡や譲渡対象の譲渡、代金の支払いなどをする

M&Aを行うためには、契約などの手続きを行う必要があります。スムーズに問題なく成功させるためには、どのような手続きが行われるか知っておくことが欠かせません。

M&Aの実務は、次のような流れで行われることが一般的です。

  1. M&A実務に必要な準備
  2. 自社および業界の分析
  3. M&A仲介会社やアドバイザーへの相談
  4. アドバイザリー契約の締結
  5. 交渉相手の選定
  6. 秘密保持契約の締結
  7. トップ面談の実施
  8. 基本合意書の締結
  9. デューデリジェンス実施
  10. 最終契約の締結
  11. クロージング

ここからは、M&Aの実務を行う流れを解説します。

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1.M&A実務に必要な準備

M&Aの実務を行う前に、まずは準備から始めます。M&A実施に向けて、条件面の検討や、優先順位を決めておくようにしましょう。

条件面では、次のような内容に関して考えておく必要があります。

  • 売却(買収)を行う企業や事業
  • 売却(買収)する値段
  • 売却(買収)方法

条件面に関しては、優先順位を決めておくと交渉が行いやすくなります。譲れない条件と、譲歩できる条件を決めておきましょう。

M&Aを行う理由を考える

なぜM&Aを行うのか、理由も考える必要があります。理由が明確になっているほど、M&A成功に向けて努力できるでしょう。

M&Aを行う理由は、経営者によって変わります。

  • 後継者を探したい
  • 事業再編をしたい
  • 事業を譲って引退したい

など、理由によって行う行動も必要な交渉相手も変わります。

M&Aの実施理由は明確にし、記録しておきましょう。

目的や目標を決める

M&Aを成功させるためには、実施目的や目標も明確にしておくことが大切です。「M&Aでどのような状況を作りたいのか」「M&Aで獲得したいものは何か」などの具体的な内容に関して考えておきます。

目的や目標に関しては、次のような内容を決めると良いでしょう。

  • M&Aで獲得したい金額
  • 企業運営
  • 従業員の待遇(給与など)
  • 取引先との関係

目的や目標が明確であれば、交渉が進んでも指針がブレないようになります。最初に決めた目標から外れることなく、手続きを進められるでしょう。

企業価値の向上

M&Aを行う前に、自社の企業価値を向上させることも忘れてはなりません。買い手であれば、自社の価値が上がることで売り手から評価され、譲渡先に選ばれやすくなります。売り手であれば、買い手企業が見つかりやすくなり、より良い条件で買収してもらいやすくなるでしょう。

企業価値を向上させるために、組織体制の見直しや財務状況の改善を行っておきましょう。また、企業価値向上に向けて、自社の価値を正しく把握しておくことも大切です。規模や収益力などから、どれほどの価値があるのか把握しておきましょう。

企業価値を算出するためには、M&A仲介会社やアドバイザーのような専門家に依頼しましょう。正しい企業価値を算出するだけではなく、企業価値向上に向けたアドバイスも期待できます。

2.自社および業界の分析

交渉相手選定に向けて、自社や業界の分析を行いましょう。M&Aでは、事業承継を目的にするだけではなく、シナジー効果や事業拡大を目的にする場合もあります。

事業拡大やシナジー効果のためには、どのような企業が最適化を考えなければなりません。「業種」「エリア」「企業の強み」「企業の弱み」などから、M&Aの効果が期待できる企業を考えましょう。

また、自社に関しても分析を行う必要があります。自社の強みや弱みはもちろん。業界の特徴や、どのような脅威が想定されるかを考えておくと、M&Aの成功につながります。

3.M&A仲介会社やアドバイザーへの相談

M&Aを行うためには、M&A仲介会社やアドバイザーが欠かせません。M&A実行前の相談からクロージングまでをサポートしてもらえます。

M&A仲介会社に相談すれば、M&Aの目的や希望条件などを確認してもらえ、実施に向けたアドバイスが受けられます。相談は無料で行っていることも多く、相談の時点で簡易的な売却価格が教えてもらえる点はポイントです。

4.アドバイザリー契約の締結

依頼するM&A仲介会社が決まれば、アドバイザリー契約を締結しましょう。アドバイザリー契約とは、M&A仲介会社に実務を依頼するための契約です。どのような業務を依頼するか範囲を決め、契約を結びます。

アドバイザリー契約締結後には、M&A仲介会社から自社の資料を提出してほしいと要望を受けます。「登記事項証明書」「事業報告書」「確定申告書資料」などが必要になるため、準備しておきましょう。

