WebメディアのM&Aとは?売却方法やメリット、成功するポイントを解説

2023年12月7日

WebメディアのM&Aとは?売却方法やメリット、成功するポイントを解説

このページのまとめ

  • WebメディアのM&Aでは、メディアあるいは事業単位で売却・買収する
  • WebメディアのM&Aは比較的ハードルが低く、小規模な案件も多い
  • WebメディアのM&Aでは、仲介会社やマッチングサービスを利用するのがおすすめ
  • Webメディアとしての価値を高め、M&Aのタイミングを見計らうことが大切

WebメディアをM&Aで売却することには、収益力の低いWebメディア事業の切り離しの実現や売却益の獲得などのメリットがあります。

本コラムでは、Webメディアの売却を検討している方に向けて、M&Aの基本や成功のポイント、事例などを紹介します。M&Aに成功するWebメディアの特徴も解説しているため、高く売却するための参考にしてください。

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WebメディアのM&Aとは

WebメディアのM&Aとは、Webメディアを売却・買収することを指します。1つのWebメディアを企業あるいは個人に売却することもあれば、Webメディア事業を一体としてほかの会社に売却するパターンもあります。

M&Aといえば、かつては大企業間の取引が主流でした。しかし、近年では企業だけでなく個人がWebメディアを運営することも多く、個人のWebメディアがM&Aで買収・売却されることもみられるようになりました。Webメディア専門のM&Aマッチングサービスも登場しており、WebメディアのM&Aは身近なものになっていることが特徴です。

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Webメディアの種類

一口にWebメディアといっても、以下のように多くの種類があります。

  • 1次メディア
  • 2次メディア
  • コンシューマージェネレーテッドメディア(CGM)
  • オウンドメディア
  • バイラルメディア

メディアの種類によって、適切な買い手や売却額相場などは異なります。WebメディアのM&Aを検討しているのであれば、まずは自社が運営しているメディアがどれに該当するかを理解しておきましょう。

以下では、それぞれの種類について解説します。

1次メディア

1次メディアは、情報の発信源であり、オリジナルの記事を配信しているWebメディアのことです。ライターに記事を執筆してもらっている場合や、海外のニュース記事を翻訳してアップしている場合などは、1次メディアに分類されます。

2次メディア2次メディアは、1次メディアの記事を解説・整理し、配信しているWebメディアです。オリジナルの記事を作成することはありません。ポータルサイトやキュレーションサイトなどが挙げられます。

コンシューマージェネレーテッドメディア(CGM)

コンシューマージェネレーテッドメディア(CGM)は、Webメディアの運営者だけでなく、利用者が作るWebメディアです。口コミサイトや掲示板、読者の体験談を掲載しているメディアなどが挙げられます。

オウンドメディアオウンドメディアは、企業が自社で保有・運用しているWebメディアです。旅行会社であれば観光地やホテルの紹介、人材系の企業であれば就活に関する記事、というように、自社の商品やサービスにまつわる情報を発信します。採用活動に役立てるため、自社の魅力を発信しているケースもあります。

バイラルメディア

バイラルメディアは、話題性のあるコンテンツで注目を集め、短期的に大きなアクセスを得ることを目的としているWebメディアです。バイラルは、インターネット上のコンテンツが拡散されることを意味するスラングです。バイラルメディアは、いわゆる「バズる」コンテンツを掲載しています。

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WebメディアのM&Aにおける譲渡対象

Webメディアを単体で売却することは、事業譲渡に該当します。事業譲渡では、何を譲渡対象とするかが案件によって大きく異なり、売り手と買い手の協議のもと、最終契約書で定められるのがポイントです。

ここでは、WebメディアのM&Aで譲渡対象となるものの例を紹介します。

ドメイン・サーバードメイン・サーバーの使用権利
ドメイン・サーバー管理業者との契約
Webメディアのコンテンツ記事やデザインなどの使用権・財産権
ユーザーユーザーの情報
会員の契約情報・権利義務
そのほか広告主との契約
ライターやデザイナーなどとの業務委託契約
従業員との雇用契約
ノウハウ など