M&A仲介会社は、提出された資料をもとに、「企業概要書」や「ノンネームシート」を作成します。企業概要書とは、社名を記載した企業の説明資料のことです。ノンネームシートは、企業の社名を伏せ、簡単に情報をまとめた説明資料になります。

企業概要書、ノンネームシートともに、交渉相手を選定する場面で活用されます。

5.交渉相手の選定

M&A仲介会社と契約したら、交渉相手の選定を行います。M&A仲介会社から10社から30社程度が記載された候補リストが渡されます。

リストには、「業種」「企業規模」「資金力」「事業内容」などが記載されているため、リストの確認と順位決めを行いましょう。金融機関や会計事務所の意見をもとに、順位決めを行うことも効果的です。

6.秘密保持契約の締結

候補企業が見つかったら、交渉前に秘密保持契約の締結を行います。M&Aに関する情報を外部に漏らさないようにするためです。

M&Aでは機密情報が多く、情報漏洩が損害につながります。情報が漏洩すると、M&Aが失敗するリスクだけではなく、経営や株価にも影響を与えてしまうでしょう。従業員や取引先に情報が漏れてしまっても、混乱につながります。情報漏洩のリスクを防ぐために、必ず秘密保持契約の締結を行いましょう。

秘密保持契約の締結後は、ノンネームシートで相手企業が関心を持っているか確かめます。関心を持っている場合には、企業概要書を開示し、プレゼンテーションを実施しましょう。希望条件やM&Aのスケジュールも説明します。

相手企業から交渉したいと連絡が来たら、トップ面談に移ります。

7.トップ面談の実施

トップ面談とは、買い手と売り手の経営者同士が話し合う面談のことです。信頼関係の構築を目的に行われます。基本的には、自己紹介や会社概要の説明、質疑応答が中心です。場合によっては、企業や工場の見学が行われる場合もあります。

トップ面談の時点では具体的な条件交渉は行わないように注意しましょう。

トップ面談で交渉に前向きになれば、具体的な条件交渉に移ります。ただし、トップ面談は1回とは限りません。何度も話し合いを行い、具体的な交渉に進む場合もあります。

条件交渉の場面では、M&A仲介会社と介して行います。譲渡価格や予定日など、具体的な条件を相談しましょう。

8.基本合意書の締結

M&Aの合意ができれば、基本合意書の締結を行います。基本的には、次のような内容を記載します。

  • M&Aのスキーム
  • M&Aの対象範囲
  • 譲渡価格
  • スケジュール
  • デューデリジェンスの実施
  • 役員の処遇
  • 保証債務の解消
  • 独占交渉権の付与
  • 秘密保持義務
  • 一般条項

基本合意書は仮契約の状態になる点に注意しましょう。法的な拘束力がある部分と、法的な拘束力がない部分があります。

たとえば、独占交渉権や秘密保持義務に関しては、法的拘束力を持たせるケースが一般的です。しかし、譲渡価格などの条件面に関しては、調査を行っていない状態で法的拘束力を持たせるのは難しくなります。そのため、法的拘束力は付与せず、デューデリジェンスの結果次第で柔軟に変更するのが通常の流れになります。

9.デューデリジェンス実施

基本合意書締結後は、デューデリジェンスを実施しましょう。デューデリジェンスとは、売り手の価値を算出したり、簿外債務を発見したりなどの調査を行うことです。

次のような範囲でデューデリジェンスは行われます。

  • 財務デューデリジェンス
  • 税務デューデリジェンス
  • 法務デューデリジェンス
  • 人事デューデリジェンス
  • ITデューデリジェンス
  • ビジネスデューデリジェンス

デューデリジェンスの実施は、各分野の専門家に依頼しましょう。税務であれば税理士、法務であれば弁護士などの専門家に依頼します。

10.最終契約の締結

デューデリジェンスの結果を踏まえて、最終契約を締結しましょう。最終契約では、M&Aの最終的な条件を決定します。次のような内容に関して定めてください。

  • 譲渡価格
  • 退職金の処理方法
  • 従業員の処遇
  • 役員の処遇
  • 譲渡金額の支払い方法
  • 連帯保証や担保提供に関する引受または解除の方法
  • 保証債務の処理
  • 契約書に記載されていない債務の発生ケースと処理方法
  • そのほかの細目事項の決定(社宅の処理や役員人事など)

また、クロージングに向けて、次のような実務を行いましょう。

  • スケジュール調整
  • 契約書の製本
  • 登記
  • M&A後の引継ぎ計画策定
  • 株券の準備

M&A仲介会社などのサポートを受けながら、実務を進めてください。

11.クロージング

M&A成立に向けて、クロージングを行います。クロージングとは、株式の譲渡や譲渡対象の譲渡、代金の支払いなどのことです。

多くの場合には、最終契約書を締結してから1ヶ月程度あとにクロージングが行われます。最終契約書にクロージングの前提条件が記載されており、条件を満たしてからクロージングを行うと定められているからです。

最終契約書の締結からクロージング日までは、前提条件を満たすための実務を行いましょう。クロージングが無事に終われば、M&Aの実務は終わりになります。

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M&A仲介会社が行う実務1:交渉相手の選定 

買い手側売り手側
ロング・ショートリストで絞り込む
秘密保持契約の締結を行う
ノンネームシートの内容を検討するノンネームシートを作成・提案する
交渉相手の選定を依頼できる専門家を探す

M&A仲介会社が行う実務に関しても確認しておきましょう。M&A仲介会社が契約して最初に行う実務が、交渉相手の選定です。次のような内容に関して知っておきましょう。

  1. ロング・ショートリストで絞り込む
  2. 秘密保持契約の締結を行う
  3. ノンネームシートで提案する
  4. 交渉相手の選定を依頼できる専門家

それぞれの内容に関して解説します。

1.ロング・ショートリストで絞り込む

交渉相手を選定するために、まずはロングリストとショートリストを用いた絞り込みを行います。ロングリストとは、M&Aの候補先の一覧を示したリストのことです。買い手の場合は売り手のリストが、売り手の場合は買い手のリストが提案されます。

ロングリストには、次のような内容を記載してあるケースが一般的です。

  • 企業名
  • 代表者名
  • 所在地
  • 主な商品やサービス
  • 資本金
  • 従業員数
  • 売上や利益
  • 企業WebサイトのURL
  • 担当者や問い合わせ先のメールアドレス

ロングリストを確認したら、交渉できる可能性や期待できる効果などから、数社まで絞り込みます。この数社まで絞り込んだリストのことを、ショートリストと呼びます。

2.秘密保持契約の締結を行う

機密情報を扱うことからも、秘密保持契約の締結が必要です。M&A実施に向けて、売り手は買い手に対し、自社の情報や財務情報を明かします。情報がなければ、買収の可否を判断できないからです。

提示した情報をM&A以外に悪用されないためにも、秘密保持契約を結びます。ショートリストを作成し、交渉に入る前に締結しましょう。M&A仲介会社を介する場合もあれば、直接締結する場合もあります。

3.ノンネームシートで提案する

売り手企業は、買い手に対して情報を伝える資料を作成します。資料はノンネームシート、または企業概要書と呼ばれる資料です。

ノンネームシートなどを作成する際の注意点は、情報開示を行う範囲です。ノンネームシートで情報を載せ過ぎると、売り手企業が特定されるリスクが高まります。

しかし、情報を少なくし過ぎてしまうと情報や魅力が伝わらず、買い手に評価してもらえません。M&A仲介会社は売り手と相談しながら、適切なノンネームシート作成を行い、提案する実務を担っています。

4.交渉相手の選定を依頼できる専門家

交渉相手の選定を依頼できる専門家には、次のような専門家がいます。

  1. M&A仲介会社・アドバイザリー
  2. 事業承継アドバイザー・事業承継プランナー
  3. 公認会計士・税理士
  4. 弁護士
  5. 司法書士

それぞれの特徴に関して解説します。

1.M&A仲介会社・アドバイザリー

M&Aに関する内容であれば、M&A仲介会社やアドバイザリーに相談しましょう。候補企業のマッチングからクロージングまで、全体的にサポートが受けられます。

M&A仲介会社にも得意な業種や規模があるため、自社のM&Aに即した仲介会社を選ぶようにしましょう。

2.事業承継アドバイザー・事業承継プランナー

事業承継アドバイザー、事業承継プランナーは、事業承継に関する知識を有する専門家です。民間資格であり、法務や税務、企業価値算定などの知識を有しています。

事業承継を行う場合には、事業承継アドバイザーやプランナーに相談すると、適切なアドバイスが受けられます。ただし、幅広い知識はあるものの、専門分野に関する高度な知識があるとは限りません。実務を依頼する場合には、ほかの専門家に依頼を行うことも検討しましょう。