売り手と買い手間で齟齬が生まれないよう、交渉を進める際は、譲渡対象について明確化しましょう。

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WebメディアのM&Aを巡る動向・特徴

WebメディアのM&Aを成功させるためには、動向やWebメディアならではの特徴を理解することが大切です。

ここでは、WebメディアのM&Aを巡る動向・特徴を4つ解説します。

  • WebメディアのM&A取引件数は増加している
  • 売却・買収額に差が出やすい
  • WebメディアのM&Aを扱う仲介会社が増えている
  • 小規模な案件も多い

順番に見ていきましょう。

WebメディアのM&A取引件数は増加している

WebメディアのM&A取引件数は増加しています。背景としては、Webメディアの数自体が増加していることが挙げられます。少々古いデータではありますが、株式会社内外切抜通信社の調査では、ニュースサイトの調査媒体数は、2009年から2018年までに2.7倍に増加していることがわかりました。

さらに、クロスフィニティ株式会社が2016年に発表したデータでは、2014年に356.3億円だった国内のSEO市場は、2018年には500.9億円になると予想されています。古いデータかつ予測値ではありますが、2023年現在、SEO市場はさらに拡大していると考えられるでしょう。

コンテンツマーケティングの重要性が高まっている中、多くの企業がオウンドメディアを運営しており、個人でサイトを運営するケースも増えています。

さらに、後述のようにWebメディアのM&Aを扱う会社やサービスも登場していることも、取引件数が増加している要因の1つです。

参照元:
Digital PR Platform「【メディアの変遷を数字で読み解く】10年間でニュースサイト数は2.7倍増 新聞部数19.8%減、雑誌部数32.6%減」
PR TIMES「クロスフィニティ、「2016年度版国内SEO市場予測 (2014-2018)」を発表」

売却・買収額に差が出やすい

WebメディアのM&Aでは、売却・買収価額に差が出やすいという特徴があります。

Webメディアは無形資産であり、PV数やユーザー数、収益性、トレンドなど、価値を評価する指標がさまざまです。売上や利益などのわかりやすい指標のみで価値が決まるわけではありません。このため、シナジーを発揮できる相手が見つかれば、売却額が跳ね上がることもあります。

WebメディアのM&Aを扱う仲介会社が増えている

WebメディアのM&Aが活発化したことにより、近年では、WebメディアのM&Aを扱う仲介会社が増えているのもポイントです。中には、WebメディアのM&Aに特化した仲介会社も存在します。

さらに、Webメディア専門のマッチングサービスも登場しています。登録すれば、オンライン上で簡単にM&Aを進められるのが魅力です。

このように、WebメディアのM&Aをサポートする会社やサービスが増えており、M&Aを行うハードルは下がっているといえるでしょう。

小規模な案件も多い

WebメディアのM&Aの売却・買収相場は、案件によって大きく異なり、小規模な案件も多いのが特徴です。

M&Aというと、潤沢な資金がなければできないもの、というイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、WebメディアのM&Aでは、数万円〜数十万円程度で売買される案件も存在します。

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WebメディアをM&Aで売却するメリット

自社が運営しているWebメディアをM&Aで売却するメリットは、以下のとおりです。

  • 主力事業に注力しやすくなる
  • 売却・譲渡益を享受できる
  • 買い手の力でWebメディアをさらに成長させられる

以下では、それぞれのメリットについて解説します。

主力事業に注力しやすくなる

Webメディアを売却することにより、主力事業に注力しやすくなるのはメリットです。

Webメディアを運営するためには、コンスタントに記事をアップする、定期的にリライトを行うなど、一定の労力や費用がかかります。複数のWebメディアを運営していたり、ほかの事業も幅広く手がけていたりする企業にとって、収益性が低く採算が取れないWebメディアは、利益を阻害する大きな要因です。

収益性の低いWebメディアを売却し、浮いたリソースを使って主力事業に注力することは、有効な経営戦略の1つといえます。

売却・譲渡益を享受できる

M&AでWebサイトを売却すれば、売却・譲渡益を享受できるのもメリットです。

Webメディアの収益性や買い手との相性次第では、数百万円以上のキャッシュを獲得できる場合もあるでしょう。売却・譲渡益を活用して新たな事業を展開したり、既存事業を強化させたりすることが可能です。