3.公認会計士・税理士

公認会計士や税理士は、税務や会計に関する専門家です。経営への知識を有し、経営コンサルティングを行っている場合もあります。

M&Aの場面では、税務デューデリジェンスの分野で活躍します。

4.弁護士

法律に関する内容は、弁護士に相談しましょう。事業承継を行う場面でも、トラブル解決や適法性などの実務を担当します。

また、デューデリジェンスでは法務に関する分野も調査します。契約書作成の場面でも、法律的に問題がないか確認してもらえるでしょう。

5.司法書士

司法書士も法律に関する知識を持つ専門家です。

M&Aの場面では、登記を依頼するケースが多くなるでしょう。

事業承継であれば、不動産の名義変更や、会社の合併・解散に関する登記を依頼できます。

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M&A仲介会社が行う実務2:バリュエーション  

企業価値の算出を行う「バリュエーション」もM&A仲介会社が行う重要な実務です。バリュエーション実施にあたり、次のような内容を知っておきましょう。

  1. バリュエーションの目的
  2. バリュエーションの方法
  3. バリュエーションのコツ
  4. バリュエーションを依頼できる専門家

それぞれの内容に関して解説します。

1.バリュエーションの目的

バリュエーションとは、企業価値の算定を行うことです。企業には明確な価値が付いておらず、買い手と売り手は交渉して価格を決めなければなりません。しかし、買い手は安く、売り手は高く交渉したいと考えるため、なかなか価格交渉が進まないでしょう。

客観的な価値を算出するために行うのが、バリュエーションです。会計や税務などの観点から調査し、適切な企業価値を算出します。適切な企業価値が算出できれば、交渉が進みやすくなるため、バリュエーションを実施します。

2.バリュエーションの方法

バリュエーションを行う方法には、次の3つがあります。

  1. マーケットアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. コストアプローチ

実務では、この3つを組み合わせて企業価値の算出を行います。ここでは、それぞれの方法に関して解説します。

1.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、株式市場の時価を基準に評価を行う方法です。売り手が上場企業の場合は、企業の株価を基準に算出を行います。非上場企業の場合は、業種が似ている上場企業の株価を基準に算出する方法です。

マーケットアプローチの特徴は、株式市場の時価を使うことから、客観的に評価できる点です。ただし、市場が一時的に異常な動きをする場合もあるため、一時的な要因は排除しておきましょう。一定期間の平均値を利用すると、評価が行いやすくなります。

また、マーケットアプローチには、次のような評価方法があります。

  • 類似会社比較法:似ている上場企業の株価をもとに算定する方法
  • 類似取引比較法:過去の似ているM&Aの取引価格をもとに算定する方法
  • 市場株価平均法:上場企業の一定期間の平均株価を使って算定する方法

実務では、類似会社比較法、または市場株価平均法がよく使われます。

2.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、売り手企業の収益力を基準に評価を行う方法です。インカムアプローチには、次のような方法があります。

  • DCF法:将来のキャッシュフローを現在価値に割り引き算定する方法
  • 配当割引モデル:将来に予想される配当を資本に還元して算定する方法

実務でよく使われる方法が、DCF法です。DCF法は、売り手の将来期待されるキャッシュフローから一定の割引率を現在価値に割り引くことで株価を算出します。

DCF法のメリットは、キャッシュフローを利用するため、変動要素の影響や複数のシナリオでシミュレーションが行える点です。しかし、主観的な要素が入りやすい点には注意しましょう。

3.コストアプローチ

コストアプローチとは、純資産を基準に評価を行う方法です。賃借対照表の資産や負債から評価を行い、企業価値を算定します。

コストアプローチでは、次のような方法を活用します。

  • 時価純資産法:企業が持つ資産の時価総額から負債の時価総額を差し引いて算出する方法
  • 簿価純資産法:貸借対照表上の純資産にもとづいて1株あたりの純資産を算出する方法

実務上では、時価純資産法がよく活用されています。

3.バリュエーションのコツ

バリュエーションを行う際は、使用する方法ごとに企業価値が変わる点に留意しましょう。たとえば、マーケットアプローチとインカムアプローチの2つで企業価値の算定を行っても、結果が一致するとは限りません。

たとえば、マーケットアプローチは市場を反映しているため、実際の企業価値と離れてしまう場合があります。また、インカムアプローチは主観が入りやすく、主観によって結果が変わってしまうこともあります。

バリュエーションで大切なことは、適正だと思う価値を算出し、具体的な根拠を提示できることです。価値が算出できた理由や、方法ごとに結果が違う理由を説明できれば、正しい算定ができているでしょう。適正価格は交渉相手との間で決まることからも、算出にあたって具体的な根拠が重要になります。

4.バリュエーションを依頼できる専門家

バリュエーションを依頼できる専門家は次のとおりです。

  1. M&A仲介会社
  2. 公認会計士
  3. 証券会社

M&A仲介会社は、社内にバリュエーションのチームを設けて対応している場合があります。また、公認会計士に関しては、企業価値算定だけではなく事業評価も依頼しやすいため覚えておきましょう。証券会社が主幹事の場合には、証券会社がメインで行うケースもあります。