買い手の力でWebメディアをさらに成長させられる

Webメディア運営のノウハウや資金力を持った買い手に売却できれば、Webメディアをさらに成長させられるのも魅力です。より質の高いコンテンツを配信できる、Webメディアの宣伝やSEOを強化できる、などの効果が考えられます。

自身が伸ばしてきたWebメディアがさらに成長する様子を見られるのは、Webメディアを売却するメリットの1つといえるでしょう。

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Webメディアの売却額相場

Webメディアの売却額は、月の営業利益(売上から運用コストを引いた額)を基準に、営業利益×6〜36カ月で算出されることが多いです。何カ月分を掛けるかはサイトの種類や収益性などによって異なります。

自社のWebメディアがいくらで売却できそうかを知りたい方は、専門家に査定してもらいましょう。簡易的な査定であれば、無料で対応している仲介会社やマッチングサービスも多くあります。

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WebメディアをM&Aで売却する方法

WebメディアをM&Aで売却する方法は、主に以下の2つです。

  • M&A仲介会社に相談する
  • M&Aマッチングサービスに登録する

それぞれについて解説します。

M&A仲介会社に相談する

M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、M&Aの成約をサポートする専門家です。

M&A仲介会社は、買い手探しや売却額の算出、どこまでを譲渡するかの決定や契約関連業務など、M&Aに関する一連の業務をサポートしてくれます。

豊富なサポート実績や専門知識、M&Aを成功させるノウハウを有している仲介会社であれば、安心して依頼できるでしょう。プロのサポートを受けながらM&Aを進めたい方には、M&A仲介会社に相談するのがおすすめです。

M&Aマッチングサービスに登録する

M&Aマッチングサービスに登録するという方法もあります。

M&Aマッチングサービスとは、インターネット上でM&Aの相手を探せるサービスのことです。案件情報を登録することにより、興味を持った買い手とマッチングできます。

プラットフォームとしてマッチングの場を提供するだけのサービスもあれば、アドバイザーが相手を紹介し、マッチングをサポートしてくれるサービスもあります。ニーズに合うサービスを選ぶことが大切です。

さらに、Webメディアに特化したマッチングサービスも存在します。Webメディアの買収を検討しているユーザーが集まるため、ニーズが合致する買い手と巡り合いやすいでしょう。

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WebメディアをM&Aで売却する流れ

WebメディアをM&Aで売却する流れは以下のとおりです。

  1. 仲介会社に相談する/マッチングサービスに登録する
  2. 秘密保持契約や仲介契約を締結する
  3. 買い手候補と交渉を開始する
  4. 基本合意書を締結する
  5. デューデリジェンスを受ける
  6. 最終契約を締結する
  7. 譲渡対価を獲得する/手数料を支払う
  8. ドメインを移管する

基本的な流れは、一般的なM&Aと大差ありません。

まずは、仲介会社に相談したり、マッチングサービスに登録したりしましょう。仲介会社を利用する場合は、仲介会社と秘密保持契約を締結した後、自社のWebメディアに関する詳しい情報を提供します。その情報をもとに、仲介会社はWebメディアの概要や魅力をまとめた資料を作成してくれることが多いです。

マッチングサービスを利用する場合は、サイトからの審査に通った後、案件の掲載が始まります。秘密保持契約は、交渉相手と締結することが多いです。

買い手候補が現れたら、交渉が始まります。仲介会社を利用する場合は、仲介会社が面談をセッティングしてくれます。

交渉が進んだら、基本合意書を締結します。基本合意書とは、M&Aの条件や想定価格など、基本的な内容について、双方が合意した段階で締結するものです。本契約ではないため、一部の条項を除いて、法的拘束力は持ちません。しかし、秘密保持義務や独占交渉権、デューデリジェンスに関する条項などには、法的拘束力を持たせるケースが多いです。

本契約前の最終確認として、デューデリジェンス(買収監査)が行われます。Webメディアのデューデリジェンスでは、以下のようなポイントがチェックされます。

  • アクセス数やPV数といったアナリティクスデータが正確であるか
  • SEOの手法は正当か(不正な方法で検索順位を上げていないか)
  • セキュリティに問題はないか