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M&A仲介会社が行う実務3:基本合意書の締結 

交渉をすすめるために、基本合意書の締結を行います。基本合意書の締結もM&A仲介会社のサポートが欠かせません。ここでは、基本合意書の作成理由や作成を依頼できる専門家などを解説します。

1.基本合意書を作成する理由

基本合意書を作成する理由は、交渉内容や条件の確認を行うためです。本格的な実務を行う前に、当事者間で合意した事項に関して記載しましょう。

また、基本合意書の作成理由には、独占交渉権の付与があります。独占交渉権の付与により、買い手候補が1つに絞られ、売り手はほかの企業と交渉できなくなります。

売り手は買い手に誠意を示し、買い手は交渉を補償されるためにも、基本合意書の作成が重要です。

2.基本合意書の記載項目

基本合意書には、次のような項目を記載します。

  1. M&Aのスキーム
  2. M&Aの対象範囲
  3. 譲渡価格
  4. スケジュール
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 役員の処遇
  7. 保証債務の解消
  8. 独占交渉権の付与
  9. 秘密保持義務
  10. 一般条項

それぞれの項目に関して解説します。

1.M&Aのスキーム

使用するM&Aのスキームを定めておきましょう。たとえば、次のようなM&Aスキームがあります。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 合併
  • 会社分割

M&Aスキームは、デューデリジェンス次第で変更になる場合もあります。そのため、協議すれば変更できるようにしておくと良いでしょう。

2.M&Aの対象範囲

M&Aで譲渡する範囲を決めておきましょう。企業全体を譲渡する場合もあれば、一部事業のみを譲渡する場合もあるからです。合意した対象範囲を記載してください。

3.譲渡価格

基本合意の時点で算出している譲渡価格と、価格の根拠に関して定めておきましょう。最終契約でも基本合意書に記載した価格が基準になりやすいため、できるだけ金額は特定しておきます。

ただし、デューデリジェンスの結果次第では、譲渡価格も変更されます。価格変更が可能な旨を記載しておきましょう。

4.スケジュール

手続きに関する大体のスケジュールを定めておきましょう。あくまでも希望であり、法的拘束力を持たせないケースがほとんどです。

ただし、決算や連結処理に合わせたいと考える場合もあります。その場合には説明を行い、スケジュールどおりにすすめられるように動くと良いでしょう。

5.デューデリジェンスの実施

買い手は売り手の情報を把握したり、リスクを発見するためのデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスは専門家を雇い、多くの時間と費用を掛けます。デューデリジェンスに売り手が協力するように定めておきましょう。

6.役員の処遇

事業承継を行うケースでは、売り手の役員が早期引退を希望している場合もあります。役員の処遇に関しても定めておきましょう。留任するか、辞任するか、辞任の場合には退職慰労金をどのように扱うかも定めておかなければなりません。

7.保証債務の解消

中小企業のM&Aでは、保証債務の解消が重要な条件に挙げられます。保証債務の有無を確認したのちに、解消に関しても相談しておきましょう。

8.独占交渉権の付与

独占交渉権の付与により、売り手はほかの買い手候補と交渉ができなくなります。ただし、売り手は条件が良い企業が現れれば、ほかの候補と交渉したいとも考えます。

売り手を長期間拘束しないためにも、期間を定めておきましょう。2ヶ月から6ヶ月程度で定められるケースが一般的です。

9.秘密保持義務

M&Aを行うために入手した情報に関しては、M&A以外に利用したり、第三者に開示したりする行為を禁止しておきます。契約終了後に関しても、一定期間は秘密保持義務が発生すると規定しておくことも必要です。

10.一般条項

一般条項とは、契約書の最後に書かれる定型的な内容です。M&Aの場合では、デューデリジェンスやファイナンシャルアドバイザーを利用した報酬の費用分担や、紛争が起きた場合の専属的管轄裁判所に関して合意する規定などを定めておきましょう。

3.基本合意書作成を依頼できる専門家

基本合意書作成を依頼できる専門家は、弁護士です。独占交渉権のように法的拘束力が必要となる範囲もあるため、法律の専門家である弁護士が欠かせません。

M&A仲介会社も、基本合意書で問題になりやすいポイントや、交渉に関するサポートが実施できます。弁護士やM&A仲介会社に相談しながら、基本合意書を作成しましょう。

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M&A仲介会社が行う実務4:デューデリジェンス 

最終契約締結に向けて、デューデリジェンスで売り手企業の調査を行います。実施に向けて、次のような内容を把握しておきましょう。

  1. デューデリジェンスの目的
  2. デューデリジェンスで調べる範囲
  3. デューデリジェンスで発見されたリスクへの対応
  4. デューデリジェンスで発生しやすい課題
  5. デューデリジェンスを依頼できる専門家

それぞれの内容に関して、解説します。

1.デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスの目的は、売り手の経営状況や財務状況を買い手に共有するために行います。情報共有が行われない場合、売り手が買い手にとって不利益な情報を隠したまま交渉を進める可能性があるからです。買い手は売り手の情報や予想されるリスクが明らかにならなければ、M&Aの実行を決めることはできません。

売り手と買い手が対等な立場で交渉できるように、情報共有を行うのがデューデリジェンスです。

2.デューデリジェンスで調べる範囲

M&Aで実施されるデューデリジェンスには、次のような種類があります。

  • 財務デューデリジェンス
  • 法務デューデリジェンス
  • 労務デューデリジェンス
  • ビジネスデューデリジェンス

これらの4つに関しては、必須とされているため覚えておきましょう。

それぞれのデューデリジェンスで調べる内容を簡単にまとめたため、参考にしてください。

種類調査範囲
財務帳簿上の資産の有無・簿外債務の有無
法務経営が法令に反していないか・締結している契約がM&Aを阻害しないか
労務就業規則・賃金・退職金・残業代・有給休暇・稟議ルールなどの確認
ビジネス営業方針・集金方法・在庫管理方法

これらのデューデリジェンス以外にも、次のようなデューデリジェンスを行う場合があります。

  • ITデューデリジェンス
  • 人事デューデリジェンス
  • 環境デューデリジェンス
  • 不動産デューデリジェンス
  • 知的財産デューデリジェンス
  • 顧客デューデリジェンス
  • 技術デューデリジェンス
  • 人権デューデリジェンス

対象となる企業や事業に合わせて、必要な範囲を調査しましょう。

3.デューデリジェンスで発見されたリスクへの対応

デューデリジェンスを行うと、さまざまなリスクが発見されます。発見されたリスクに対しては、次のような方法を取ることができます。

  1. リスクを受け入れる
  2. 買収価格を減らして調整する
  3. 企業譲渡から事業譲渡にするなど、M&Aスキームを変更する
  4. クロージング実行までに、リスクの解消を要求する
  5. リスクが発現した場合、売り手にそのコストを負担させる
  6. 表明保証保険を利用する
  7. リスクが解消されない場合は買収を断念する

発見されたリスクを、そのまま放置するわけにはいきません。リスクの内容や発生の可能性、事業への影響などを加味して、対応を決めましょう。

4.デューデリジェンスで発生しやすい課題

デューデリジェンスで発生しやすい課題も考慮しましょう。

まず、デューデリジェンスの実施は売り手の従業員に負担が掛かります。買い手に提示する資料やプレゼンテーションの準備、質問への対応などを通常業務と並行して行う必要があるからです。

また、中小企業の場合、求められた資料が十分に用意できない場合もあります。法的に必要な書類が準備できなければトラブルになり、最悪の場合にはM&Aの破談にもつながります。

課題を防ぐために、M&Aを検討した段階で、書類を準備しておくなど対応しておきましょう。

5.デューデリジェンスを依頼できる専門家

デューデリジェンスを依頼できる専門家は、依頼する範囲によって異なります。法務は弁護士に、税務は税理士のように、分野に応じた専門家に依頼してください。

また、デューデリジェンスは買い手主導で行います。基本的には、買い手が専門家に依頼するため覚えておきましょう。労務やビジネスデューデリジェンスに関しては、買い手の従業員が担当する場合が一般的になります。

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M&A仲介会社が行う実務5:最終契約の締結  

M&Aの最後には、最終契約を締結します。記載項目や相談できる専門家に関して知っておきましょう。

最終契約書の記載項目

最終契約書では、次のような項目を記載します。

  • 定義
  • 取引対象と価格
  • クロージングの前提条件
  • 表明保証
  • 誓約事項
  • 補償
  • 解除

最終契約書は、基本合意書を基準に作成します。デューデリジェンスで明らかになった内容や、その後の交渉も踏まえて最終的な条件を決定しましょう。

最終契約を支援する専門家

最終契約を支援する専門家は、M&A仲介会社やアドバイザーです。契約内容を漏れなく確認するためには、M&Aを最初からサポートしている仲介会社などの協力が欠かせません。