特に、アナリティクスのデータが申告通りであるかはよくチェックされるため、データを共有できるよう準備しておきましょう。

デューデリジェンスの結果問題がないと判断されれば、最終契約を締結し、譲渡対価を獲得して成約します。仲介会社やマッチングサービスへの成功報酬の支払いも必要です。

最後に、ドメインを移管し、WebメディアのM&Aが完了します。

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M&Aに成功しやすいWebメディアの特徴

M&Aに成功するためには、買い手にとって需要のある、魅力的なWebメディアにする必要があります。

ここでは、M&Aに成功しやすいWebメディアの4つの特徴を解説します。

  • PV数が多い
  • 検索ボリュームの大きいKWでSEOに成功している
  • SNSと連携している
  • UI・UXに優れている

Webメディアを高く売却したい場合は、当てはまっているか参考にしてください。

PV数が多い

PV数が多いWebメディアは、M&Aの交渉において有利に働きます。

PV数とはページビュー数のことで、何人がWebメディアを閲覧しているのかを表す指標です。PV数が多いメディアは、その分多くの人に見てもらえるため、強力な広告宣伝の手法として活用できます。

PV数は、Webメディアの価値を客観的に示せる重要な指標です。高く売却するためには、PV数を増やす努力が欠かせません。

メディアのPV数を増やすためには、以下のような施策に取り組みましょう。

  • ページごとに検索キーワードを設定し、SEO対策に取り組む
  • ユーザーのニーズを満たせる質の高いコンテンツを提供する
  • こまめに更新し、ユーザーに信頼してもらう
  • オリジナリティのあるコンテンツを提供する
  • 定期的にリライトを行い、情報の正確性や新鮮さを確保する

多くの人にとって見やすく、参考になるWebメディア作りを心がけてみましょう。

検索ボリュームの大きいキーワードでSEOに成功している

検索ボリュームの大きいキーワードでSEOに成功しているメディアは、多くのユーザーの流入が期待できるため、需要が高い傾向にあります。

SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれます。検索エンジン最適化とは、検索エンジンに評価されるような良質なコンテンツを作成し、記事が検索結果の上位に表示されるようにすることを指します。

SEOに成功しているということは、KWを検索したユーザーに見てもらいやすい、ということです。また、ニーズが明確なキーワードでSEOに成功していることも重要です。たとえば「ワイン」というキーワードよりも「ワイン プレゼント おすすめ」のようなキーワードの方が、ユーザーのニーズははっきりしています。そのようなKWを検索した際に上位に表示されれば、よりターゲットにWebメディアを見てもらえ、購買など次の行動にもつながりやすいでしょう。

ただし、いくらSEOに成功していても、その方法が不正であってはなりません。

SEOの手法は、大きく以下の2つに分けられます。

  • ホワイトハット:ユーザーファーストなサイト構造やコンテンツで検索順位を上げること
  • ブラックハット:アルゴリズムの裏をかいて、不正に検索順位を上げること

また、ホワイトハットとブラックハットの中間である、グレーな手法を使っているサイトも少なくありません。

ブラックハットやグレーな手法で順位を上げているサイトは、将来的にペナルティを受ける可能性があるため、買い手から敬遠されやすいです。

ホワイトハットのSEOを行っている、適切なサイト作りを徹底しましょう。

SNSと連携している

WebメディアがSNSと連携している場合は、SNSからの流入が見込まれるため、高く評価されやすいです。

たとえば、フォロワー数が多いTwitterのアカウントと連携させ、SNSに記事のリンクを貼って投稿すれば、SNSからWebメディアに誘導できます。

日頃からSNSと連携させ、SNSのフォロワーも増やしておきましょう。

SNSには、以下のようにそれぞれ特徴があります。

  • Twitter:拡散力に優れている
  • Instagram:ビジュアルで訴求できる
  • Facebook:ターゲットを選定しやすく、企業の広報やプレスリリースなど、フォーマルな情報発信にも活用されている
  • YouTube:動画を活用して訴求でき、ユーザーのファン化もしやすい
  • TikTok;若い世代に情報を届けられる