ただし、最終契約書の作成に関しては法律も関係するため、弁護士にも相談しましょう。

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M&Aの実務で使用する契約書と書類  

M&Aの実務では、次のような契約書や書類が必要になります。

  1. 企業資料
  2. 財務関係
  3. 営業・製造関係
  4. 人事労務関係
  5. 契約関係
  6. 許認可関係

それぞれの書類に関して説明するため、参考にしてください。

1.企業資料

企業の概要を説明する資料を用意しておきましょう。

  • 会社案内・工場案内
  • 会社経歴書
  • 定款
  • 会社商業登記簿謄本
  • 株主名簿
  • 株主総会、取締役会などの議事録

これらのような書類を実務では使用します。

2.財務関係

財務関係の書類は、確定申告で必要になることが多い書類です。

  • 事業計画
  • 決算書・勘定科目の内訳明細・期末残高試算表(3期分)
  • 法人税・住民税・消費税・事業税の申告書(3期分)
  • 減価償却資産台帳(直近の期末分)
  • 月次試算表(直近期1年分と進行期分)
  • 支払保険料内訳・租税公課内訳(3期分)
  • 固定資産課税明細書(最新)
  • 土地・建物の登記簿謄本(最新)

用意する際は、顧問税理士に相談すると良いでしょう。

3.営業・製造関係

自社の営業や製造に関する資料も求められます。次のような書類を用意しましょう。

  • 製品やサービスのカタログ
  • 店舗・事業所に関する所在地や人員数などの状況
  • 部門別・商品別・取引先別の採算管理資料(3期分)
  • 部門別・商品別・取引先別の売上内訳(3期分)
  • 部門別・商品別・取引先別の仕入内訳(3期分)

通常では公開しない書類が求められる場合もあります。

4.人事労務関係

人事労務関係で必要になる書類は、次のような書類です。

  • 組織別人員数が分かる組織図
  • 主要役員や部門長の経歴書
  • 生年月日・入社年月日・役職や取得資格などが分かる従業員名簿
  • 就業規則・給与・資金規程・退職金などの社内規程
  • 給与台帳(直近期末分)

中小企業では、人事労務に関する書類が管理されていない場合もあります。M&Aで必要になるため、素早く用意しておきましょう。

5.契約関係

契約関係の書類には、次のような書類があります。

  • 土地や建物の賃貸借契約書
  • 銀行借入金残高一覧
  • 保険積立金の解約返戻金資料(直近期末時点)
  • 金融商品・デリバティブの最新時価資料
  • 取引基本契約書
  • 生産・販売委託契約書
  • リース契約一覧
  • 連帯保証人明細表
  • 株主間協定書

契約の事実があるものに関しては、準備しておきましょう。

6.許認可関係

譲渡内容に許認可が含まれる場合は、書類を用意しておきましょう。事業活動に必要な免許・許認可・登録・届出の書類を用意します。

許認可を引き継げない場合でも、自社が活動している根拠になるため、用意が必要です。

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M&Aの実務を学べる書籍7選

M&Aを確実に進めるためには、知識やノウハウを持った専門家への依頼がおすすめです。ただし、専門家や業者を見極めたり、正しく実務が進んでいるかを確認したりするのにも、M&Aの知識が欠かせません。

M&Aに携わる場合に必要な知識を蓄えるには、実務を学べる書籍を活用するのも手です。今回は、次の7つの書籍をご紹介します。

  1. トップM&Aアドバイザーが初めて明かす 中小企業M&A 34の真実
  2. 最新版 M&A実務のすべて
  3. M&Aの契約実務・第2版
  4. M&A実務の基礎・第2版
  5. 中小企業M&A実務必携 法務編 第2版
  6. 公認会計士と弁護士が教える「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所
  7. Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書

トップM&Aアドバイザーが初めて明かす 中小企業M&A 34の真実

最初にご紹介するのは、藤井一郎著・東洋経済新報社出版の『トップM&Aアドバイザーが初めて明かす 中小企業M&A 34の真実』です。この書籍では、M&Aの売り手と買い手、そして仲介会社のそれぞれの立場から、M&Aの事実を解説しています。

大企業M&Aと中小企業M&Aの違いや、M&Aの実施による雇用中の従業員への影響、オーナーたちが企業を手放すに至った理由など、さまざまな観点からM&Aの実情を知ることができます。論理的でわかりやすい解説が特徴で、M&A関連書籍のなかでも読みやすいうえに、どのような心構えでM&Aを進めるべきかを学べる1冊です。