メディアの特性やターゲットの属性、目的などに応じて、適切なSNSを選ぶことが大切です。

UI・UXに優れている

UI・UXに優れているサイトは、ユーザーが離脱しにくく、コンバージョンにもつながりやすいため需要が高いです。

WebメディアにおけるUI(User Interface)とは、サイトデザインや表示速度、フォントなどサイトの読みやすさや使い勝手の良さにつながる要素を指します。また、UX(User Experience)は、記事の読みやすさやフォームの入力のしやすさなど、ユーザーがWebメディアを利用して得られる体験のことです。

UI・UXに配慮したWebメディアは、SEOにも良い影響を与えるため、買い手にとっては魅力的なメディアといえます。

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WebメディアのM&Aを成功させるポイント

M&Aの交渉を進めるうえで心がけたいポイントは以下の2つです。

  1. Webメディアのデータを積極的に開示する
  2. 自社メディアならではの強みをアピールする

以下では、それぞれのポイントについて解説します。

Webメディアのデータを積極的に開示する

買い手に選んでもらうためには、Webメディアのデータを積極的に開示することが大切です。

アナリティクスのデータを中心に、メディアに関するデータを詳細に開示しましょう。買い手がシナジー効果の有無やWebメディアの価値を評価しやすくなり、前向きに交渉してくれます。

また、顕在的・潜在的なリスクも開示することで、M&A後にトラブルが発生するのを防止できます。たとえば、ECサイトで過去に顧客と問題が生じていた場合は、その事実を隠さず積極的に開示しましょう。

情報開示を怠って買い手企業に不利益が生じた場合、損害賠償責任を課せられる可能性もあるため、注意が必要です。

自社メディアならではの強みをアピールする

Webメディアには多くの種類があり、競合が多数存在します。買い手から選ばれるためには、自社メディアならではの強みを理解し、アピールすることがポイントです。

たとえば、以下のような強みをもっていると、M&Aを有利に進められるでしょう。

  • SEOに成功しており、複数のKWで検索順位1位を獲得している
  • 毎月安定したPV数やユーザー数が得られている
  • 掲載記事のクオリティが高い
  • ECサイトの機能を併せ持っており、商品やサービスの販売も可能
  • デザイン性が高い

競合メディアにはない強みを発見してアピールできれば、交渉を有利に進められます。

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WebメディアのM&Aにおける注意点

WebメディアのM&Aは、比較的ハードルが低いものの、M&Aを行うタイミングが重要であったり、権利関係が複雑であったりと、注意が必要です。

ここでは、WebメディアのM&Aを実行するうえで注意したい4つのポイントを解説します。

  • 検索アルゴリズムが変わる時期を避ける
  • ウイルスの有無を確認する
  • サーバーの移管先を確認する
  • 各コンテンツの権利が誰に帰属するかを明らかにする

スムーズな交渉を進めるために各ポイントを押さえておきましょう。

検索アルゴリズムが変わる時期を避ける

M&Aの交渉を進める際は、Googleの検索アルゴリズムが変わる時期を避けましょう。

Googleは定期的に検索アルゴリズムをアップデートしており、検索順位はアルゴリズムの影響を大きく受けます。これまで検索上位にいても、アルゴリズムが変わることにより、大幅に順位が下がってしまうケースも考えられます。検索アルゴリズムのアップデート中に交渉を行うと、売却のうえで不利になってしまうリスクがあるため、注意が必要です。

大きな順位変動が予想されるコアアップデートについては、Googleから事前に告知があります。アルゴリズムが変わる時期を避けて、M&Aを実行することが欠かせません。

ウイルスの有無を確認する

M&Aを実行するにあたって、ウイルスの有無やサーバーの移転先などをチェックすることも重要です。

Webメディアが、知らぬ間にウイルスに侵されている場合もあります。順調に交渉が進んでいても、デューデリジェンスの段階でその事実が判明すれば、取引が破綻してしまう可能性が高いです。

サーバーの移管先を確認する

M&A後にサーバーを移管する場合は、通信障害が発生するリスクが想定されます。サーバー移管後の手続きは買い手が行うケースが多いですが、スムーズに引き渡すためには、売り手側も移管先のサーバーについて確認しておきましょう。

また、従来のサーバーをそのまま利用する場合は、サーバー管理会社に名義変更の申請を行うことを忘れてはなりません。

各コンテンツの権利が誰に帰属するかを明らかにする

WebメディアのM&Aでは、各コンテンツの権利が誰に帰属するかをチェックする必要があります。外部のライターが執筆した記事や記事中で使用している画像、バナーなどの著作権や所有権は、必ずしもメディア運営者に帰属するとは限りません。

Webメディアには、非常に多くのコンテンツが存在します。権利の所在をうやむやにしたままM&Aを進めると、後々トラブルにつながる可能性があります。各コンテンツの権利がメディア運営者のものであることを明らかにしたうえで、M&Aを行いましょう。

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WebメディアのM&A事例8選

最後に、Webメディアに関するM&Aの事例を8つ紹介します。

それぞれ、M&Aに至った背景も解説しているため、参考にしてください。

エムスリー社によるミール・ブラチャーの子会社化

医療関連事業を手がけるエムスリー株式会社は、2022年2月、ロシアの MirVracha LLC(以下、ミール・ブラチャー社)を子会社化しました。

ミール・ブラチャー社は、ロシアで医療従事者専門のWebメディアを運営する企業です。ミール・ブラチャー社が運営するWebメディアは、ロシアの医師の約6割にあたる40万人以上が登録しており、疾患や薬剤の情報提供に活用されています。

エムスリー社とミール・ブラチャー社は、2012年に資本業務提携を締結していました。そして今回、ミール・ブラチャー社を子会社化することで、エムスリーが海外展開によって得た経験やノウハウと、ミール・ブラチャーが持つ医療機関や医師、製薬企業とのネットワークを組み合わせ、ロシアにおける医師プラットフォーム事業を展開すると発表しています。

参照元:エムスリー「ロシア MirVracha LLC の子会社化~ 同国における医師プラットフォーム関連事業の本格展開を開始 ~ 」

PR TIMES社によるism社の子会社化

プレスリリース配信サービスを展開する株式会社PR TIMESは、2020年9月に、株式会社ismを完全子会社化しました。

ism社は、Webメディア制作や企業PRの支援などを行っている企業です。役員は全員女性で構成されており、働く女性向けWebメディアの「ism」を運営しています。

PR TIMESは、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を利用する企業の広報支援や、Webコンテンツのマーケティング支援、コンテンツ制作体制の強化といったシナジーを狙い、M&Aを実行しました。

参照元:PR TIMES「PR TIMES、株式会社ismの全株式を取得(完全子会社化)」

GA technologies社による中国の日本不動産プラットフォームの事業譲受

不動産事業を展開する株式会社GA technologiesは、2020年6月、NeoX株式会社と淼瀛(上海)信息技術有限公司が共同運営する「神居秒算(しんきょびょうさん)」事業を取得しました。

「神居秒算」は、中国で影響力を持つ、日本の不動産プラットフォームです。

M&Aの実行とともに、GA technologies社は国際事業部を立ち上げました。そして、「神居秒算」を活用し、中華圏に向けた不動産プラットフォーム事業を開始しています。

参照元:GA technologies「NeoXグループが運営する中華圏最大級の日本不動産プラットフォーム「神居秒算」事業を取得」

イード社によるマイケル社の子会社化

IT関連事業を展開する株式会社イードは、2020年5月、株式会社メルカリの連結子会社であるマイケル株式会社を子会社化しました。

イード社は、自動車総合ニュースメディア「レスポンス」をはじめ、自動車関連メディアを運営しています。そして、マイケル社は自動車好きのためのコミュニティ「CARTUNE」を運営している企業です。「CARTUNE」は、アプリとWebメディア合計で、毎月300万人以上のユーザーに利用されています。

このM&Aは、自動車領域のユーザー基盤を確保し、強化することが目的です。さらに、イードの自動車関連メディアと「CARTUNE」を連携させ、投資を行って「CARTUNE」をさらに成長させるとしています。

参照元:イード「イード、メルカリ子会社のマイケルを買収 毎月300万人に利用される自動車好きのためのコミュニティ『CARTUNE』を運営」

キャリアインデックス社による賃貸物件マッチングサイトの事業譲受

人材・スクール事業を手がける株式会社キャリアインデックス(以下、キャリアインデックス)は、2019年12月に株式会社リブセンス(以下、リブセンス)の「DOOR賃貸」事業を譲り受けました。