参照元:東洋経済STORE「トップM&Aアドバイザーが初めて明かす 中小企業M&A 34の真実

最新版 M&A実務のすべて

北地達明他著・日本実業出版社の『最新版 M&A実務のすべて』では、合併・事業譲渡・株式公開買付・株式交換を始めとする、さまざまなM&Aのスキームが丁寧に解説されています。同書籍では、M&Aを実際に進める際に欠かせない、コーポレート・ガバナンスやデューデリジェンスの知識、企業価値評価の方法など、具体的な実務のプロセスをバランスよく学べるのが特徴です。

さらに、見逃しがちな連結会計・税制適格要件・組織再編税制などの財務会計関連の知識も補完できるため、M&Aを確実に進める知識を得たいと考えている場合に適しているでしょう。

参照元:日本実業出版社『最新版 M&A実務のすべて』

M&Aの契約実務・第2版

藤原総一郎編著・中央経済社出版の『M&Aの契約実務・第2版』は、M&Aの実務を学ぶのに特化した弁護士の共著です。M&Aをスムーズに進めるためには、手続きで必要な各種書類や契約の内容を理解している必要があります。

同書籍では、M&Aで結ばれる最終契約の概要や契約条項の法的性質・条項の相互関係・意図などがわかりやすく解説されています。弁護士ならではの視点で、M&Aの実務で注目すべき点がまとめられているのが特徴です。

参照元:中央経済社出版『M&Aの契約実務・第2版』

M&A実務の基礎・第2版

柴田義人他著・商事法務出版の『M&A実務の基礎・第2版』は、一通り読むことで、M&Aの実務全体を網羅できるような構成になっています。M&Aの実務を網羅するためには、基本的な契約条項のみならず、労働法や知的財産法、金融商品取引法、独占禁止法などの関連法令にまつわる知識も必須です。

M&Aの実務を学びたいと考えている人のなかでも、実際のM&Aを控えた企業の法務担当者や経営者が知っておきたい検討ポイントが、実際の流れに沿ってまとめられています。

参照元:商事法務出版『M&A実務の基礎・第2版』

中小企業M&A実務必携 法務編 第2版

梅田亜由美著・株式会社日本M&Aセンター出版の『中小企業M&A実務必携 法務編 第2版』では、中小企業M&Aのなかでもとくに採用頻度の高いスキームである「株式譲渡」に特化して学べます。M&Aの初心者も理解しやすいように、基本的な知識から丁寧に解説されているのが特徴です。

2020年4月施行の民法改正にも対応しているため、M&Aにまつわる比較的新しい情報が必要となるケースでも活用できるでしょう。

参照元:公式ページなし

公認会計士と弁護士が教える「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所

木村直人他著・日本法令出版の『公認会計士と弁護士が教える「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所』は、M&Aを専門家に依頼する企業の社員や経営者として、押さえておきたい知識がまとめられた書籍です。M&Aを確実に進めていくためには、さまざまな知識やノウハウを駆使する必要があり、経験豊富な専門家に依頼をするケースも多いでしょう。

大切な自社のM&Aを任せるためには、自身がM&A実務の知識をつけておくことが重要です。同書籍では、とくに専門家の起用が欠かせないデューデリジェンスの工程に重きを置いて解説しています。

参照元:日本法令出版『公認会計士と弁護士が教える「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所』

Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書

篠田康人著・総合法令出版の『Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書』は、その名のとおり最低限知っておきたい30項目を質問形式で解説する書籍です。具体的な体験談を中心にまとめられているため、わかりやすく読み進めやすい構成になっています。

近年は中小企業のM&Aが増加するなど、ビジネスにおいてM&Aが身近に感じられる機会も増えているでしょう。同書籍では、売り手と買い手両方の立場で、M&Aに携わる場合に知っておくべき内容が効率的に学べます。

参照元:総合法令出版『Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書』

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まとめ

中小企業においてもM&Aの実施が増加しており、企業の将来を検討するうえで、M&Aの選択を迫られる場面も出てくるでしょう。M&Aを実施する際には、各実務のプロセスの概要や目的をしっかりと理解しておくことが重要です。

とくに、M&Aを仲介会社などの専門家に任せる場合、どのような形でM&Aが進んでいるかを、依頼者の立場からも把握しておくことが欠かせません。自身でもM&A実務の知識を蓄えておけば、どのような仲介会社を選ぶべきか、よい流れでM&Aが進められているのかなどを知ることができるでしょう。

ご紹介したM&Aの実務を学べる書籍も参考にしながら、自分に合う書籍を探してみてください。M&Aの実務にまつわる知識をつけたうえで、自社をサポートしてくれるM&A仲介会社を探すようにしましょう。

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