「DOOR賃貸」は、賃貸マンション・アパートのお部屋探しサービスです。不動産会社や不動産ポータルサイトから賃貸物件情報の提供を受け、ユーザーとマッチングさせて送客しています。

もともと、リブセンスは選択と集中のために、「DOOR賃貸」事業の譲渡を検討していました。キャリアインデックスは、これまでに培ってきた集客代行のノウハウを「DOOR賃貸」のビジネスモデルにも活用できると考え、不動産領域への進出も目的に、このM&Aを実行しました。

参照元:キャリアインデックス「ニュース」

じげん社によるアップルワールド・ホールディングス社の子会社化

インターネット関連事業を手がける株式会社じげんは、2018年2月に、アップルワールド・ホールディングス株式会社を子会社化しました。

アップワールド・ホールディングス社は、ホテル関連の情報を提供する法人向けWebメディア「アップルワールド」や、個人向けWebメディア「ホテリスタ」を運営しています。

このM&Aの目的は、じげん社の旅行領域への本格参入です。さらに、じげん社の強みであるマッチングテクノロジーやプラットフォーム構築力を活用し、Webメディアの強化や企業価値向上を目指すとしています。

参照元:じげん「アップルワールド・ホールディングス株式会社の全株式を取得/旅行領域への本格参入」

fonfun社によるミスターフュージョン社の運営メディアの事業譲受

参照元インターネットや通信、SMS事業などを展開する株式会社fonfunは、2018年3月、株式会社ミスターフュージョンのメディア事業を譲り受けました。

具体的には、ミスターフュージョンが運営する「クレジットカード比較ナビ」と「看護師転職サイトランキング」の営業権を譲り受けました。

広告収入を伴うWebメディアの営業権を取得することで、事業収益の基盤を拡大し、経営の安定化を図ることが目的です。

参照元:fonfun「株式会社ミスターフュージョンのメディア部門の事業譲受に関するお知らせ」

INCLUSIVEによるサッポロビール社の運営メディアの事業譲受

メディア関連事業を手がけるINCLUSIVE株式会社は、2020年3月に、サッポロビール株式会社が運営する「北海道 Likers」事業を買収しました。

「北海道 Likers」は、北海道に関する情報を発信するWebメディアです。

INCLUSIVE社が持つメディア運営ノウハウを活用して「北海道 Likers」をますます強化し、北海道の魅力を伝えて地域経済の活性化に貢献することを目的に、M&Aが行われました。

INCLUSIVE社は、ほかにも東海や関西、福岡のメディア企業と共創し、地域メディアネットワークの構築を推進しているのが特徴です。

参照元:INCLUSIVE「サッポロビール株式会社からウェブメディア『北海道Likers』を譲受。北海道における情報流通のデジタルトランスフォーメーションを推進することで、地域活性化を支援」

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まとめ

WebメディアのM&Aは、M&Aの中でも比較的ハードルが低く、個人でも取り組みやすいのがポイントです。件数は増加しており、WebメディアのM&Aを扱う仲介会社やマッチングサービスも多数存在します。

WebメディアのM&Aを行うことで、売却・譲渡益を得られるのはもちろん、主力事業に注力しやすくなったり、自身が手がけてきたWebメディアを成長させられる可能性があったりと、メリットは多いです。

WebメディアのM&Aに成功するためには、買い手にとってニーズがあるWebメディアであることが大切です。SEOやデザインの強化、SNSとの連携などを行い、多くのユーザーに見てもらえる強力なメディアをつくりましょう。

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WebメディアのM&Aでは、M&Aを実施するタイミングの見極めが難しかったり、権利関係の取り扱いが複雑であったりと、いくつかの注意点があります。M&Aを円滑に進めるためには、プロのサポートを得ることが有効です。

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社は、M&A全般をサポートする仲介会社です。M&Aを熟知したコンサルタントが多数在籍しており、買い手探しから成約まで、一貫してサポートします。

完全成功報酬型で、成約まで無料で利用できるのも魅力です(譲受会社のみ中間金あり)。WebメディアのM&Aを検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。